ジョー・バイデン政権の対中国政策
米国のバイデン新大統領は就任演説で、今は「軌道修正し米国を癒す時だ」と述べた。トランプ政権の高官らに制裁を課した中国に対し、閣僚候補らからは強硬な発言もみられ強行政策が転換するとは考えにくいが、より融和的な政策となると見られている。
1月21日付米国
『CNN』 は「中国貿易戦争の見直しにも慎重なジョー・バイデン」との見出しで以下のように報道している。
ジョー・バイデン米大統領となっても、前政権同様、中国との緊張関係が続くと見られる。熾烈な貿易戦争やIT企業への数々の制裁等、トランプ前政権は過去4年、米国最大の経済ライバルに圧力を与えてきた。更に過去数週間はビジネスや投資への追加制裁で状況が悪化したが、バイデン氏は、トランプ氏よりは予測可能で如才ない方法を取ると見られている。...
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1月21日付米国
『CNN』 は「中国貿易戦争の見直しにも慎重なジョー・バイデン」との見出しで以下のように報道している。
ジョー・バイデン米大統領となっても、前政権同様、中国との緊張関係が続くと見られる。熾烈な貿易戦争やIT企業への数々の制裁等、トランプ前政権は過去4年、米国最大の経済ライバルに圧力を与えてきた。更に過去数週間はビジネスや投資への追加制裁で状況が悪化したが、バイデン氏は、トランプ氏よりは予測可能で如才ない方法を取ると見られている。
一方でアナリストはIT関連や貿易に関しては、それ程手ぬるい政策とはならないと予測、対中強行政策が転換するとは考えにくいという。中国製品への関税撤廃はバイデン政権の最優先事項とはならないと専門家は予測する。大きな同盟を利用し、見通しの効く通商政策を模索するとの見方で、バイデン政権はトランプのように欧州同盟国に攻撃するようなことはしないと考えられている。
戦略国際問題研究所(CSIS)の貿易政策の専門家で全国外国貿易評議会長を15年務めたWilliam Reinsch氏は、「時間を要するが、他の民主同盟国と連携したアプローチ方法をとる。中国との関係は無視する事は出来ない重要なものだが、急務とは考えていないだろう。」としている。
国家安全保障の脅威となるIT関連やビジネス摩擦にも対応しなくてはならない一方で、バイデンチームが国内政策に集中するとの見方もある。
米中の緊張がより悪化すると悲観的見方もある。ユーラシアグループ(コンサルタント会社)は、米中の緊張が2021年最大のリスクだとする。中国への猜疑心は高まり、バイデンは中国に抵抗するため、EU、日本、インドの協力を仰ぐだろうとする。
同日付中国『サウスチャイナ・モーニングポスト』 は「米中関係:天使が悪に打ち勝ち、関係は修復へ」との見出しで以下のように報道している。
米国のバイデン新大統領は就任演説で、今は「軌道修正し米国を癒す時だ」と述べたが、中国外務省の華春瑩報道局長は、「米中関係についても同じだ。両国が努力すれば、善良な天使が邪悪な力に打ち勝つことができる」と述べている。就任演説中に中国は、ポンぺイオ国務長官を含むトランプ政権の高官28人に制裁を科した。この動きをバイデン政権の国家安全保障委員会国家安全保障会議(NSC)のスポークスマンであるエミリー・ホーンは、「非生産的で攻撃的な動き」だと批判している。香港とマカオ事務弁公室も、中国の内政問題干渉で個人を制裁することを批判する声明を出している。
中国は制裁リストにある名前をすべては公開していない。中国に強硬姿勢だったライトハイザー元通商代表が含まれるかも不明である。上海の復旦大学米研究センター長 Wu Xinbo氏は、「トランプ政権のように制裁を科すことがあれば、同じ結果が待っているという、バイデン政権へのシグナルでもある。バイデンチーム内でイデオロギー上中国と対抗するであろう人物が含まれている。この傾向に警戒を続ける必要がある」としている。
スティムソンセンター(米シンクタンク)のYun Sun氏は、制裁はバイデンチームへの警告、「バイデン政権のアジア圏対外政策補佐官や中国関連のコンサルティング企業が多く含まれる」という。だが同氏は、中国の動きがバイデン政策に直接影響する事はないだろうという。
就任式の参列者の中には、台湾の事実上の駐米大使であるHsiao Bi-khim氏がいた。台湾代表が大統領の就任式に来賓として呼ばれたのは初めてのことだ。NSCのエミリー・ホーン氏は、米国の台湾へのコミットメントは手堅いとする。一方中国外務省の華氏は、「台湾問題に米国は注意を払うべき」とし、米政権が台湾と公的関係を持つのを控えるべきと警告している。
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香港で言論統制か、民主派の本が貸出停止
香港の公立図書館では、有名な民主活動家らの著作物が撤去され貸出停止となり、検閲に回されているという。先月末に施行された、国家転覆や分離活動、テロ行為等を取り締まる「国家安全維持法」による言論の弾圧だと懸念が広がっている。
7月4日付仏
『フランス24』 (AFP通信引用)は「民主派著書が香港の図書館から消える」との見出しで以下のように報道している。
香港の著名な民主派活動家らが書いた本が、香港の公立図書館から消え始めていることが分かったという。これは中国により国家安全維持法が施行されたことによるもの。現在閲覧できなくなっている著作物の中には、香港で最も著名で若い活動家Joshua Wongのものや、有名な民主派議員Tanya Chanのものも含まれている。...
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7月4日付仏
『フランス24』 (AFP通信引用)は「民主派著書が香港の図書館から消える」との見出しで以下のように報道している。
香港の著名な民主派活動家らが書いた本が、香港の公立図書館から消え始めていることが分かったという。これは中国により国家安全維持法が施行されたことによるもの。現在閲覧できなくなっている著作物の中には、香港で最も著名で若い活動家Joshua Wongのものや、有名な民主派議員Tanya Chanのものも含まれている。これまで言論の自由があった香港では、警察による独立自治運動家らの逮捕以来、既に懸念が広がっていた。Wongは。Facebook上で「白色テロの恐怖が広がっており、国家安全維持法は根本的に言論に罪を負わせるための道具だ」と主張し同法により撤去されたと考えているとしている。図書館では、少なくともWong、Chan、そして香港の学者Chin Wanが書いた3冊の著書が貸出禁止となっている。
本の撤去を受け、アカデミック上の自由の維持への懸念も広がっている。香港にはアジア有数の大学があり、中国ではタブーとなるトピックも議論したり執筆したりできるキャンパス文化がある。しかし、若者が率いた大規模な民主化デモの後、中国は香港に対し一層の愛国的教育を求める姿勢を明確にしてきた。
同日付香港『サウスチャイナ・モーニングポスト』 は「国家安全法:香港の図書館で検閲のため地方主義や民主活動家らの本を撤去」との見出しで以下のように報道している。
香港の図書館から民主主義提唱者らの著書、少なくとも9冊が検閲のため撤去され貸出停止となっている。弁護士協会のフィリップ・ダイクス会長は、この動きに警鐘を鳴らし、当局は情報閲覧の権限の制限に当たらないか判断する必要があるとしている。香港の公立図書館を管轄しているレジャー文化サービス省は、書名を伏せて新法へのコンプライアンスに抵触しないか精査しているとしている。
活動家Joshua Wong Chi-fungの中国語の著書や、地方主義者Horace Chin Wan-kan、立法会議員Tanya Chanらの本が対象。Horace Chinは香港で最も有名な地方主義者で、香港は中国からの影響拡大に対抗するため、独自のアイデンティティを形成すべきと主張している。彼の著作6冊は、「香港国」シリーズで、ペンネーム Chin Wan で書かれた。Joshua Wongは最近になりデモシスト党の解散を発表し、「私の本は香港の逃亡犯条例反対運動よりずっと以前に書かかれたものだが、新法のもとに今検閲されようとしている。」として自身の著書2冊を見直すと述べていた。弁護士のHorace Chin Chanも、政府は新法は遡って適用されないとしているのに、何故彼女の2014年の著書「My Journeys for Food and Justice」が検閲対象なのか疑問なのだという。
中国と香港当局は、国家安全法はマイノリティを対象とし、言論の自由や集会は守られると強調していた。
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