香港:暴動が大学にも飛び火し帰国する留学生(2019/11/14)
香港で続く反政府デモでは、大学までも警察とデモ隊の衝突の場と化している。香港の8つの公立大学で留学生は 5分の1を占めており、交通機関やキャンパスが閉鎖され講義が中止されるなど、帰国を余儀なくされる留学生もいるという。
11月13日付
『Yahooニュース』(AP通信引用)は「暴動悪化で、香港を去る中国などからの外国人留学生」との見出しで以下のように報道している。
中国本土や台湾からの留学生は香港を後にし、北欧出身の学生らは帰国要請が出ている。反政府デモが5ヶ月続き、大学も騒動の舞台となっている。水上警察は、警察との衝突後にバリケードされたままの香港中文大学の学生のためボートを用意。デモ隊は反中国の姿勢を貫き、過激派は、中国銀行の支店や、経営者が中国政府を支援する新華社通信やレストランチェーンを激しく非難、電車やビジネス街を占拠し、大学にも立て込んだ。...
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11月13日付
『Yahooニュース』(AP通信引用)は「暴動悪化で、香港を去る中国などからの外国人留学生」との見出しで以下のように報道している。
中国本土や台湾からの留学生は香港を後にし、北欧出身の学生らは帰国要請が出ている。反政府デモが5ヶ月続き、大学も騒動の舞台となっている。水上警察は、警察との衝突後にバリケードされたままの香港中文大学の学生のためボートを用意。デモ隊は反中国の姿勢を貫き、過激派は、中国銀行の支店や、経営者が中国政府を支援する新華社通信やレストランチェーンを激しく非難、電車やビジネス街を占拠し、大学にも立て込んだ。
デンマーク工科大学は36人の学生に帰国勧告を行い、火をつけるとの理由で寮からの退去を命じられた学生もいる。スウェーデンの王立工科大学も香港に住む学生26人に帰国を勧告。
北京イブニングニュースによると、中国本土の学生が「デモ隊が寮に侵入し、壁にスプレーで落書きしドアを叩かれる」としている。中国メディアによると、多くの人は、十数のホテルやシンセンなどの周辺都市のホテルに一週間無料滞在できるプログラムを利用しているという。このサービスは2013年、技術ハブでの就職を目指す新卒生向けに始まったもの。香港公共放送RTHKによると、台湾は帰国する126人の学生の飛行機チケットを手配したという。交通機関はデモ隊が投げ入れた瓦礫など線路が使えず、車両も壊され今も閉鎖されている。大学の講義は中断したまま。香港バプテスト大学は、残り2週間の今学期は、中国本土生にも対応し、講義やテストをオンラインで行うと通知。
教育局は、安全確保を理由に小学校と中学校の授業を一時中断すると発表。学生は自宅待機し、違法活動への参加は禁止するとしている。マスクをした多くのデモ参加者は高校や大学生と見られている。警察によると、デモ発生以来、逮捕者4000人以上に上り、その4割は学生だという。
同日付香港『サウスチャイナ・モーニングポスト』は「滞在か帰国か?デモが泥沼化する香港で荷物をまとめる留学生」との見出しで以下のように報道している。
香港留学生の間では香港を出るか、留まるかが目下の話題だという。香港の8つの公立大学には1.8万人の留学生がいる。50を超える国と地域からきており、 5分の1を占める。香港水上警察は香港中文大学の本土の学生の退去のために船を出し支援した。セントエドワード大学やサウスカロライナ大学を含む複数の大学が、帰国を促している。
台湾の教育省によると、41人の香港中文大学の台湾人留学生が既に自費で帰国したという。スェーデンからの留学生は、数人の友人が既に帰国、家族の心配に加え、保険会社が補償を取り消すと脅してきたためだという。キャンパスを閉鎖した大学では、殆どの食堂も閉まっており、食事はインスタントやコンビニで済ませるのだという。
香港のシンガポール領事館は、状況を注視しているとし、インドネシア領事館は、学生に対し安全確保や、法規の順守を呼びかけているという。日本領事館は、全滞在邦人に対し、デモを避け、デモ隊の撮影を控えるよう警告する文書を公表している。
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香港行政長官に親中派の林鄭氏選ばれる(2017/03/27)
香港政府のトップを決める行政長官選挙が3月26日行われ、女性で親中派の林鄭月娥氏が予想通り当選した。選挙は有権者の直接選挙ではなく、業界より選出された選挙人による間接選挙であり、選挙人は中国とビジネスで関係が深い親中派が多数を占めており、結果は投票前からある程度予想されていたものである。林鄭氏は現在の梁長官の下、ナンバー2の政務官を勤め香港の自主独立を求める民主派に対し、中国寄りの強硬姿勢を示してきたので民主派からの支持は低い。親中派と民主派との分断は益々深まっており、この修復が林鄭次期長官の最大の課題となる。
3月27日付香港の
『サウスチャイナ・モーニングポスト』は「林鄭氏の公約である結束は分断修復への良いスタート」と題する社説を掲載して、林鄭氏の当選は投票前から既成事実化していたが、投票で信任が確認された以上、今後は新しい指導者のもと結束して香港の再建に進もうと呼びかけている。林鄭氏は1,163名の選挙人のうち予想を上回る777名を獲得しており少なくとも支配層からの支持は現長官よりも高いし、当選後のスピーチで結束を呼び掛けたことは正しい。...
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3月27日付香港の
『サウスチャイナ・モーニングポスト』は「林鄭氏の公約である結束は分断修復への良いスタート」と題する社説を掲載して、林鄭氏の当選は投票前から既成事実化していたが、投票で信任が確認された以上、今後は新しい指導者のもと結束して香港の再建に進もうと呼びかけている。林鄭氏は1,163名の選挙人のうち予想を上回る777名を獲得しており少なくとも支配層からの支持は現長官よりも高いし、当選後のスピーチで結束を呼び掛けたことは正しい。しかし一般市民の支持は一番低いので、支持率の引き上げが今後の課題である。30年以上香港政府に勤務し彼女の行政能力には疑いはないが、自分本位で自信過剰であり部下や幅広い支持が課題となっている。香港は中国との緊張関係が高まっているのは勿論のこと貧富の格差、住宅価格の高騰、景気の低迷という根深い問題も抱えている。
香港の中国返還から間もなく20年であり、中国返還後制度化された一国二制度を今後任期5年間でどの方向に導いて行くかが、香港の将来に大きく影響することになる。林鄭氏は中国の支持を得て長官になったといわれないように、彼女の実力と市民の支持を得て真の長官となることが試されていると主張する。
3月26日付
『ニューヨークタイムズ』は、「林鄭氏、香港次期指導者に当選」という見出しで、日曜日親中派が多数を占める選挙委員会は林鄭氏を次期指導者に選んだが、中国政府寄りの候補の選択は香港の独立が中国の脅威にさらされていると感じる香港市民を失望させるものとなる可能性を含むと報じている。林鄭氏は2014年、中国の関与が強くなるとして市街地の一部の機能をマヒさせたほどの市民の反対を生んだため頓挫した長官選挙方法の変更を主導した人物である。その後も特に若者を中心として香港の自主独立を求める動きは続いており、立法議員選挙では独立派の二人の若者が当選したが、中国の司法介入により二人の当選は無効とされた。その後も書店主や富豪が突然香港から姿を消して中国本土の警察に拘留されるなどの事件が起こり市民を不安にしているが、一方で中国との共存を望み民主化運動を破壊的な行動とみなす人もいる。香港はまた政治問題に加えて、格差拡大、住宅価格の高騰、景気低迷など経済問題も抱えていると報じている。
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