【Globali】
香港行政長官に親中派の林鄭氏選ばれる
香港政府のトップを決める行政長官選挙が3月26日行われ、女性で親中派の林鄭月娥氏が予想通り当選した。選挙は有権者の直接選挙ではなく、業界より選出された選挙人による間接選挙であり、選挙人は中国とビジネスで関係が深い親中派が多数を占めており、結果は投票前からある程度予想されていたものである。林鄭氏は現在の梁長官の下、ナンバー2の政務官を勤め香港の自主独立を求める民主派に対し、中国寄りの強硬姿勢を示してきたので民主派からの支持は低い。親中派と民主派との分断は益々深まっており、この修復が林鄭次期長官の最大の課題となる。
3月27日付香港の
『サウスチャイナ・モーニングポスト』は「林鄭氏の公約である結束は分断修復への良いスタート」と題する社説を掲載して、林鄭氏の当選は投票前から既成事実化していたが、投票で信任が確認された以上、今後は新しい指導者のもと結束して香港の再建に進もうと呼びかけている。林鄭氏は1,163名の選挙人のうち予想を上回る777名を獲得しており少なくとも支配層からの支持は現長官よりも高いし、当選後のスピーチで結束を呼び掛けたことは正しい。...
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3月27日付香港の
『サウスチャイナ・モーニングポスト』は「林鄭氏の公約である結束は分断修復への良いスタート」と題する社説を掲載して、林鄭氏の当選は投票前から既成事実化していたが、投票で信任が確認された以上、今後は新しい指導者のもと結束して香港の再建に進もうと呼びかけている。林鄭氏は1,163名の選挙人のうち予想を上回る777名を獲得しており少なくとも支配層からの支持は現長官よりも高いし、当選後のスピーチで結束を呼び掛けたことは正しい。しかし一般市民の支持は一番低いので、支持率の引き上げが今後の課題である。30年以上香港政府に勤務し彼女の行政能力には疑いはないが、自分本位で自信過剰であり部下や幅広い支持が課題となっている。香港は中国との緊張関係が高まっているのは勿論のこと貧富の格差、住宅価格の高騰、景気の低迷という根深い問題も抱えている。
香港の中国返還から間もなく20年であり、中国返還後制度化された一国二制度を今後任期5年間でどの方向に導いて行くかが、香港の将来に大きく影響することになる。林鄭氏は中国の支持を得て長官になったといわれないように、彼女の実力と市民の支持を得て真の長官となることが試されていると主張する。
3月26日付
『ニューヨークタイムズ』は、「林鄭氏、香港次期指導者に当選」という見出しで、日曜日親中派が多数を占める選挙委員会は林鄭氏を次期指導者に選んだが、中国政府寄りの候補の選択は香港の独立が中国の脅威にさらされていると感じる香港市民を失望させるものとなる可能性を含むと報じている。林鄭氏は2014年、中国の関与が強くなるとして市街地の一部の機能をマヒさせたほどの市民の反対を生んだため頓挫した長官選挙方法の変更を主導した人物である。その後も特に若者を中心として香港の自主独立を求める動きは続いており、立法議員選挙では独立派の二人の若者が当選したが、中国の司法介入により二人の当選は無効とされた。その後も書店主や富豪が突然香港から姿を消して中国本土の警察に拘留されるなどの事件が起こり市民を不安にしているが、一方で中国との共存を望み民主化運動を破壊的な行動とみなす人もいる。香港はまた政治問題に加えて、格差拡大、住宅価格の高騰、景気低迷など経済問題も抱えていると報じている。
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