国連事務総長;米中新冷戦勃発を懸念【米・ロシアメディア】(2021/09/23)
国連では今週、第76回総会が2年振りに多くの首脳を迎えて開催されている。そのうち、就任後初出席となったジョー・バイデン大統領(78歳)、そしてビデオ出席となった習近平国家主席(シー・チンピン、68歳)が異口同音に、具体的国名は言及しなかったものの、大国間の争いに勝利すると宣言している。そこで国連事務総長が、このまま新たな米中冷戦に突き進むことの懸念を表明し、米ソ冷戦時代とは違って、鎮静化が非常に難しいとして双方に関係修復を促している。
9月22日付米
『SBGニュース』(1986年設立の全米最大級のローカルテレビ局運営のシンクレア・ブロードキャスト・グループ):「国連事務総長、米中冷戦勃発を懸念」
地球温暖化対策、遅れ気味の世界レベルの新型コロナウィルス(COVID-19)ワクチン配布問題、更には世界経済の再活性化と、世界をリードする大国にとって、一緒に戦っていくべき長期的かつ切実な問題が山積している。
しかし、9月19日に『AP通信』のインタビューに答えたアントニオ・グテーレス国連事務総長(72歳、ポルトガル元首相、2017年就任)は、両大国が向かおうとしている危険極まりない対決姿勢について警鐘を鳴らした。...
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9月22日付米
『SBGニュース』(1986年設立の全米最大級のローカルテレビ局運営のシンクレア・ブロードキャスト・グループ):「国連事務総長、米中冷戦勃発を懸念」
地球温暖化対策、遅れ気味の世界レベルの新型コロナウィルス(COVID-19)ワクチン配布問題、更には世界経済の再活性化と、世界をリードする大国にとって、一緒に戦っていくべき長期的かつ切実な問題が山積している。
しかし、9月19日に『AP通信』のインタビューに答えたアントニオ・グテーレス国連事務総長(72歳、ポルトガル元首相、2017年就任)は、両大国が向かおうとしている危険極まりない対決姿勢について警鐘を鳴らした。
同事務総長は、現下の米中関係は、“全くの機能不全”に陥っていると、具体例を挙げて強調した。
同事務総長は、“現在懸念される米中新冷戦は、かつての米ソ冷戦と違って、より多くの危険をはらみ、かつ、うまく治めるのは非常に困難な代物であるから、何としてでもこれを回
避させる必要がある”と訴えた。
多くの専門家も懸念するとおり、COVID-19対応問題に関わる様々な衝突、米軍撤退後のアフガニスタンにおける中国軍の展開、更には、米中貿易に関わる関税賦課合戦や中国によるサイバー攻撃等、米中間の対立事態は余りにも多い。
ジョー・バイデン大統領は9月21日、国連総会での演説で、“我々は新冷戦に突入することは全く考えていない”と強調している。
しかし、米中両国の対立が激しくなるのは疑いもないことであろう。
何故なら、先週(9月15日)に合意された米・英・オーストラリア3ヵ国の安全保障枠組み(AUKUS)の仮想敵国は中国とされており、同大統領自身もこの安全保障取り組みが最優先される事項だと言及しているからである。
「やがて訪れる中国の崩壊」(2001年発刊)の著者であるゴードン・チャン氏(70歳、作家・弁護士)は、“バイデン政権は、中国が米国政府を打倒するために、総合的かつ悪意のあるやり方で迫ってくるということをよく理解する必要がある”とコメントしている。
同氏の見解は、多くの人に受け入れられてはいないが、無視できないことは、香港・チベット・ウィグル族問題から南シナ海における一方的な制海権固執にみてとれるように、中国が世界の民主主義を押し退けようとしているという点である。
なお、米国防総省のロイド・オースティン長官(68歳)は9月16日、“我々は中国共産党政府と良好な関係を築く努力をしていくが、彼らが既に確立された国際秩序を覆そうとする活動を行わないか、しっかり注視していく意向である”と発言している。
9月21日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「グテーレス国連事務総長、新冷戦を回避するため米中両国に関係修復を要求」
グテーレス国連事務総長は、国連総会開催前に『AP通信』のインタビューに答えて、米中関係は“完全に破壊されて”しまっており、このままでは米中新冷戦に突入し、その結果世界中の多くの国に累が及ぶことになる恐れがあるので、両国に対して関係修復に努めるよう強く要求すると語った。
同事務総長は具体的に、米中両国が、気候変動対策、世界経済再活性化、人権問題、サイバーセキュリティ、南シナ海領有権問題等々、お互いにもっと協力すべく振舞う必要がある、と強調した。
これに対して、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官(42歳)は9月20日、同事務総長が言及した、米中関係は破壊されているという評価について、米国政府は受け入れられないと表明した。
同報道官は、両国は“衝突というより競合関係”にあるとした上で、バイデン大統領も、“世界のどの国とも冷戦に発展させる意向は全くない”と明言している、と付言した。
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米国の大学に難問;優勝チームの学生スポーツ選手がトランプ大統領によるホワイトハウス招待に応じるべきかどうかで物議【米メディア】(2019/05/03)
ドナルド・トランプ大統領は、女性蔑視や人種差別的発言など、就任以前からも問題とされてきた。そして、自身に抗うものには容赦はせず、例えば、全米プロフットボールチームの有名選手らが、同大統領の人種差別発言に抗議して、試合前の国歌斉唱の際、起立せずに膝立ちしたことを咎め、かかる選手らは解雇すべきだと、ツイッターで運営側に圧力をかけている。そうした中、大学のアマチュア・スポーツチームが優勝した場合、同大統領がホワイトハウスに招待して栄誉を称えることを行っているが、大学の中には、招待を受けることで政治的中立を貫けない等の問題を重視し、辞退する動きが広がっている。
5月3日付
『Foxニュース』(
『シンクレア・ブロードキャスト・グループ(SBG)テレビ』配信):「米大学、学生スポーツ選手へのホワイトハウス招待を受けるべきかの難問に直面」
バージニア州立大学の男子バスケットボールチームのコーチ、トニー・ベネット氏は4月27日、全米大学体育協会(N.C.A.A.)主催バスケットボール・トーナメントで優勝した同大学チームをホワイトハウスに招待するとの誘いを断念した旨公表した。...
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5月3日付
『Foxニュース』(
『シンクレア・ブロードキャスト・グループ(SBG)テレビ』配信):「米大学、学生スポーツ選手へのホワイトハウス招待を受けるべきかの難問に直面」
バージニア州立大学の男子バスケットボールチームのコーチ、トニー・ベネット氏は4月27日、全米大学体育協会(N.C.A.A.)主催バスケットボール・トーナメントで優勝した同大学チームをホワイトハウスに招待するとの誘いを断念した旨公表した。
非営利団体リーダーシップ・インスティテュート(1979年設立)の大学改革担当のロブ・シムショック氏は『SBG』のインタビューに答えて、左右分断が顕著となりつつある政治的環境下、米国の大学が、トランプ政権と関係付けられないような動きを示しているものだとコメントした。
更に同氏は、本来なら、優勝チームはホワイトハウスにおいて栄誉を称賛されることを無上の喜びとするはずだが、それが許されない事態に陥っていることは嘆かわしいことだとも付言した。
同コーチは招待断念の理由を、日程的な都合とした上で、同大学内の政治的中立団体“センター・フォー・ポリティクス”発起人のラリー・サバト教授が、『ニューヨーク・タイムズ』紙は軽信性(信じやすいこと)を嗜めようとしていると説明していることを引用した。
同コーチのコメント公表前に、一部の同大バスケットボール選手が反トランプであると表明していた。
大学スポーツの優勝チームをホワイトハウスに招待することは、長く慣例となってきていた。
しかし、トランプ大統領の恣意的な都合によってバラつきがあるようで、特に女子チームの場合、招待されていないことがある。
2017年には、全米バスケットボール協会所属のゴールデンステート・ウォリアーズ(カリフォルニア州)が招待されたが、同チームのスタープレーヤー、ステフィン・カリー選手が参加を拒否したことから、同大統領がその招待を撤回してしまった。
そこで、同チームは代わりに、バスケットボール支援者で前大統領のバラク・オバマ氏を表敬訪問している。
また2018年には、2017年スーパーボウル(全米プロフットボール優勝決定戦)優勝のフィラデルフィア・イーグルスの一部選手が、同大統領の政治的姿勢が受け入れられないので、ホワイトハウスには行かないと表明したことから、同大統領はこの招待も撤回している。
一方、今週初め、N.C.A.A.女子バスケットボール・トーナメント優勝のベイラー大(テキサス州の私立大学)の女子バスケットボールチームは、同大統領の招待を受けてホワイトハウスを訪問した。
女子チームとして初めてホワイトハウスを訪問したものだが、ミッション系の保守的な大学である同大バスケットボールチームのコーチは『AP通信』のインタビューに答えて、この招待は政治的意味合いはないと判断して受諾したものだとコメントしている。
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