フランスのブライダル業界、活動再開のために「健康パスポート」の活用を検討
新型コロナウイルスの第3波に直面しているフランスでは外出制限に加えて、大規模イベントの開催も禁止となっている。こうした規制が続く中、イベント産業、特にブライダル業界は、待ったなしの再スタートを切りたいと考えている。ブライダル業界関係者はフランス政府と活動再開の条件について話し合いを進めており、ワクチンパスポートの活用の可能性も検討されているという。
仏経済ニュースサイト
『ブルソラマ』によると、フランスで5万5千人の会員を持つブライダル企業連盟(UPSE)の会長、メリッサ・アンベール=フェラン氏は、「結婚式、式典、コンサート、見本市への参加など、1回限りのイベント」に使用することができる「健康パスポート」を検討していることを明らかにした。
同会長は、経済・財務省から「ブライダル業界の回復」の検討を諮問されたと語り、「2年連続で大きな打撃を受けているこの業界を軌道に乗せることができる」健康パスポートの導入に、UPSEは「大いに賛成」していると述べた。...
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『ブルソラマ』によると、フランスで5万5千人の会員を持つブライダル企業連盟(UPSE)の会長、メリッサ・アンベール=フェラン氏は、「結婚式、式典、コンサート、見本市への参加など、1回限りのイベント」に使用することができる「健康パスポート」を検討していることを明らかにした。
同会長は、経済・財務省から「ブライダル業界の回復」の検討を諮問されたと語り、「2年連続で大きな打撃を受けているこの業界を軌道に乗せることができる」健康パスポートの導入に、UPSEは「大いに賛成」していると述べた。
UPSEは、会場レンタル、ケータリング、花屋、ウェディングドレスショップ、ウェディングプランナー、文房具店など関連企業の2021年の売上高の損失を、通常の30億ユーロ(約3950億円)の売上高のうち10億ユーロ(約1300億円)になると試算。前年の2020年は「事実上の空白」の一年だった。
フランスでは結婚式のハイ・シーズンは5月から9月までとなっているが、アンベール=フェラン会長は、「その年の売上を達成するためには最大で土曜日が25回必要となる。しかし今年は5月がすでにほぼキャンセルされている」と指摘した。健康パスポートは日常生活での移動や活動には使えず、「旅行や結婚式などの一回限りのイベントに参加する際、ワクチン接種証明書やPCR検査の陰性結果を提示する」ものとして検討されている。
UPSEは、毎年23万件の結婚式がフランスで行われており、そのうち4万件は5月に行われていると推定している。アンベール=フェラン会長は、「宗教または無宗教形式の結婚式どちらであれ、一定の条件を満たせば式を挙げることができるため、カップルはますます別荘などのプライベートな施設を利用するようになっている。」と警鐘を鳴らしている。
仏紙『20ミニュッツ』は、フランスではコロナウイルスの予防接種は義務づけられていないものの、ブライダル業界だけでなく、航空会社、あるいは外食産業、文化施設など、様々な業界が健康パスポートの取入れを検討しているため、「普通の生活」を取り戻すためには、結局はワクチンが不可欠なものになってしまう可能性があると報じている。もしレジャー活動で健康パスポートが導入されてしまうと、ワクチンを接種していない人の生活は、現在の規制された生活と基本的に同じままになってしまう。
社会学者のベネディクト・カンペノワ=ルソー氏は、多くのフランス人は今も「みんなが接種していれば、自分はしなくてもいいだろう」という姿勢を持っていると指摘している。しかしこの戦略は、全員が同じ考えを持っている場合や、集団的免疫力の閾値に達していない場合には機能しないことが問題だと言う。
社会学者のカロリーヌ・デ・ポー氏は、「人々は非合理的ではなく、ただ疑問や不安に対する答えを必要としている」ため、ワクチン接種を強制するのではなく、ワクチンを拒否するブレーキとなっているものを取り除くための回答をもっと与えてあげる必要がある、と指摘している。
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フランスのパリ首都圏、2020年の観光客数は90年代以前の水準まで減少
フランスを代表する観光地域である、首都パリを含むイル・ド・フランス地域圏は、新型コロナウイルスの影響により深刻な影響を受けている。イル・ド・フランス地域圏観光委員会の暫定報告によると、昨年のパリとその周辺地域への訪問者数は1,750万人となり、2019年と比較して65.4%減少した。これは90年代以前の水準にあたる。
フランスの首都パリに関するニュースサイト
『アクテュ・パリ』によると、新型コロナウイルスによる、パリをはじめとするイル・ド・フランス地域圏では観光客が激減した。2020年だけで、この地域の観光収入は155億ユーロ(約2兆円)も減少した。イル・ド・フランス地域観光委員会の最新の報告によると、昨年の観光客数はフランス人観光客1,260万人を含む1,750万人にとどまり、前年比で3,300万人も減少した。...
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フランスの首都パリに関するニュースサイト
『アクテュ・パリ』によると、新型コロナウイルスによる、パリをはじめとするイル・ド・フランス地域圏では観光客が激減した。2020年だけで、この地域の観光収入は155億ユーロ(約2兆円)も減少した。イル・ド・フランス地域観光委員会の最新の報告によると、昨年の観光客数はフランス人観光客1,260万人を含む1,750万人にとどまり、前年比で3,300万人も減少した。
フランスでは、昨年の3月中旬から5月中旬まで続いた第1回目のロックダウンが終わってから第2回目のロックダウンが始まる10月31日までの期間、観光客の動きが回復していた。この間イル・ド・フランス地域圏の観光は、国内またはヨーロッパからの観光客に支えられた。しかし、ロックダウンによる観光収入への被害は大きく、穴埋めするには不十分だった。
このような状況の中で、特に宿泊施設が、ビジネスや海外からの宿泊客がいなくなったことで、大きな代償を払うことになった。首都パリのホテルでは、最高級ホテルを含めて、通常の年であればこうした客層が、収益の70%を占めているという。しかし、昨年は多くのホテルが、3月中旬から5月末まで、そして10月末からロックダウン措置による営業停止を余儀なくされた。 最終的に、宿泊日数は68%減少し、季節限定の賃貸は55%減少した。
なお、今も閉鎖を余儀なくされている美術館や博物館も、ロックダウンによって大きな打撃を受けている。 たとえば、ルーブル美術館の入場者数は72%減少しており、ベルサイユ宮殿では76%減少している。
経済ニュースサイト『ブルソラマ』によると、パリ観光・会議局会長のジャン・フランソワ・リアル氏は、「企業活動については、もう少し時間がかかるだろうが、2022年、パリの観光客数は2019年の時の数字に戻ると思う」と述べている。同氏は、パリ地域は2020年に外国人観光客の歴史的な減少のため、155億ユーロの収入減を記録したものの、「観光客数の回復についてはあまり心配していない。かなり早い段階で2019年と同等の水準に戻るだろう。2025年から2027年頃までは回復しないというような終末論的な予測はまったく信じていない。」と主張した。
フランスの旅行会社ボヤージュ・ドゥ・モンドの社長でもあるリアル氏は、新型コロナウイルスが収束し始めた6月と12月に、旅行客がものすごい勢いで回復し、アメリカでも国内の観光がすでに2019年のレベルに戻り始めていることを根拠としている。
また、「病気にかかったことがあるかどうか、抗体を持っているかどうか、ワクチン接種を受けているかどうか、PCR検査を受けているかどうかなど、すべての健康データをまとめた」コロナパスポートの導入を訴えた。
そして、「パリ観光局の課題は、観光客を呼び戻すことではない。観光客は自ら戻ってくる。問題はむしろ、2019年の時の観光客数を超えても、住民や環境に悪影響を及ぼすことなく旅行者を迎えることかできるかどうかだ」と述べた。
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