日本と中国、初の有人月面着陸で競争【欧米・香港メディア】(2024/04/30)
4月の日米首脳会談で、米国主導の「アルテミス計画(注後記)」の下で日本人宇宙飛行士を2028年目標の有人月面着陸に参加させることが合意された。一方、独自の宇宙開発を進める中国も、2030年までに有人月面着陸を成功させる目標を立てており、1969年の「アポロ計画」における米国人宇宙飛行士の初の月面着陸に続くのはどちらの国の宇宙飛行士となるか、注目される。
4月29日付英国
『ジ・インディペンデント』紙、欧米
『ロイター通信』、香港
『サウスチャイナ・モーニングポスト』紙は、米国主導の「アルテミス計画」に参加している日本と、独自に宇宙開発を進める中国との間で、どちらの国の宇宙飛行士が早く月面着陸するのか競争が激化していると報じている。
4月10日に開催された日米首脳会談で、2028年及び2032年に有人月面着陸を目標としている「アルテミス計画」において、日本人宇宙飛行士を参加させることが合意された。...
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4月29日付英国
『ジ・インディペンデント』紙、欧米
『ロイター通信』、香港
『サウスチャイナ・モーニングポスト』紙は、米国主導の「アルテミス計画」に参加している日本と、独自に宇宙開発を進める中国との間で、どちらの国の宇宙飛行士が早く月面着陸するのか競争が激化していると報じている。
4月10日に開催された日米首脳会談で、2028年及び2032年に有人月面着陸を目標としている「アルテミス計画」において、日本人宇宙飛行士を参加させることが合意された。
同計画における共同ミッションとして、日本には月面探査車(ルナクルーザー、注2後記)の運用が求められ、米国側は宇宙飛行士の訓練及び月面着陸用宇宙船の提供が求められている。
一方、中国は、習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)が「宇宙強国」を宣言しているとおり、独自の宇宙開発を急ピッチで進めている。
具体的には、2030年までに有人月面着陸を達成するとした上で、2035年までに月面に研究ステーションを設営し、科学実験や資源開発を行うとしている。
更に、2026年と2028年に計画している無人探査ミッションで、月の南極において水の探査を開始すると発表している。
米航空宇宙局(NASA、1958年設立)のビル・ネルソン長官(81歳、2021年就任、フロリダ州選出上院議員)は、“中国は、宇宙開発において直近10年で目覚ましい発展を遂げている”としながらも、“秘密主義に徹しており、もし将来中国が月の水資源の所有権を主張しだすと厄介な話となる”と警鐘を鳴らしている。
香港『サウスチャイナ・モーニングポスト』紙も、“日本が中国に先んじて有人月面着陸を
達成しようとしているとの野心によって、中国政府をして独自の宇宙開発計画を更に強化・促進させる道義付けになろう“との宇宙開発専門家のコメントを掲載している。
(注1)アルテミス計画:米国が主導する国際月探査プロジェクト。1960年代から70年代、人類を月面に送り込んだ「アポロ計画」以来、およそ半世紀ぶりに月に宇宙飛行士を送り込むことを目指す。計画の名前の由来となっている「アルテミス」はギリシャ神話の月の女神で、「アポロ計画」の由来となった「アポロ」とは双子の姉妹。現在の計画では、2026年9月に宇宙飛行士が月面に降り立つミッションを実施することを目標とする。
(注2)ルナクルーザー:トヨタが開発しているもので、月面を走行して探査しながら、宇宙飛行士2人が30日程内部で生活が可能。米アポロ15~17号(1971~1972年)で使われた探査車が運転席剥き出しの非与圧型だったのに対して、与圧型月面探査車である。
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中国の「一帯一路」構想下プロジェクトにいよいよ汚職捜査のメス【インドメディア】(2024/02/27)
習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)が2013年より主導した「一帯一路経済圏構想(BRI)」の下、アジア・アフリカ等多くの国に中国資本によるインフラプロジェクト建設が目白押しになっている。しかし、近年では「債務の罠(注後記)」にはまったとの途上国の問題が浮き彫りになっている。そうした中、当該プロジェクトに遂に、これも同国家主席主導で立ち上げられた汚職摘発機関の捜査のメスが入ることになった。
2月27日付
『プレス・トラスト・オブ・インディア』(1949年設立のインド通信社)は、中国の汚職摘発機関が初めて、BRIプロジェクトの捜査に入ることになったと報じている。
BRI構想は、習近平国家主席が2013年に提唱したもので、爾来、アフリカやアジアの多くの国でインフラ建設プロジェクトが進行している。
しかし、同時に同プロジェクトを受け入れた途上国において、身の丈に合わない巨額の負債を抱え込むことになり、パキスタンやスリランカのように債務超過に陥る国が出てきている。...
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2月27日付
『プレス・トラスト・オブ・インディア』(1949年設立のインド通信社)は、中国の汚職摘発機関が初めて、BRIプロジェクトの捜査に入ることになったと報じている。
BRI構想は、習近平国家主席が2013年に提唱したもので、爾来、アフリカやアジアの多くの国でインフラ建設プロジェクトが進行している。
しかし、同時に同プロジェクトを受け入れた途上国において、身の丈に合わない巨額の負債を抱え込むことになり、パキスタンやスリランカのように債務超過に陥る国が出てきている。
そうした中、同じく同国家主席が主導した汚職摘発政策を実行する中国共産党中央紀律検査委員会(CCDI、1927年前身設立)がこの程、BRI構想下のインフラ建設プロジェクトに関わる汚職捜査に入ることになった。
香港メディア『サウスチャイナ・モーニングポスト』紙の2月26日付報道によると、2月25日に公表されたCCDI報告において、2024年の重点事項として、BRI構想下のインフラ建設プロジェクトを捜査対象に挙げたとしている。
同報告は、2ヵ月前にCCDI李希書記(リー・シー、67歳、2022年就任、長官に相当)が中央トップ宛に提出し承認されたもので、それによると、“(捜査対象事案について)汚職の温床を根絶し、制度改革を深化させ、規律・検査・監督のための機関を強化する必要がある”と強調している。
中国当局が、海外のBRIプロジェクトに対する反腐敗調査をどのように始めるのかは、まだ明らかになっていない。
ただ、多くの国の指導者たちは、持続不可能なプロジェクトに注ぎ込まれた数百万ドル(数億円)を着服し、自国を莫大な債務に陥れているという疑惑について捜査されることになるとみられる。
(注)債務の罠:借金漬け外交とも呼ばれる、国際援助などの債務により債務国、国際機関の政策や外交等が債権国側から有形無形の拘束を受ける状態のこと。友好国間でみられ、債務の代償として合法的に重要な権利を取得する。インドの地政学者ブラーマ・チェラニーによって、中国のBRI構想と関連付けて用いられたのが最初。債務国側では放漫な財政運営や政策投資などのモラル・ハザードが、債権国側では過剰な債務を通じて債務国を実質的な支配下に置くと言った問題が惹起される。
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