法改正反対でタイ政府へハッキング(2016/12/27)
タイ軍事政府のプラウィット首相兼国防相は、政府や軍のウェブサイトをハッキングした疑いで9人を逮捕したと発表、更に逮捕者がいる模様である。逮捕者は20歳前後の若者が中心でそのうち1人はメディアに個人名が公表された。タイのハッキング騒動は、今月16日可決した、タイ軍事政府の取り締まりの一環でインターネット上の情報を政府要請で検閲可能とする「コンピュータ犯罪法改正案」に抗議する目的によるものとされており、改正法反対派は、官公庁のサイトを攻撃すると警告していたという。また、ハッキング集団は複数あり、国内外のハッカーが関与しているとみられている。
12月26日付米国
『VOA』(AP通信引用)は「タイ警察、政府サイトへのハッキングで男を逮捕」との見出しで次のように報道している。
タイ警察はインターネット使用規制に関する法改正に反対し、政府のコンピュータへハッキングした容疑で19歳の男ら9人を逮捕した。サイトは一時アクセスがブロックされ非公式のファイルへつながったという。男の自宅の家宅捜索から、違法拳銃やマリファナも見つかった。他に主犯格の容疑者がいる模様である。...
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12月26日付米国
『VOA』(AP通信引用)は「タイ警察、政府サイトへのハッキングで男を逮捕」との見出しで次のように報道している。
タイ警察はインターネット使用規制に関する法改正に反対し、政府のコンピュータへハッキングした容疑で19歳の男ら9人を逮捕した。サイトは一時アクセスがブロックされ非公式のファイルへつながったという。男の自宅の家宅捜索から、違法拳銃やマリファナも見つかった。他に主犯格の容疑者がいる模様である。
ハッキンググループはコンピュータ犯罪法改正(言論の自由を制限と反政府勢力抑圧が目的)への抗議から犯行に及んだと供述している。改正法は、当局が市民の個人通信を傍受を可能とするもの。
ぶっきらぼうな話しっぷりで知られるプラユット暫定首相は、「法改正で明記しなければ、このような犯罪は続く。この件はうんざり。」等と述べている。
同日付タイ
『バンコクポスト』は「軍は若者9人をハッカー容疑で逮捕」との見出しで次のように報道している。
月曜、プラユット暫定首相によると、政府や軍のウェブサイトへのハッキング容疑で9人が逮捕された。
犯行に使われたコンピュータや周辺機器も押収。「政府当局は容赦しない、対策を万全とする」と述べた。
逮捕されたうちの一人で、拳銃やライフル銃、銃弾、マリファナ所持容疑で逮捕された19歳の男は、バンコクの警察本部で、メディアに晒された。この男はITの知識があるが、バンコクの技術専門学校を中退。警察署長は、政府系ウェブ攻撃の「opsinglegateway」とされるのネット上のグループの犯行とみており、グループの支持下には17~20歳の若者が多く、改正法がネット規制につながるものだとの誤った情報が与えられていたという。このグループは今月17日から活動がみられ、タイ警察のウェブがハッキングされていた。警察はグループの主犯「司令塔」は国内外にいて、「opsinglegateway」の支部グループも存在するとみている。
今月16日には改正法案が可決されたが、規制目的でなく2007年の条項を改正したたけであると警察は説明している。
観光・スポーツ省長官は、ハッキングによるウェブサイト被害で市民の情報へのアクセス権が侵害されているとして警察に抗議した。
12月27日付タイ
『ネーション』は「更なるハッカー逮捕へ」との見出しで次のように報道している。
先週のハッキング事件で9人が逮捕されているが、プラユット暫定首相兼国防相は昨日、「更なる逮捕者が出るだろう」とし当局がこの問題で締め出しにかかっている。
警察は昨日軍から送還された容疑者の一人を尋問。警察の記者会見では、容疑者の押収品(拳銃やマリファナ、PC危機など)が公開された。警察側は9人とは言及せず、ハッキングで「多くの容疑者」が逮捕されたとした。
警察筋によれば、政府系ウェブサイトへの操作には、10人以上が関与しているとみられているという。犯行には他のグループからの支持があるとされ、「スパイ団は、ハッキングの知識があり、コンピュータ攻撃を達成すると賞賛されている」という。また、支持する側と支持を受ける少なくとも2グループの関与しており、「支持側グループは国内外におり、多くのハッカーは17~20歳の若者である」としている。オンライン上の活動家らは、政府規制を拡大すると危惧されるコンピュータ犯罪法の改正に抗議しており、ハッカーらは法改正を止めねば、政府サイトを攻撃すると予告していた。ハッカーは3000人以上の警官の個人情報をリーク、反改正法団体、「OpSingleGateway単一ゲートウェイ インターネットファイアウォールへの抗議」はフェイスブックで、20以上の政府系ウェブサイトへのハッキングを公言した。警察や軍機関は、ハッキングでは、表面上のデータのみを攻撃しているが、機密情報は守られているとしている。
世界的匿名ハッカー集団、「OpSingleGateway」の匿名の人物は, 昨日当紙に対し、この事件との関与を否定し、警察は虚偽の人物を逮捕していると述べた。また、集団内では互いの素性は知らず、ウェブ上でのみやり取りをしていると述べているという。
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タイ、皇太子を新国王に承認(2016/11/30)
タイ暫定議会は29日、今年10月に死去したプミポン国王の後継者として、マハー・ワチラロンコン皇太子を新国王とすることを承認した。皇太子が受諾すれば、即位が正式に発表される見通しとされる。しかし正式に即位するのは前国王の火葬が済む一年以上先と見られる。64歳のワチラロンコン皇太子は英国とオーストラリアに留学し、士官学校を出て軍事公式行事への参加が多く軍事訓練で興味を持ったジャンボ機を操縦するなど航空機への造詣が深いという。不敬罪のため公けな批判は避けられているが、離婚歴や奇行で国民からの信頼は薄かった。
11月29日付
『AP通信』は「タイ議会、皇太子に王位継承へ」との見出しで以下のように報道している。
火曜タイ議会が正式な王位継承手続きを経てワチラロンコン皇太子を新国王に任命、内閣は1924年制定の王位継承に関する王室典範に従い皇太子の名前を国会に提出。王室典範に従って皇太子に即位を要請する方針。1782年より続くチャクリー王朝10世となる。ウィチチョンチャイ議長は「皆新国王に祝福をおくっていただきたい。...
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11月29日付
『AP通信』は「タイ議会、皇太子に王位継承へ」との見出しで以下のように報道している。
火曜タイ議会が正式な王位継承手続きを経てワチラロンコン皇太子を新国王に任命、内閣は1924年制定の王位継承に関する王室典範に従い皇太子の名前を国会に提出。王室典範に従って皇太子に即位を要請する方針。1782年より続くチャクリー王朝10世となる。ウィチチョンチャイ議長は「皆新国王に祝福をおくっていただきたい。国王万歳、議員より」とコメント。即位日には言及しなかったが、過日プラウィット副首相は数日後の王室謁見があることを報道陣に明かしていた。
前国王死後、暫定軍事政権は1年を喪服期間とし、国民は白黒の服を着て過度のお祭り騒ぎは自粛されている。バンコクの遺体が眠る宮殿には多くの人が弔問に訪れ、遺体は死後一年かそれ以上先に大規模な葬式で火葬されることとなる。プミポン前国王の即位は兄であった元国王死去の4年後であった。
64歳のワチラロンコン皇太子は必須の王室行事、近年では父の代理で式典や対外行事には参加するものの、私的活動が主である。国政への関心がやや希薄でプレイボーイとして知られ、勤勉な父ほどの尊敬は得られていない。3度の離婚で7人の子がいる。王室を批判すると3~15年の不敬罪に問われるため陰でのゴシップが絶えない。
王室ニュースでは3人の姉妹が国内外の公式行事に駆け回る報道が流れる一方、皇太子に関してはタブロイド紙による海外訪問の記事など非公式な活動ばかり。住居を複数持つドイツに滞在しているが、昨年タイで2度脚光を浴びており父と母の誕生日を祝う自転車イベントで多くの人を先導したが、国民からは国王後継者としてのイメージアップ戦略だと噂された。
10代から後継者教育を受け、タイ軍部の3支部の将校を務めた。14歳で英国の寄宿学校に留学、その後シドニーで王立陸軍士官学校を卒業、カンボジア、ラオス、南ベトナムが共産主義革命が起きた直後にあたる。私生活や行動についての噂は広く広まり、王室の長老はワチラロンコンに海外での軍事任務の公務に就くよう奨励。1980年の米国での軍事訓練で航空機(タイ航空大型ジェット機)への関心を高めた。
11月30日付タイ
『バンコクポスト』は「運命に従って」との見出しで次のように報道している。
ワチラロンコン皇太子は、プミポン国王とシリキット王妃との間に1952年7月28日長男として生を受け、当時のラーマ6世には直系後継者がなく祝福された。家庭教師に教育を受け、王宮内の学校に通った。その後英国と豪州へ留学、シドニーで王室士官学校及び高等軍事教育施設で学んだ。成人を迎え皇太子となると、陸軍内の役職や国王の親衛隊として働いたり、豪州、米国との共同軍事訓練を行った。商業用パイロットの経験も積み、タイ航空ボーイング737-400のパイロットとなった。南部の洪水被害者への募金フライトでチェンマイへ飛んだ。タイの伝統に習い、一時的に僧侶となり出家。病気を患い国民に姿を見せなかった国王に代わり皇太子は公式行事に参加していた。
生後4日の時、プミポン国王はタイ僧侶の最高総主教に書簡を送り、占星術で新皇太子に相応しい名前を付けるよう要請した。その2日後宗主は直筆の手紙で、命名した王子の長い名前を伝えた。続いてプミポン国王は2日間にわたり王子誕生の祝儀を執り行ったという。
11月29日付カタール
『アルジャジーラ』は「タイ、皇太子を新国王へ」との見出しで次のように報道している。
タイは正式にマハ皇太子を国王後継として任命、皇太子はこれを受諾するものとみられる。当紙のバンコク特派員によると、新国王発表に向けた手続きは数日掛るとの見込みである。234年続くチャクリー朝のラーマ10世とも称される皇太子の正式な戴冠は来年となる模様で、タイでは来年にむけ、葬儀で8000人を収容する元国王の火葬塔を建設する予定。前国王死去後、皇太子は公式の場で発言していない。
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