10月6日付「世界が見るTPP交渉妥結」の中で触れたとおり、米国、英国、フランスメディアは、中国に対抗する、日米を中心とした経済協定の成立を総じて歓迎しており、韓国メディアも、中国とだけでなく、今からでもTPPに参加すべきと焦りを見せている。一方、大洋州メディアも、豪州、ニュージーランドともに、農産品の輸出市場が大幅に拡大できる道筋が付けられたとして、それぞれ有益な妥結だったと称賛している。
10月6日付
『キャンベラ・タイムズ』紙は、「TPP妥結、農産品貿易枠にまだ問題残るも概ね歓迎」との見出しで、「今回のTPP妥結について、取引品目によって優劣があるが、豪州農業界としては総じて歓迎している。すなわち、
① 米:日本向け無関税輸出枠が6千トンと、米国米が獲得した5万トンより遥かに少ないが、日本向けは高級品が主要であり、利益率が良いことから評価する。日本市場を開拓するのに20年掛かっており、その意味では大きな前進と言える。...
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10月6日付
『キャンベラ・タイムズ』紙は、「TPP妥結、農産品貿易枠にまだ問題残るも概ね歓迎」との見出しで、「今回のTPP妥結について、取引品目によって優劣があるが、豪州農業界としては総じて歓迎している。すなわち、
① 米:日本向け無関税輸出枠が6千トンと、米国米が獲得した5万トンより遥かに少ないが、日本向けは高級品が主要であり、利益率が良いことから評価する。日本市場を開拓するのに20年掛かっており、その意味では大きな前進と言える。
② 酪農品:例えば、米国向けにチーズ9千トンの追加輸出枠獲得。ただ、豪州、ニュージーランドにとっては、北米向けの酪農品輸出枠拡大は歓迎されるも、総選挙前に成果が絶対必要としたカナダに多くを持っていかれたとの不満あり。
③ 製糖:米国向けに6万5千トンの追加枠獲得。また、日本向けも、高級品に掛けられる課徴金が減額されるため、輸出量増が期待される。
④ 牛肉:日本向けの冷凍肉に掛けられていた19.5%の関税率が9%まで段階的に引き下げられるため、輸出量増が期待できる。また、カナダ、メキシコ、ペルー向けの関税率も引き下げられる。」と報じた。
同日付
『パース・ヘラルド』西豪州紙は、豪州マルコム・ターンブル首相のコメントを引用して、「今回のTPP妥結は豪州にとって大勝と言えよう。何故なら、TPP参加12ヵ国のほとんどの国に豪州産品を大量に輸出できる道筋が付けられたからである。特に、豪州牛肉、酪農品、米、砂糖業界にとって、グローバル・ビジネスで飛躍できる基礎が築かれよう。」と伝えた。
一方、10月7日付
『ニュージーランド・ヘラルド』紙は、ニュージーランド外務・通商省の前通商交渉責任者だったクロフォード・ファルコナー氏のコメントを引用して、「TPPの最大の勝者はニュージーランドであろう。何故なら、酪農品等ニュージーランドの主要産品の輸出市場が飛躍的に拡大するからである。特に、日米という世界の大規模経済圏へのアクセスが強化されることは最大の強みである。ただ、もちろん競争力を持った良い製品を輸出市場に供給する努力は必要であるが。」と報じた。
TPPでは、参加国に守秘義務が課されており、交渉の詳しい内容は明らかにされていない。従って、日本を含めて、各国政府交渉団の“成果”に力点が置かれた報道になっていることは否めない。今後、政府に対して、具体的な情報開示が求められることになるが、その上でTPPのメリット、ディメリットが更に評価されることになろう。
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