ドナルド・トランプ大統領は、女性蔑視や人種差別的発言など、就任以前からも問題とされてきた。そして、自身に抗うものには容赦はせず、例えば、全米プロフットボールチームの有名選手らが、同大統領の人種差別発言に抗議して、試合前の国歌斉唱の際、起立せずに膝立ちしたことを咎め、かかる選手らは解雇すべきだと、ツイッターで運営側に圧力をかけている。そうした中、大学のアマチュア・スポーツチームが優勝した場合、同大統領がホワイトハウスに招待して栄誉を称えることを行っているが、大学の中には、招待を受けることで政治的中立を貫けない等の問題を重視し、辞退する動きが広がっている。
5月3日付
『Foxニュース』(
『シンクレア・ブロードキャスト・グループ(SBG)テレビ』配信):「米大学、学生スポーツ選手へのホワイトハウス招待を受けるべきかの難問に直面」
バージニア州立大学の男子バスケットボールチームのコーチ、トニー・ベネット氏は4月27日、全米大学体育協会(N.C.A.A.)主催バスケットボール・トーナメントで優勝した同大学チームをホワイトハウスに招待するとの誘いを断念した旨公表した。
非営利団体リーダーシップ・インスティテュート(1979年設立)の大学改革担当のロブ・シムショック氏は『SBG』のインタビューに答えて、左右分断が顕著となりつつある政治的環境下、米国の大学が、トランプ政権と関係付けられないような動きを示しているものだとコメントした。
更に同氏は、本来なら、優勝チームはホワイトハウスにおいて栄誉を称賛されることを無上の喜びとするはずだが、それが許されない事態に陥っていることは嘆かわしいことだとも付言した。
同コーチは招待断念の理由を、日程的な都合とした上で、同大学内の政治的中立団体“センター・フォー・ポリティクス”発起人のラリー・サバト教授が、『ニューヨーク・タイムズ』紙は軽信性(信じやすいこと)を嗜めようとしていると説明していることを引用した。
同コーチのコメント公表前に、一部の同大バスケットボール選手が反トランプであると表明していた。
大学スポーツの優勝チームをホワイトハウスに招待することは、長く慣例となってきていた。
しかし、トランプ大統領の恣意的な都合によってバラつきがあるようで、特に女子チームの場合、招待されていないことがある。
2017年には、全米バスケットボール協会所属のゴールデンステート・ウォリアーズ(カリフォルニア州)が招待されたが、同チームのスタープレーヤー、ステフィン・カリー選手が参加を拒否したことから、同大統領がその招待を撤回してしまった。
そこで、同チームは代わりに、バスケットボール支援者で前大統領のバラク・オバマ氏を表敬訪問している。
また2018年には、2017年スーパーボウル(全米プロフットボール優勝決定戦)優勝のフィラデルフィア・イーグルスの一部選手が、同大統領の政治的姿勢が受け入れられないので、ホワイトハウスには行かないと表明したことから、同大統領はこの招待も撤回している。
一方、今週初め、N.C.A.A.女子バスケットボール・トーナメント優勝のベイラー大(テキサス州の私立大学)の女子バスケットボールチームは、同大統領の招待を受けてホワイトハウスを訪問した。
女子チームとして初めてホワイトハウスを訪問したものだが、ミッション系の保守的な大学である同大バスケットボールチームのコーチは『AP通信』のインタビューに答えて、この招待は政治的意味合いはないと判断して受諾したものだとコメントしている。
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