ジョンソン英首相続投へ(2022/06/07)
英国のボリス・ジョンソン首相は6日夜、「パーティーゲート」のスキャンダルに伴う与党保守党内の反乱によって引き起こされた信任投票で、賛成わずか211票と6割に満たない僅差の勝利で留任することになった。フランスメディアはジョンソン政権の弱体化を報じている。
仏
『レゼコー』は、辞任の危険は当面は去ったものの、211人の議員が新任に賛成したのに対し、148人が退陣を求める票を投じたと伝えている。180人以上の議員が不信任の票を投じていれば、ジョンソンは辞任に追い込まれていた。今後、1年間はジョンソン首相に対する信任投票を行うことができない。一見すると、これで2024年の次の総選挙までは安泰だと思われるが、英国政治には、首相が信任投票で勝利しても、後に辞任に追い込まれる前例があると指摘している。...
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『レゼコー』は、辞任の危険は当面は去ったものの、211人の議員が新任に賛成したのに対し、148人が退陣を求める票を投じたと伝えている。180人以上の議員が不信任の票を投じていれば、ジョンソンは辞任に追い込まれていた。今後、1年間はジョンソン首相に対する信任投票を行うことができない。一見すると、これで2024年の次の総選挙までは安泰だと思われるが、英国政治には、首相が信任投票で勝利しても、後に辞任に追い込まれる前例があると指摘している。テリーザ・メイ前首相は、2019年に信任投票で勝利し、続投出来たものの、その6ヵ月後に辞任に追い込まれている。
なお、2週間後には、イングランド南部のティバートンでは、保守党が敗北する可能性のある選挙が行われる予定であり、『レゼコー』は、「これが新たな落とし穴になる可能性がある」と伝えている。
辞任を求めている与党議員たちは、パーティーゲートをめぐる透明性の欠如と、その結果として生じた信頼の喪失を非難している。しかし、不満の理由はこれだけではない。北アイルランド議定書、ルワンダへの不法移民の移送、テレビ局チャンネル4の民営化など、ジョンソン政権の重要な政策に対しても一部議員たちの間で不満が溜まっている。最新世論調査では、ジョンソン首相の辞任に賛成する人は59%であった。
仏『BFMTV』は、ジョンソン首相はスキャンダルや国民と与党内の怒りにもかかわらず、ここ数ヵ月、特にロシアのウクライナ侵攻に対する西側の対応でリーダーシップを発揮したことで持ちこたえている、と伝えている。また、英国で12年間政権を担ってきた保守党の中に明確な後継者がいないことも、彼を後押ししていると指摘。特に、長く党内で人気の高かったリシ・スナック財務大臣が、生活費高騰の折、妻の脱税疑惑にさらされて以来、首相の存在感が増しているという。しかし、長い間、その風変わりで大胆な性格が人気を集めていたものの、今ではそうした側面が多くのイギリス人を悩ませていると伝えている。
仏紙『ルフィガロ』は、ジョンソン首相は政治家として不滅であるかのように見えるが、イメージの修復に苦労しており、ますます「レームダック」化しつつあるのではないかと指摘している。
なお『ユーロニュース』によると、英国メディアでは、タイムズ紙はジョンソン首相を「傷ついた勝利者」と表現し、フィナンシャルタイムズ紙は、僅差での勝利は「首相に大きなダメージを与え、党内の分裂と反感の程度が明らかにした」と報じた。ガーディアン紙は「首相は新任投票の屈辱の後、権力に固執する」と伝え、デイリーミラーは「パーティーは終わった、ボリス」という見出しで報じた。
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日本、ウクライナ戦争は原発復活の絶好の機会(2022/05/16)
日本は、史上最悪の福島での原発事故の後、規制当局がほとんどの原発を停止させた。それから10年以上が経った今、ウクライナ戦争が日本国内の原子力に関する議論を再燃させている。英紙
『ファイナンシャル・タイムズ』は、日本最大の原子炉メーカーである三菱重工業は、ロシアのウクライナ侵攻は、日本の原子力産業にとって2011年の福島原発事故以来の「最高の機会」だと述べていると報じている。
三菱重工業の加藤顕彦原子力事業部長は、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで、「将来、ロシアから燃料を輸入するのは難しくなるかもしれない。海外から燃料を輸入する限り、常に不安定さが懸念されることに人々は気づいている」と語り、「安定した国産エネルギー源である原子力発電に対する見方を改めた人が多い」と指摘している。
世界第3位の経済大国である日本は、液化天然ガス(LNG)と石油の価格高騰によって悪化した電力危機に陥っている。...
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三菱重工業の加藤顕彦原子力事業部長は、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで、「将来、ロシアから燃料を輸入するのは難しくなるかもしれない。海外から燃料を輸入する限り、常に不安定さが懸念されることに人々は気づいている」と語り、「安定した国産エネルギー源である原子力発電に対する見方を改めた人が多い」と指摘している。
世界第3位の経済大国である日本は、液化天然ガス(LNG)と石油の価格高騰によって悪化した電力危機に陥っている。日本はLNGの約9%をロシアから輸入しており、西側諸国がモスクワに制裁を加える中、難しい外交的立場に立たされている。ライスタッド・エナジーの電力市場アナリストであるライアン・クロンク氏によれば、加工ウランの4分の1近くをロシアから調達している米国とは対照的に、日本は加工ウランの約55%を西ヨーロッパ諸国から輸入しているという。
『ファイナンシャル・タイムズ』は、三菱重工業の原子力事業部長の発言のように、福島原発事故以来後退してきた日本の原子力産業が今になって発言する勇気を得たことは、日本の原子力談義が変化したことを示している、と伝えている。加藤顕彦原子力事業部長の発言は、岸田首相が今月初めロンドンで、日本は原子力を使って「世界の脱原発の実現に貢献する」と投資家に語った後に出たものである。加藤氏は「政府の姿勢が変わってきている」と述べ、政府が原発の再稼働をさらに強く支持するよう求めた。日本ではすでに2023年までにいくつかの原発が再稼働する計画があり、島根県と宮城県にある原発は、安全検査に合格しているので再稼働の準備が出来ている。
しかし日本は2009年以来、新しい原子力発電所を建設しておらず、代わりに既存の原子炉のメンテナンスとサポートに注力している。三菱重工業にとって重要な収益源の1つは、テロ攻撃やその他の自然災害によって原子炉が破壊された場合に備えて、プラントを安全に停止させるための緊急施設を設置することである。東京に拠点を置くエネルギー・防衛分野のコンサルティング会社Mathyos Advisoryのトム・オサリバン氏は、「日本はエネルギー自給率の向上を切実に必要としている。原子力発電所はサンク・コストであり、2011年以降、十分に活用されていない資産である。原子力発電所がなければ、おそらく電気料金は一気に上昇し、大きな経済的ダメージを受けるだろう。」と指摘している。
一方、日本国民は依然として原子力発電に慎重である。しかし、日本経済新聞社が最近行った世論調査では、安全性が確保されれば原子炉の再稼働を支持するとの回答が53%に達し、福島原発事故以降最も高い割合になった。
米『ブルームバーグ』によると、日本において電炉メーカー最大手の東京製鐵株式会社も、国内の製造業の競争力を復活させるには、さらなる原子力発電が必要不可欠であると述べていると伝えている。東京製鐵の今村清志常務取締役は取材に対し、商品価格の上昇と石炭の段階的な廃止によって、十分な電力を確保することが難しくなっていると述べた。「これは深刻な問題だ」とし「原子力発電の問題をもう一度議論することが重要だ」と述べた。
日本鉄鋼連盟も、経団連と同様に、原子炉の早期再稼働を要求している。岸田首相は先月、エネルギーのほとんどを輸入している日本が燃料価格の上昇と円安に苦しんでいるため、もっと原子力発電の利用を検討する必要があると述べた。
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