菅総理、米国バイデン大統領と会談の可能性(2021/03/09)
バイデン米大統領が、パンデミックの状況次第だが、早くて4月中にも菅総理をホワイトハウスに招き、首脳会談する方向で調整しているという。実現すれば訪米する初の外国首脳となる。対面の首脳会談の調整は、バイデン政権の外交政策が一部通常に戻りつつあることを示している。
3月7日付米国
『アクシオス』は「日本の首相がホワイトハウス初訪問との情報」との見出しで以下のように報道している。
関係筋によるとバイデン大統領が日本の首相を4月にもホワイトハウスへ招待する予定、就任後初の外国首脳の訪問となる。菅総理への招待は、米国の同盟国や中国等の敵対国へ太平洋地域における戦後の日米同盟が有効であるとのメッセージを送るものとなる。
大統領執務室で外国首脳と対面での会談を行うということは、パンデミック下のバイデン政権の外交政策が一部正常に戻っていることを表すものとなる。...
全部読む
3月7日付米国
『アクシオス』は「日本の首相がホワイトハウス初訪問との情報」との見出しで以下のように報道している。
関係筋によるとバイデン大統領が日本の首相を4月にもホワイトハウスへ招待する予定、就任後初の外国首脳の訪問となる。菅総理への招待は、米国の同盟国や中国等の敵対国へ太平洋地域における戦後の日米同盟が有効であるとのメッセージを送るものとなる。
大統領執務室で外国首脳と対面での会談を行うということは、パンデミック下のバイデン政権の外交政策が一部正常に戻っていることを表すものとなる。だが会談開催は未定で、状況によっては晩春にずれ込む可能性もあるという。
今月バイデン氏は初の首脳会談となる4か国外相会合(日本、インド、オーストラリア)にオンラインで参加予定。オーストラリアのモリソン首相は会合は、インド太平洋地域の平和と安全における協力を確認する場だとしている。新華社通信によると、7日中国の王毅外相はこれは「組織政治」であり「選別的多国間外交」だとしてこの会合に懸念を示している。
トランプ前大統領を初訪問したのは、英国のテリーザ・メイ首相で(2017年1月27日)、昼食と合同記者会見が行われた。オバマ元大統領も日本を最初の首脳会談(麻生元総理)の相手に選んだ一人。執務室に招待したが昼食会や合同記者会見は行われなかった。トランプ元大統領は安倍元総理をマーララゴに招待し、一緒にゴルフも行った。国内問題でも課題を抱えている菅総理だが、米国側から公式会食に招待され会見の写真にも納まることができるかが注目される。
3月9日付香港『サウスチャイナ・モーニングポスト』は「バイデンと菅、4月ホワイトハウス訪問で調整」との見出しで以下のように報道している。
米国メディアによると、来月にもバイデン氏と菅氏の会談が行われる予定だという。日本は会談をできるだけ早く開催したいとしている。具体的日程はコロナ禍の状況に依るものとされ、晩春にずれ込む場合もあるという。
テンプル大学アジア研究学ジェフ・キングストン学長は、「日本にとり、バイデン氏が菅氏を初の外国首脳としてホワイトハウスへ歓迎する映像は、中国、北朝鮮、ロシア、ミャンマーをけん制するうえで重要な外交上の強みとなる。一方、バイデン政権が前大統領と違い、米国の同盟関係を再構築しようとすることを示すこととなる。」としている。
両首脳は初の4か国外相会合にも出席予定。その数日後には、米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官が日本と韓国を訪問予定。バイデン政権発足以来、米国の外交と国防高官の初のアジア訪問となる。
菅氏はバイデン就任後すぐに電話会談を調整し、米国から領土問題で日本を支援するとの声明を引き出していた。
アジア大学国際関係学の伊藤教授は、「尖閣諸島に関して、米国が明確な立場を公言し、中国の勢力拡大への懸念を新たに示すことを期待する」としている。
米国はすでにミャンマーへの制裁を課しているが、ミャンマーに圧力を加えすぎると、中国への接近を加速させるとの懸念がある。総じてバイデン氏は、日本が望むような中国の抑え込みを含め、アジアでの米国の存在感を再度示そうとしているとみられる。
閉じる
中国王毅外相、米中関係の軌道修正を求める(2021/02/22)
中国はバイデン米政権に対し、中国製品への追加関税を早急に撤廃する等、トランプ前政権の対中強硬路線からの転換を求めている。
2月22日付
『ロイター通信』は「中国が米中関係の再建を求める」との見出しで以下のように報道している。
中国の王毅外相が22日、外務省主催のフォーラムで、アメリカと中国の関係悪化が改善されれば、気候変動やコロナ禍などの問題で両国は協力することができると述べた。トランプ元大統領のもとに二国間は冷え込んだが、中国は、米国との建設的な協議を再開する用意があるとし、米国に対して、中国製品への関税撤廃と中国の技術分野への不当な抑圧を求め、これらが協力関係の前提として必要条件だとした。...
全部読む
2月22日付
『ロイター通信』は「中国が米中関係の再建を求める」との見出しで以下のように報道している。
中国の王毅外相が22日、外務省主催のフォーラムで、アメリカと中国の関係悪化が改善されれば、気候変動やコロナ禍などの問題で両国は協力することができると述べた。トランプ元大統領のもとに二国間は冷え込んだが、中国は、米国との建設的な協議を再開する用意があるとし、米国に対して、中国製品への関税撤廃と中国の技術分野への不当な抑圧を求め、これらが協力関係の前提として必要条件だとした。
フォーラム開始前、当局は1972年、米中の卓球選手の交流から外交の道を開いた「ピンポン外交」の映像を流した。過去数年間、米国は協議を全面的に絶ったが、我々は問題解決に向けて率直な対話を行う用意があるとし、習首席とバイデン大統領の電話会談を前進との認識を示した。両国は貿易、少数民族の人権問題、インドシナ海の領有権問題などで対立してきた。
一方バイデン政権は中国に圧力をかける方針を変えないとしている。政権は、中国の「威圧的で不公正」なやり方に懸念を示し、中国が新疆で大量虐殺をしたとするトランプ元政権の認識を支持しているとしている。だがバイデン氏は、多国間的アプローチにより、気候変動や北朝鮮核問題で、中国との協調を図るとしている。
同日付中国『サウスチャイナ・モーニングポスト』は「王毅外相:アメリカは関税を撤廃し技術輸出制限をなくすべき」との見出しで以下のように報道している。
中国でのフォーラムで王毅外相は22日、米中の関係は重要な局面にあり、米国は関係を改善したいなら政策を見直すべきだと述べた。米国が早急に政策を変更し、中国製品への不当な関税、中国企業、研究所への一方向の制裁、技術抑圧をやめるよう求めるとした。
また同氏は、米中関係回復の条件を挙げ、ハイレベル交渉と、コロナ対策、気候変動、経済回復での協調の必要性を再度強調した。また、米国はトランプ政権での中国メディア、教育や文化分野での活動交流への制限を解除し、教育交流を再開するべきだとした。
バイデン大統領は中国政策を打ち出してはいないが、欧州やアジアと連携し、中国との競争に備える姿勢を示している。トランプ政権は中国をライバル視し、台湾との関係強化、科学技術輸入禁止、国家安全保障問題などの対中政策を打ち出してきた。
中国はバイデン就任後、協議を求めてきたが、バイデン新政権の対中専門家からのコメントをみると、米国の強硬姿勢は継続されるとみられている。バイデン政権には、ロイド・オースティン国防長官の特別補佐官に任命され中国作業部会を率いるエリー・ラトナーがいる。バイデン副大統領時代の国家安保顧問で、昨夏に中国の知的財産権侵害やインドシナ海覇権を含む多方面の対中戦略を求めた注釈書を書いている。また、キャサリン・ヒックス国防副長官は、中国を「現代の解決すべき課題」と述べている。
閉じる
その他の最新記事