1月24日付
『BET』(ブラック・エンターテインメントTV、注1後記):「シモーネ・バイルズ選手、東京大会が今夏開催されれば“100%参加”と表明」
2020年東京大会は、COVID-19感染流行問題より今夏に延期されたが、世界でこの問題が沈静化していないことから、果たして予定どおり開催できるのか不確かな状況である。
しかし、数多の金メダルを獲得してきたシモーネ・バイルズ選手(23歳、注2後記)が1月22日、『NBCニュース』のニュース番組「トゥデイ(1952年放送開始の長寿番組)」に出演して、感染症流行問題が制御可能となって、今夏に開催されるようになれば、必ず参加するとコメントした。
彼女は、“感染症が流行している現在、今後どういう展開になるのか、いろいろな面で心の準備をしながら練習に取り組んでいる”とした上で、“参加する選手を含めた全関係者が、感染しないよう気を付ける必要がある”とコメントした。
そして、彼女は、“感染症が全くなくなってしまう、ということはないかも知れないが、IOC等主催者が、種々制限を付けながらも開催に漕ぎ着けるなら、彼らが望むように、私は100%参加する”と強調した。
更に、“大会が1年延期されたのは、世界中のアスリートにとって酷な話だが、私一人でなく、皆大会を心待ちにしていると思う”と付言した。
なお、英国の『ザ・タイムズ』紙が1月21日、大会の中止は必至、と報じていたが、大会組織委員会はすぐさま、大会は依然予定どおり開催する方向であり、菅義偉首相(72歳)も開催に向けて後押ししてくれている、との声明を発表している。
同日付『ロイター通信』:「IOC会長、IOC委員全員がトンネルを抜けた先の光として大会開催があると考えていると表明」
IOCのトーマス・バッハ会長(67歳)は、IOCアスリートコミッション(注3後記)からのアドバイスでは、選手は皆延期に伴って困難を経験しているが、感染症に打ち勝って今夏に開催されるよう、熱意をもって心待ちにしている、と聞いていると表明した。
アスリートの何人かは、1年間の延期でかなり状況が厳しくなっているので、今夏の開催を切望しているという。
例えば、米国女子体操のバイルズ選手は1月22日、ニュース番組に出演して、“毎朝起床してジムでの練習に赴く度に、年齢を感じざるを得ず、身体と相談しながら練習に励んでいる”とした上で、“恐らく今夏の東京大会が自身最後のオリンピックとなると思うので、それに照準を合わせて最善を尽くしている”と語っている。
(注1)BET:1980年設立の米国有料TVチャンネル。放送網は米国の他、カナダ、フランス、英国、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国、韓国。米国内の契約者は約8,800万世帯と全米の約76%を占める。本社はニューヨーク。
(注2)シモーネ・バイルズ:オハイオ州出身の女子体操選手。2016年リオデジャネイロ・オリンピックでは金4個、銅1個を獲得。また、2013~2019年に開催された世界体操競技選手権では、男女通じて最多の金19個含めて、計25個(銀3個、銅3個)獲得とこれも男女通じて最多記録。
(注3)IOCアスリート・コミッション:オリンピックムーブメントの中心にアスリートを据えることを目指した「オリンピックアジェンダ2020」を反映して組成。アスリートへの支援を強化、及び、アスリートとIOCの間の架け橋として機能。そして、IOC執行役員会やIOC会長に対して、アスリートの関わる問題についての助言を行う。
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1月22日付
『ニューヨーク・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「IOC:報道内容を否定して、東京オリンピックは予定どおり今夏開催と宣言」
IOCのトーマス・バッハ会長(67歳、ドイツ人弁護士、元フェンシング選手)も東京大会組織委員会も、今夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックは予定どおり開催されると改めて強調した。
これは、英国『ザ・タイムズ』紙が、日本の与党関係者の話を引用して、“今夏に延期された東京大会は、現下の新型コロナウィルス(COVID-19)問題深刻化のために、中止止む無し”と報道したことに反発したものである。
同紙によると、政府関係者は、“誰も言い出さないので敢えて言うが、東京大会開催は困難という考えで一致している”と証言したという。
しかし、これに対して、東京大会組織委員会は1月22日にリリースした声明で、“日本政府、東京都、IOC等大会関係者は全て、今夏の大会開催に向けて最善を尽くしている”と強調した。
更に、“日常の生活が一日も早く正常に戻ることを期待するとともに、引き続き安全第一を主眼とした大会開催に向けて準備を進めていく”とも言及した。
同紙記事は、IOCが既に2024年大会はパリ、2028年大会はロスアンゼルス開催と決定しているので、日本側としては、今夏の大会を中止とする代わりに2032年大会の開催地とすることで決着させたいと希望しているとも報じている。
ただ、2032年開催との案については、今大会開催に当たって既に250億ドル(約2兆6千億円)投下済みであること、今大会用に設けた競技場を11年後まで維持することや関連施設のリース・利用契約を再び結び直すこと等の困難さより、現実的な話とはなるまい。
一方、今月初めに日本政府が東京首都圏はじめ主要都市を対象として、緊急事態宣言を再発出したことに伴い、同紙の他いくつかのメディアが、今夏の大会開催中止の見通しについて報じ始めていた。
しかし、IOCバッハ会長は1月21日、『共同通信』のインタビューに答えて、“現段階で、今夏の大会開催を取り止めるという考えは一切ない”と当該記事内容を全否定している。
IOC最古参委員であるリチャード・パウンド氏(78歳、カナダ人弁護士、元競泳選手)は今週初め、今夏の大会が開催される場合、極端な話として無観客とし、主にテレビ放映用に挙行されることになるのではないか、とコメントしていた。
IOCは、大会開催に当たって、テレビ等の放映権料収入が全収入の73%を占めていることから、大会中止とするよりも開催してテレビ放映だけでも行う方が考えやすい。
何故なら、他のスポーツ競技関連事業に比較して、IOCの収入源は夏季及び冬季大会のみであるからである。
そこでバッハ会長は、大会を予定どおり開催するためには、大胆な変更も考慮する必要があるかも知れないと言及した。
すなわち、オリンピックには約1万1千人、パラリンピックには約4,400人の選手に加えて、それぞれ各国コーチ、大会関係者、招待客、メディア等大勢が関わることから、“ある程度の犠牲は止む無し”とした上で、“あくまで安全第一を主眼として開催する必要がある”と表明している。
更に同会長は、“昨年3月に大会の1年延期を決定した際と、今年の3月では大きな違いがある”として、“感染症の解明、ワクチン開発等、科学的・医学的に大きく進歩しているからだ”と強調した。
なお、日本においては、他欧米諸国に比べて、COVID-19感染者も死者もかなり低いが、IOCとしては、大会開催に当たって、選手団や大会関係者の感染チェック、ワクチン接種、ソーシャルディスタンシングの徹底、また、必要に応じて選手団の隔離等に注力する必要があるとしている。
同日付『ロイター通信』:「日本の首相、メディア報道を否定して東京大会は開催されると断言」
菅義偉首相(72歳)は1月22日、前日の英国『ザ・タイムズ』紙報道に関連して、“今夏の東京大会は、COVID-19に打ち勝ったことの証明として、安全に開催されるよう取り進められている”と強調した。
また、東京大会組織委員会も、“菅首相が大会開催を改めて確認したとおり、政府関係者は一丸となってCOVID-19封じ込めに努めており、また、安全に大会を開催するための対応策も準備中である”と表明した。
ただ、日本にCOVID-19感染の第3波が発生していることから、直近の世論調査では、約80%が今夏の大会開催は無理だと回答している。
同日付『タス通信』:「日本政府、東京大会開催中止との報道を否定」
坂井学内閣官房副長官(55歳)は1月22日、英国『ザ・タイムズ』紙の報道を全面否定した。
同副長官は、報道されている、政府内で大会開催断念の考えで一致といったような話は“一切なく、真実ではない”と強調した。
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