リオデジャネイロの海に抗生物質の効かないスーパーバグが存在(2016/07/06)
来月にはオリンピックが開催されるリオデジャネイロだが、治安の悪さやジカ熱など、様々な問題に苦しんできた。しかしながら、ここに来てさらに、ウォータースポーツ競技の開催地となるビーチで、抗生物質の効かない耐性菌、いわゆるスーパーバグが見つかっていたことが明らかになった。観光地としても名高いリオのビーチの水質の現状はどのようなものか、各メディアは次のように報じている。
7月5日付
『USAトゥデイ』(米)は、リオデジャネイロ州立大学のピカオ氏が、市内5つの主要なビーチでの水質調査の結果を公表したことを報じている。今回の調査の対象となる水は2013年から2014年にかけてリオ市内で採取されたもので、見つかったスーパーバグは本来海中には存在しないはずのものだという。調査結果はアメリカの科学誌「サイエンテイフィック・アメリカン」に掲載されている。今回の結果についてピカオ氏は、「この結果から、直ちに感染のリスクの程度が判明するわけではない。...
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7月5日付
『USAトゥデイ』(米)は、リオデジャネイロ州立大学のピカオ氏が、市内5つの主要なビーチでの水質調査の結果を公表したことを報じている。今回の調査の対象となる水は2013年から2014年にかけてリオ市内で採取されたもので、見つかったスーパーバグは本来海中には存在しないはずのものだという。調査結果はアメリカの科学誌「サイエンテイフィック・アメリカン」に掲載されている。今回の結果についてピカオ氏は、「この結果から、直ちに感染のリスクの程度が判明するわけではない。開催地を変更すべきだと言っているのではない。ただ、オリンピック選手に何らかの症状が出た場合、スーパーバグの可能性は否定できないし、治療にあたる医師にもその点を考慮してもらいたいだけ」と語る。
リオデジャネイロのオリンピック組織委員会は、水質の安全を謳っているが、「AP通信」が独自に行った調査では、高レベルの病原菌を含む水が競技に使われているとされる。
同日付
『ニューヨーク・デイリーニュース』(米)によると、今回スーパーバグが見つかったのはリオ市内数か所のビーチで採取された水であり、グアナバラ、イパネマ、レブロン、フラメンゴ、コパカバーナ等だという。それらのうちグアナバラでは、ウインド・サーフィンが、コパカバーナではトライアスロンなどの競技が開催される予定だ。レブロンとイパネマで採取された水のサンプルのうち、50%~60%、フラメンゴでも90%の割合でスーパーバグが見つかっている。
スーパーバグは、前述の通り抗生物質が効かない耐性菌で、胃炎や肺疾患、髄膜炎など様々な症状を引き起こすことが米国疾病対策センターにより明らかにされている。
原因として挙げられるのが、汚水処理の問題だ。リオ市内の各家庭から出る未処理の排水に加えて、病院からの排水も海に流れ込んでいるという。通常海に存在しないスーパーバグはおそらくは病院からの排水に含まれている可能性が高い。リオデジャネイロの汚水処理の設備は不十分で、市内の下水道の51%しか整備が行われていないという。オリンピック開催が決定した時点で、ブラジル政府は衛生環境の向上を約束したものの、ほとんど改善はされていない。リオ市内の8つある汚水処理施設のうちたった一つが稼働しているというのが現状だ。
同日付
『CNN』(米)によると、今回見つかったスーパーバグはカルバペネム耐性腸内細菌(CRE)というもので、多くの場合保有しても症状は出ないが、抗生物質を長期間使用したり、免疫力の低下した者が感染すると、抗生物質が効かないため敗血症を起こし死亡することが多いという。
同紙の取材に対して前出のピカオ氏は、1年前の水質の結果だが、汚水処理の状況が進歩していないことからすれば、現状は調査時と変わらないはずだとし、次の研究目標は、海水中でスーパーバグに接触した場合の人体に及ぼす影響を調べることだと語っている。
リオの水道設備の責任者は、7年前は同市内の下水処理の整備の達成率が11%だったのに比べれば、現在の51%は格段の進歩で、今年の5月には新しい下水処理設備が稼働し、43万世帯の排水を処理していると語っている。
リオ市長であるパエス氏は「リオの現状は完璧からほど遠いが、オリンピック開催に向けて準備を進めている」と語っている。
様々な問題が指摘される中での開催だ。テロへの不安もささやかれており、「安全な」開催が望まれる。
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メッセージボトルが2年5か月、5800キロの時間と距離を超えて届く(2016/02/25)
大抵の用件が電話かメールで済んでしまう昨今、手紙も最近書いていないという方も少なくないだろう。ましてや、誰かに拾ってもらうことを目的にメッセージをビンに入れて海へ流す「メッセージボトル」など、昔の物語に登場するだけとも言えそうだ。しかしそんな中、2年5か月前にニューヨークから送り出されたメッセージボトルが、大西洋を渡って先週フランスにまで辿り着いたという。各メディアは次のように報じている。
2月24日付
『ニューヨーク・ポスト』(米)は、2013年にニューヨーク湾内にあるスタテン島から流されたメッセージボトルが、2年5か月、5800キロの旅をして、フランス南西部の都市、ボルドーに漂着したことを報じている。
メッセージボトルを海へ流したのはニューヨークで活動するアーティストのブージー氏で、アートプロジェクトの一環として行ったという。ボトルには海鳥のイラストとEメールのアドレスを書いた紙が入っていた。...
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2月24日付
『ニューヨーク・ポスト』(米)は、2013年にニューヨーク湾内にあるスタテン島から流されたメッセージボトルが、2年5か月、5800キロの旅をして、フランス南西部の都市、ボルドーに漂着したことを報じている。
メッセージボトルを海へ流したのはニューヨークで活動するアーティストのブージー氏で、アートプロジェクトの一環として行ったという。ボトルには海鳥のイラストとEメールのアドレスを書いた紙が入っていた。
他方、ボトルを拾ったのはフランスで画家として活動するバルテレミー氏で、ボルドーの浜辺を妻と散歩中に砂浜に打ち上げられているところを発見したのだという。
同日付
『CBSニュース』(米)によると、ブージー氏が行ったアートプロジェクトは「ニューヨークから遠洋へ」というもので、20本のメッセージボトルが海に放たれたという。それぞれのボトルにはやはり海鳥のイラストとEメールのアドレスが書かれた紙が入っていた。ブージー氏はメッセージボトルのことはほとんど忘れかけていて驚いたという。「我々が日々たくさんのゴミを海に捨てて、それが遠くの海にも流れていくことを人々に是非知ってもらいたい」とブージー氏はコメントしている。
今回放たれたメッセージボトルのうち、1本はフロリダ州、もう1本はコネチカット州で見つかっている。
同日付
『ニューヨーク・デイリーニュース』(米)は、メッセージボトルを拾ったバルテレミー氏からEメールを受け取った時の驚きを語っている。「朝、メールをチェックしていたら、バルテレミー氏からのEメールが届いていた。はじめはただの広告メールかと思った」。
ちなみに、今までに見つかっている最も古いメッセージボトルは、2015年の4月にドイツで発見されたもので、109年前のものだという。
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