米海兵隊、南太平洋バヌアツに中国が第2の海外基地設営のニュースに即応して現地調査実施【米・豪州メディア】(2018/04/16)
4月10日付Globali「中国、南太平洋に海外2番目となる軍事基地を建設か」の中で触れたとおり、中国は南シナ海覇権を更に強化することや、米軍のアジア太平洋進出に対抗することを目的としてか、南太平洋のバヌアツに、海外2番目となる軍事基地を建設すべく同国と協議を進めているとの報道がなされた。このニュースに即応するように、米海兵隊(注後記)は早速現地調査を実施して、第二次大戦中の米軍基地だった同地への中国進出状況を把握すべく努めている。一方、バヌアツの次期首相と目されている野党リーダーは、中国に接近しすぎることに警鐘を鳴らしている。
4月14日付米
『ロイター通信米国版』:「米軍、南太平洋での軍事演習に先駆けて中国が資金援助したバヌアツの港湾を調査」
米海兵隊のカーティス・ヒル中佐は4月14日、『ロイター通信』のインタビューに答えて、今年後半に南太平洋で大規模軍事演習を予定していることから、中国が資金援助して建設しようとしているバヌアツの港湾設備計画について現地調査を実施したと表明した。
同中佐によると、軍事演習の際に米軍事海上輸送司令部の艦船が派遣されることもあって、カリフォルニア州に司令部のある第1海兵遠征軍が、事前に同地の調査を行う必要があったとしている。...
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4月14日付米
『ロイター通信米国版』:「米軍、南太平洋での軍事演習に先駆けて中国が資金援助したバヌアツの港湾を調査」
米海兵隊のカーティス・ヒル中佐は4月14日、『ロイター通信』のインタビューに答えて、今年後半に南太平洋で大規模軍事演習を予定していることから、中国が資金援助して建設しようとしているバヌアツの港湾設備計画について現地調査を実施したと表明した。
同中佐によると、軍事演習の際に米軍事海上輸送司令部の艦船が派遣されることもあって、カリフォルニア州に司令部のある第1海兵遠征軍が、事前に同地の調査を行う必要があったとしている。
豪州の『フェアファックス・メディア』が数日前、中国がバヌアツに恒久軍事基地を建設する計画を有していると報道していた。
バヌアツは、米同盟国である豪州の北東2,000キロメーター(1,200マイル)にあり、第二次大戦中は米軍基地が設営されていた。そのため、十分な水深があり、戦艦が容易に接岸できる港である。
一方、同日付豪州『ザ・キャンベラ・タイムズ』紙:「バヌアツの首相候補、中国の野望に警鐘」
バヌアツの野党リーダーのイシュマエル・カルサコー氏は4月14日、『フェアファックス・メディア』のインタビューに答えて、中国の意図が不確かな状況下、現政権が極端に中国寄りの政策を推進することを懸念すると語った。
カルサコー氏は中道右派の穏健政党連合党首であるが、中国が進めるプロジェクトのいくつかはバヌアツの経済成長に結びつくか疑念を抱かせるものもあり、中国による恒久軍事基地建設の可能性含めて、現政権が中国の要望に盲従することは危険だと批判している。
例えば、バヌアツ北部のルーガンビルの港湾施設建設に、中国から1億1,400万ドル(約122億円)の融資を受けているが、施設・運営母体等不透明な点が多く、軍事専門家の話では、将来軍港に変えられる恐れがあるという。
なお、シャーロット・サラワイ首相は就任後2年経過と、2008年以降最も長く政権を担っている。しかし、同首相は4月14日、ジョー・ナトゥマン副首相が職権乱用で2年間の執行猶予判決を受けたことを理由として、内閣の不信任案が議決される前に、解散総選挙に打って出ることを匂わしている。
従って、総選挙となった場合、カルサコー氏が次期首相となる可能性がないとは言えない。
(注)米海兵隊:フランスと緊張状態にあった1798年に設立。沿岸警備隊を含めた米軍を構成する5軍では2番目に小さい組織。2017年6月の時点で約18万人の現役将兵と4万人の予備役を擁す。独自の航空部隊を保有することで航空作戦も実施でき、航空機をヘリコプターや艦載機とすることで海軍の航空母艦や強襲揚陸艦などを利用し、さらに活動範囲を広げることも可能。また、地上戦用装備も充実しており、陸軍と同様の主力戦車も配備。戦闘艦艇は保有しないが、独自の物資輸送船を保有。本土の防衛が任務に含まれない外征専門部隊であることから、「殴り込み部隊」とも渾名される。
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米コンサル発表の2018年10大リスク:中国の世界経済席巻等で2008年以来の金融危機到来?【米・豪州メディア】(2018/01/04)
ニューヨーク本拠の、世界最大の政治リスク専門コンサルティング会社Eurasia Group(EG、注1後記)が、恒例の新年10大リスクを発表した。それによると、保護主義政策を標榜する米国に代わって、中国が世界金融・経済界を中国式で牛耳ることになり、2008年の世界金融危機以来の金融不安が広がる恐れがある等、2018年は地政学的リスクが立ちはだかることになると予想した。
1月2日付米
『CBSニュース』:「EG発表の2018年地政学的リスクで中国問題が最大のリスクに」
米コンサルティング会社EGがこの程発表した2018年10大リスクによると、米国第一主義という保護主義を掲げる米国に代わって、中国が世界経済を牽引することになった場合、それが今年の最大のリスクだと評価している。
EG代表のイアン・ブレマー氏は、EG設立以来20年、毎年世界の環境は浮き沈みがあるが、その中でも2018年は、2008年の世界金融危機に匹敵する程予測が難しいリスクが立ちはだかる年だと言えると解説した。...
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1月2日付米
『CBSニュース』:「EG発表の2018年地政学的リスクで中国問題が最大のリスクに」
米コンサルティング会社EGがこの程発表した2018年10大リスクによると、米国第一主義という保護主義を掲げる米国に代わって、中国が世界経済を牽引することになった場合、それが今年の最大のリスクだと評価している。
EG代表のイアン・ブレマー氏は、EG設立以来20年、毎年世界の環境は浮き沈みがあるが、その中でも2018年は、2008年の世界金融危機に匹敵する程予測が難しいリスクが立ちはだかる年だと言えると解説した。
中でも中国が、自国方式で世界金融・経済界を席巻することになるとみられることや、北朝鮮問題、そして科学技術の冷戦等が今年の地政学的リスクとなるとみられるとした。
ブレマー氏は、米中の世界に与える影響・統率力についての例を挙げると、パキスタン問題がある。すなわち、トランプ大統領は昨日(1月1日)、パキスタンに多額の支援をしたのに、同国は米国の意思に反して依然テロリスト・グループ(タリバン等)を支援しているとツイートした。しかし、中国は既にパキスタンに巨額の経済的支援を行っており、盤石な同盟関係を築いてしまっていると指摘した。
更に同氏は、科学技術分野における米中冷戦について触れ、米国では政府は特にAI(人工知能)に投資せず、ただ、私企業のみが技術革新に注力している。しかし、中国は官民挙げて最先端技術の開発に取り組んでおり、これが更に米中間貿易不均衡問題を増幅しかねないとする。
なお、EGが掲げる10大リスクは以下のとおり;
① 中国による世界金融・経済界席巻
② 偶発的事態(北朝鮮、シリア問題等)
③ 世界的技術革新に関わる米中間冷戦
④ メキシコ(今年の大統領選の行方)
⑤ 米イラン関係(イラン核合意をめぐる今後の展開)
⑥ 国際機関の風化(国連、世界貿易機関等)
⑦ 保護貿易主義の台頭
⑧ 英国(欧州連合離脱問題)
⑨ 南・東南アジア諸国の政治的立ち位置(米国、中国どちら寄りか等)
⑩ アフリカの安全保障
1月3日付豪州『キャンベラ・タイムズ』紙:「EG、2018年の世界は“深刻な不測のリスク”に曝されていると発表」
中国の台頭、世界的技術革新の冷戦の他、EGが2018年の10大リスクとして挙げている主なリスクは以下のとおり;
●判断違い;サイバーテロ、北朝鮮、シリア、ロシア、国際テロ等への見込み違いによって深刻な国際的対立が引き起こされるリスク
●イラン;トランプ大統領の主張が通り、今年イラン核合意が立ちいかなくなった場合、中東が更に不安定になるリスク
●保護貿易主義;自国第一主義の台頭で、為政者が増々重商主義(注2後記)的政策実行で国際間対立が深まるリスク
(注1)EG:各国の政治情勢や地政学的リスクがビジネスに与える影響について分析し、顧客向けに定期的に情報提供するコンサルティング会社。1998年設立で、毎年1月、その年の世界10大リスクを発表。
(注2)重商主義:貿易などを通じて貴金属や貨幣を蓄積することにより、国富を増すことを目指す経済思想や経済政策の総称。16世紀半ばから18世紀にかけて、西欧で絶対君主制を標榜する諸国家がとった政策。なお、18世紀後半の産業革命後に起こった資本主義に取って代わられる。
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