イギリス、経済活動復活に向けてワクチン接種完了した人には自己隔離を免除(2021/08/17)
イギリスでは15日より、新型コロナウイルスのワクチンを2回接種した人であれば濃厚接触者となった場合でも自己隔離は免除され、PCR検査を受けるかどうかも任意になる。こうした動きは、何百万人もの濃厚接触者が自己隔離を余儀なくされ経済活動に支障をもたらした事態を改善させることを目的としている。
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『スカイニュース』によると、イギリスでは15日から、ワクチンを2回接種した人や18歳未満の人は、濃厚接触者となった場合でも、10日間の自己隔離から免除される。こうした動きは、経済活動の「正常な状態に戻るための新たな一歩」として評価されている。
濃厚接触者であることが確認された場合、PCR検査を受けるように勧められるが、検査は強制ではなく、結果を待つ間も自己隔離する義務から免除される。...
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『スカイニュース』によると、イギリスでは15日から、ワクチンを2回接種した人や18歳未満の人は、濃厚接触者となった場合でも、10日間の自己隔離から免除される。こうした動きは、経済活動の「正常な状態に戻るための新たな一歩」として評価されている。
濃厚接触者であることが確認された場合、PCR検査を受けるように勧められるが、検査は強制ではなく、結果を待つ間も自己隔離する義務から免除される。イギリス政府は、症状が出た場合のみ、自己隔離してPCR検査を受け、結果が出るまで隔離するべきだとしている。この新しい指針は、陽性者と接触する14日以上前にワクチンの最終投与を受けた人に適用される。
仏『レゼコー』によると、新しい指針は、7月中旬にジョンソン政権が打ち出した規制緩和に沿ったものである。成人の4分の3以上がワクチン接種を完了しているおかげで、マスクの着用、ソーシャルディスタンス、劇場での人数制限など、ほぼすべてが解除された。
しかし、デルタ株による感染の波からイギリスが免れているわけではない。新規感染者数は、サッカーのユーロ大会の影響で7月初旬にピークを迎えた後、1日あたり3万人近くに上る高水準で推移している。その結果、夏の間、何百万人もの人が感染もしくは濃厚接触者として隔離を余儀なくされ、交通機関、接客業、スーパーやガソリンスタンドへの供給に支障をきたした。メディアはこの現象を、追跡アプリの「ピング」とパンデミックの言葉を組み合わせて、「ピンデミック」と呼んでいる。
隔離義務の緩和は、企業だけでなく、パンデミックで大きな犠牲を払った文化芸術活動関係者からも待ち望まれていた。「キャッツ」や「オペラ座の怪人」などのミュージカルで知られる有名作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバーは、7月にキャストの中で陽性者が出たために延期となった新作「シンデレラ」の初演を8月25日に開催したいと考えている。ウェバー氏は、過去1年半の間に政府が課した規制、また公的資金も不十分であるとして、怒りをあらわにし、新作のミュージカルをアメリカの投資家に売らなければならないリスクがあるとサンデー・タイムズ紙に語っていた。
現在イギリスでは、デルタ株により新規感染者数が高水準にとどまっているにもかかわらず、入院患者数は6000人以下、死亡者数は1日平均100人以下と、救急車が列をなし、毎日1000人以上の死亡者を記録していたこれまでの波に比べ、はるかに落ち着いた状況となっている。
しかし英『テレグラフ』によると、こうした緩和の動きは誰もが歓迎しているわけではない。鉄道海運組合のスティーブ・ヘドリー副会長は、こうした変更は「危険」で「全く非論理的」であると批判し、職場復帰を拒否するスタッフを支持した。同氏は、「コロナウイルスと死亡の関連性が弱まったことを示す証拠はあるが、それがなくなったたわけではないのだから、危険なやり方だ」と非難した。また、「追跡アプリで連絡を受け取った人がすぐに仕事に戻ってきてしまうと、多くの労働者が感染を心配するだろう。もし、家にいることを選択した場合、我々は彼らをサポートする。仕事に戻ることを強制されるべきではない。各鉄道会社は、従業員が仕事を続けるかどうかは任意であることを保証してくれている。」と述べた。
また、英国医師会(BMA)も、自己隔離を希望する医療従事者は「そうすることでいかなる形でも罰せられるべきではない」と付け加えた。一方、企業側は、規制の緩和を歓迎しつつも、濃厚接触者となった従業員は、職場に復帰することを強制できるかどうかを明確にすることを求めている。
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アメリカ南部国境、コロナに陽性の多くの移民をそのまま国内に釈放(2021/08/04)
ここ数週間、アメリカの国境危機に関する米国のメインメディアの報道は大幅に減少しているが、国境危機は一向に収まる気配がない。国境警備隊の組合幹部は、国境警備隊員が自らの健康状態を心配しながら、新型コロナウィルスに感染している移民を「毎日のように」米国内に解放していると警告している。
全米国境警備隊組合の副会長であるクリス・カブレラ氏は、7月31日に放送された
『フォックスニュース』のインタビューで、「遭遇したすべての不法入国者を検査しているのではなく、症状のある人だけを検査している。そして、陽性反応の出た不法入国者を毎日国内に釈放している。そして次から次へと不法入国者がやってきている」と語った。
カブレラ氏は、彼の部門だけでも、国境で2万人の不法入国者を逮捕しており、担当地域だけで毎日2~3千人確保していると述べた。...
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全米国境警備隊組合の副会長であるクリス・カブレラ氏は、7月31日に放送された
『フォックスニュース』のインタビューで、「遭遇したすべての不法入国者を検査しているのではなく、症状のある人だけを検査している。そして、陽性反応の出た不法入国者を毎日国内に釈放している。そして次から次へと不法入国者がやってきている」と語った。
カブレラ氏は、彼の部門だけでも、国境で2万人の不法入国者を逮捕しており、担当地域だけで毎日2~3千人確保していると述べた。その結果、多くの捜査官が新型コロナウィルスに感染して隔離されたり、病気になったりしている。同氏は、「現在、感染した警備隊以外にも多くの捜査官が自己隔離中となっており問題が深刻化している。私たちは、自分自身が感染することを心配し、家族や同僚を心配している。このような状況になっているのに、誰もが見て見ぬふりをしているように思える」と語った。
6月だけで18万8千人以上の不法入国者が検挙され、今年度累計では100万人を超える。そのうちの10万人以上はタイトル42の公衆衛生法の下で追放されたが、バイデン政権は家族単位を含む多くの移民を米国内に釈放する政策を取っている。こうした対応が、コロナの広がりを懸念している、国境沿いの州の知事や地元関係者の怒りを引き起こしている。
米『ブライトバート』によると、テキサス州ヒダルゴ郡のリチャード・コルテス判事は、米国国土安全保障省によって自分の地域にコロナに感染している移民が「かなりの数」釈放されていることを理由に災害宣言を出した。
コルテス判事は「米国税関・国境警備局は、驚くほど多くの不法移民を国内釈放している 」と述べた。災害宣言文書は、地域への移民の釈放にマッカレン市も地元の非政府組織も対応が追い付いておらず、「もはや十分な食事、住居、医療、その他の収容ができない」としている。この宣言は7日間継続され、郡政府は緊急管理計画を発動し、それによって災害用に割り当てられた資金を利用することができる。
また宣言によると、現在この地域では新型コロナウィルスによる入院率が高く、移民の流入による負担が加わることで地域は危険にさらされており、地域の公衆衛生、安全、一般的な福利を守るために特別な措置を講じる必要があるとしている。
『ウォールストリート・ジャーナル』の編集委員であるジェイソン・ライリー氏は8月3日付けの同紙のオピニオン欄に、「バイデンが新型コロナウィルス対策に本気なのであれば、国境を守るだろう。しかし政府は、検査を実施することなく移民を釈放し、見知らぬ人たちと一緒に狭い場所で生活させている。」と投稿している。
ライリー氏は、新型コロナウィルスは昨年、壊滅的な被害をもたらした一方で、国境警備隊に息抜きをもたらしたと述べている。「メキシコ国境での2020年9月に終了した会見年度の逮捕件数は前年同期の約半分であった。バイデンが大統領に就任した後、国境での移民検挙数の増加は、大したことではないと思われていた。ワシントン・ポスト紙は3月、今見ているのは、予測可能な季節的変化だと自信たっぷりに報じた。6月、7月に再び数字が下がれば、政策担当者は抑止力政策が成功したと主張したくなるかもしれない。しかし、それはいつもの季節的な落ち込みに過ぎないだろう、と伝えた。」
しかし、「本格的な抑止力政策は打ち出されておらず、不法入国者数は減るどころか増え続けている。バイデン政権下では毎月増加しており、通常は減少する夏の暑い時期にも増加している。税関・国境警備局が7月に発表した6月の不法入国者数は、前月を上回っただけでなく、過去20年以上にわたって最も多かった6月を大幅に上回った。6月までの会計年度で、税関・国境警備局は110万件以上の逮捕件数を記録した。100万件を超えたのは2006年以来のことである。」
4月下旬にニューヨーク・タイムズ紙は、政府は「移民を検査するための時間と場所が十分にない」ため、「検査は地元のコミュニティグループや市、郡に釈放されるまで延期され、到着したばかりの移民は何日も狭い場所で見知らぬ人たちと一緒に過ごし、床に敷いたマットの上で肩を並べて寝ることが多い」と報じていた。この記事では、このような政策がパンデミック対策とは相反するものであることが指摘されていた。
ライリー氏は、不法入国者は歓迎されないということをバイデン政権が明確にしない限り、状況は変わらないだろうと述べている。「確かにバイデンは口ではそう言っているが、彼の政策は、もしここにたどり着いたら、おそらく滞在できるだろう、と人々に伝えている。大統領が国境警備強化の必要性を軽視し、亡命希望者には裁判所が彼らの主張を裁定する間、米国外に留まる必要はないと言い、議会にはすでに不法滞在している何百万人もの人々のために恩赦法案を通すよう促しているのであれば、移民希望者に、来るな、と言っても真剣に受け止めてくれないことに驚くべきではない。」
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