コロナ禍による在宅勤務の拡大でフランス首都圏のオフィス街にも変化
コロナ禍で在宅勤務が新しい日常となったフランスで、パリ首都圏のオフィス街の空洞化が進んでいる。この空洞化を食い止めるために、オフィススペースを住宅スペースへと転換する試みが加速している。
『ルポワン』によると、新型コロナウイルスのパンデミックで、一部の企業ではテレワークが普及し、不要なオフィススペースを閉鎖する動きが加速している。エマニュエル・ヴァルゴン住宅担当大臣は、数年前から始まっていたオフィススペースの住宅地への転換の動きが大々的に動き出すきっかけになるだろうと述べている。政府は、パリ首都圏が以前より住宅不足の問題を抱えていることから、コロナ禍は住宅を増やす機会として、この動きを加速させたいと考えている。...
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『ルポワン』によると、新型コロナウイルスのパンデミックで、一部の企業ではテレワークが普及し、不要なオフィススペースを閉鎖する動きが加速している。エマニュエル・ヴァルゴン住宅担当大臣は、数年前から始まっていたオフィススペースの住宅地への転換の動きが大々的に動き出すきっかけになるだろうと述べている。政府は、パリ首都圏が以前より住宅不足の問題を抱えていることから、コロナ禍は住宅を増やす機会として、この動きを加速させたいと考えている。
不動産貯蓄研究所(IEIF)が1月に発表した調査によると、コロナ後、41%の企業が週2日のテレワークに移行すると回答した。今後10年間にパリ地域で想定される不要なオフィススペースの増加は27%、つまり330万㎡が住宅用に確保できると予想されている。IEIFによると、12月末時点でのパリ地域の空室率は6.6%であった。
IEIF所長のクリスチャン・ドゥ・カランガール氏は、オフィスビルの老朽化、機関投資家の関心、公的機関の後押しがあることから、オフィスビルの住宅地への転換は加速すると予測している。しかし、投資グループの住宅担当部長であるセバスチャン・ロラン氏は、オフィススペースを住宅用スペースに変えることは容易ではないと指摘している。「すべてのビルが転換可能なわけではなく」、「調査対象となった不動産のうち、転換の可能性を実際に示しているのは約20%に過ぎない」だという。
一方で2020年に創設された不動産投資会社「フォンシエール」は、3~4年で15億ユーロ(約1950億円)を投資して、オフィスビルを取得し、2万戸の住宅を生産する計画だ。
首都圏でオフィス街が変わろうとする中、経済ニュースサイト『ブルソラマ』は、コロナ禍で、人々の不動産購入の欲求は、大都市から中規模都市へと転じ始めていると報じている。大都市圏で働く人々の4分の1近くが、中規模の町に移り住みたいという世論調査の結果が出ており、人々はより広い家と緑豊かな環境を提供出来る中規模都市に魅力を感じるようになっている。中でも、活気があり地理的条件の良いアンジェ、ブレスト、ニーム、ディジョンなどの都市の人気が上がっており、こうした都市では不動産価格がすでに高騰している。
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フランス、新型コロナウイルス集団感染の1/3が学校や大学などの教育現場
フランス保健当局が発表した数字によると、調査対象となっている新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)のうち、32%が教育現場で発生しているという。これは、これまでクラスター発生の割合でトップに上がっていた職場を上回る数字となっている。
9月26日付けの仏
『ルモンド』は、フランスの教育現場は、新型コロナウイルス感染症の新しい流行地になりつつあるのかと問いかけている。
フランス版CDC「Santé publique France」が9月24日に発行した最新報告書によると、調査中の899クラスターのうち、32%が学校と大学に関係していることが分かった。
教育現場では285のクラスターが確認されており、職場でのクラスター数195を上回っている。...
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9月26日付けの仏
『ルモンド』は、フランスの教育現場は、新型コロナウイルス感染症の新しい流行地になりつつあるのかと問いかけている。
フランス版CDC「Santé publique France」が9月24日に発行した最新報告書によると、調査中の899クラスターのうち、32%が学校と大学に関係していることが分かった。
教育現場では285のクラスターが確認されており、職場でのクラスター数195を上回っている。次いで医療機関が97クラスター、そして公的または私的な集会での77クラスターが続いている。
9月17日付けの前回の報告書では、学校と大学での調査中クラスター数は160(全体の22%)だった。さらにその前の、9月10日時点でのクラスターは26だった。若者の間での集団感染が増加している。
しかし仏『ブルソラマ』によると、国民教育省は9月に、学級閉鎖措置を取る基準値を緩和した。ブランケール国民教育相は、「2週間前が89校、1週間前には19校が閉鎖措置を取っていたが、現在は10校しか閉鎖」していない。「学校はウイルスの巣にはなっていない」 と説明している。
また、「新規感染者数はかなり安定している。1260万人の生徒と88万人の教師のうち、9月初めから1日1,000人強と、非常に少ない割合だ。( ... ) 大半の場合、陽性判定を受けた生徒や学生は無症状もしくは、軽症であることが多い」と述べている。
なおフランスでは特に大学でのクラスターが目立っている。この点についてブランケール大臣は、屋外での活動が多い大学生は、小学生などに比べて、感染リスクが高く、大学キャンパス内での感染よりもむしろ友達同士の集まりや活動での感染が考えられると説明している。
ヴィダル高等教育相も、教育現場での集団感染は学年ごとの感染ではなく、友人間の集団感染が主に確認されていることを指摘し、フランスの高等教育を一斉閉鎖する予定はないと述べている。
今のところ、約10大学のキャンパスが閉鎖されているが、大学生内でのクラスター発生と教師の感染との間に相関関係は確認されておらず、一連のクラスター発生源はキャンパスよりも、学生たちの外部活動が起因している可能性が高いと推測されている。
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