米国における新型コロナウィルス感染状況は、感染者58万619人、死者2万3,529人と世界最悪となっている(米ジョンズ・ホプキンス大学集計の4月14日朝現在のデータ)。それでも、米国内最悪となっているニューヨーク州での死者が減少傾向になりつつあり、都市封鎖政策が徐々にではあるが奏功しているとみられる。なお、米疾病予防管理センター(CDC)からは、今後挨拶は握手ではなく、(グータッチでもなく)肘をぶつけ合う方法が推奨されている。
4月14日付
『USAトゥデイ』紙:「米国における新型コロナウィルス感染問題に関わる現状」
<特記事項>
●全米死者数、4月10日に+2千人超の最多を記録するも、4月11日(+1,877人)、12日(+1,557人)と漸減傾向。
●ニューヨーク州、4月13日の死者数が+671人と、直近数日間で最低となり、州知事も“最悪は脱しつつある”とコメント。
●ホワイトハウス、ドナルド・トランプ大統領が、非常事態宣言発令が遅いと批判した公衆衛生専門家を解任しようとしているとの噂を全否定。...
全部読む
4月14日付
『USAトゥデイ』紙:「米国における新型コロナウィルス感染問題に関わる現状」
<特記事項>
●全米死者数、4月10日に+2千人超の最多を記録するも、4月11日(+1,877人)、12日(+1,557人)と漸減傾向。
●ニューヨーク州、4月13日の死者数が+671人と、直近数日間で最低となり、州知事も“最悪は脱しつつある”とコメント。
●ホワイトハウス、ドナルド・トランプ大統領が、非常事態宣言発令が遅いと批判した公衆衛生専門家を解任しようとしているとの噂を全否定。
●原子力空母“セオドア・ルーズベルト”の乗組員に初の犠牲者。
<全米の状況>
・全米の死者数は、4月10日のグッドフライデー(聖金曜日、祝日)に+2千人超と最悪を記録したが、4月11日が+1,877人、4月12日イースター(祝日)が+1,557人と、2日連続で減少。
(編注;4月13日イースターマンデー(祝日)も速報値で+1,509人と減少)
・中西部インディアナ州バトラー大学(1855年設立の私立大学)薬学・保健学科のオグボンナヤ・オメンカ主任は『USAトゥデイ』紙のインタビューに答えて、都市封鎖の“段階的解除”が今後必要になるが、“早すぎると、感染が再び悪化する恐れがある”と警告。
・『USAトゥデイ』紙が、3月10~11日と4月9~10日それぞれで行ったアンケート結果を比較したところ、新型コロナウィルスが個人及び米国にとっての脅威となるとした人が倍増。また、数週間で収束するとしていた見方が大勢を占めていたが、現在は数ヵ月~1年以上とみる人が多数。
・ニューヨーク株式相場は、新型コロナウィルス感染問題改善の期待感から、先週の4営業日で+12%、直近3週間では+20%以上の上昇。
・トランプ政権が発動を決めた2兆2千億ドル(約237兆6千億円)の経済支援策に基づく拠出金が、都市封鎖で喘ぐ産業界に行き渡ってくるとの期待感も、株価上昇を後押し。
<ニューヨーク州>
・アンドリュークオモ州知事は、4月13日の州内での死者が+671人と、直近数日間で最低となり、“最悪の危機は脱しつつある”としながらも、“外出自粛、感染防止策の徹底”が引き続き行われなければ、再び最悪の状況になりかねないと念押し。
<ホワイトハウス>
・ホワイトハウスのホーガン・ギドリィ報道官は4月13日、トランプ大統領が、米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長を解任するとの噂について、全面否定。
・同所長は4月12日の『CNN』の番組で、もしトランプ大統領が非常事態宣言を3月13日よりもっと早く発令しておれば、犠牲者は今より少なかった可能性がある、と批評。
・同所長コメントに対して、トランプ支持者のディアンナ・ロレイン氏(仇敵ナンシー・ロペス下院議長に挑むサンフランシスコ選挙区下院議員候補者)が、“ファウチ所長こそが新型コロナウィルス問題を軽視した張本人”として“#ファウチ解任”とツイートしたところ、トランプ大統領が4月12日夜にそれをリツイートしたことから、解任との噂がメディア報道。
<原子力空母“セオドア・ルーズベルト”>
・同空母乗組員約4,800人のうち、約600人が新型コロナウィルスに感染。
・同空母は3月27日にグアム港に停泊し、感染者の隔離等を実施中。
・3月30日に感染が確認された1人の乗組員を下船させて、隔離施設に収容していたが、4月9日に急に容体悪化し、4月13日死亡。同空母での初の犠牲者。
・同空母のブレット・クロージャー艦長(当時)が3月29日、SOSの書簡を海軍上層部宛に送付したが、メディアにも漏らしたとして、米海軍のトーマス・モドリィ長官代行が同艦長を解任。しかし、この決定に対して、米海軍内のみならず政界等からも一斉に非難の声が上がり、結局同長官代行が辞任に追い込まれる事態。
一方、同日付『テック・インサイダー(技術ニュース・ウェブサイト)』:「感染症専門家、ウィルス禍収束後は握手の挨拶は止めるべきと提案」
感染症の専門家であるファウチ所長は先週、新型コロナウィルス問題が収束した後も、握手という伝統的な挨拶は止めた方がよいとコメントした。
『シンクレア・ブロードキャスト・グループ』の番組で語ったもので、同所長は、“握手は、呼吸器系疾患が伝染する主要因だ”とした上で、“握手は必ずしも必要な挨拶の手段ではなく、今後時代遅れのものになるだろう”と付言している。
同所長は、米政府の新型コロナウィルス対策チームの主要メンバーであり、トランプ大統領の記者会見にしばしば同席している。
一方、CDCは、握手を避けて、代わりに肘をぶつける挨拶をすることを推奨している。
閉じる
ドナルド・トランプ大統領は、女性蔑視や人種差別的発言など、就任以前からも問題とされてきた。そして、自身に抗うものには容赦はせず、例えば、全米プロフットボールチームの有名選手らが、同大統領の人種差別発言に抗議して、試合前の国歌斉唱の際、起立せずに膝立ちしたことを咎め、かかる選手らは解雇すべきだと、ツイッターで運営側に圧力をかけている。そうした中、大学のアマチュア・スポーツチームが優勝した場合、同大統領がホワイトハウスに招待して栄誉を称えることを行っているが、大学の中には、招待を受けることで政治的中立を貫けない等の問題を重視し、辞退する動きが広がっている。
5月3日付
『Foxニュース』(
『シンクレア・ブロードキャスト・グループ(SBG)テレビ』配信):「米大学、学生スポーツ選手へのホワイトハウス招待を受けるべきかの難問に直面」
バージニア州立大学の男子バスケットボールチームのコーチ、トニー・ベネット氏は4月27日、全米大学体育協会(N.C.A.A.)主催バスケットボール・トーナメントで優勝した同大学チームをホワイトハウスに招待するとの誘いを断念した旨公表した。
非営利団体リーダーシップ・インスティテュート(1979年設立)の大学改革担当のロブ・シムショック氏は『SBG』のインタビューに答えて、左右分断が顕著となりつつある政治的環境下、米国の大学が、トランプ政権と関係付けられないような動きを示しているものだとコメントした。
更に同氏は、本来なら、優勝チームはホワイトハウスにおいて栄誉を称賛されることを無上の喜びとするはずだが、それが許されない事態に陥っていることは嘆かわしいことだとも付言した。
同コーチは招待断念の理由を、日程的な都合とした上で、同大学内の政治的中立団体“センター・フォー・ポリティクス”発起人のラリー・サバト教授が、『ニューヨーク・タイムズ』紙は軽信性(信じやすいこと)を嗜めようとしていると説明していることを引用した。
同コーチのコメント公表前に、一部の同大バスケットボール選手が反トランプであると表明していた。
大学スポーツの優勝チームをホワイトハウスに招待することは、長く慣例となってきていた。
しかし、トランプ大統領の恣意的な都合によってバラつきがあるようで、特に女子チームの場合、招待されていないことがある。
2017年には、全米バスケットボール協会所属のゴールデンステート・ウォリアーズ(カリフォルニア州)が招待されたが、同チームのスタープレーヤー、ステフィン・カリー選手が参加を拒否したことから、同大統領がその招待を撤回してしまった。
そこで、同チームは代わりに、バスケットボール支援者で前大統領のバラク・オバマ氏を表敬訪問している。
また2018年には、2017年スーパーボウル(全米プロフットボール優勝決定戦)優勝のフィラデルフィア・イーグルスの一部選手が、同大統領の政治的姿勢が受け入れられないので、ホワイトハウスには行かないと表明したことから、同大統領はこの招待も撤回している。
一方、今週初め、N.C.A.A.女子バスケットボール・トーナメント優勝のベイラー大(テキサス州の私立大学)の女子バスケットボールチームは、同大統領の招待を受けてホワイトハウスを訪問した。
女子チームとして初めてホワイトハウスを訪問したものだが、ミッション系の保守的な大学である同大バスケットボールチームのコーチは『AP通信』のインタビューに答えて、この招待は政治的意味合いはないと判断して受諾したものだとコメントしている。
閉じる