9月26日の静岡地裁による、袴田巌死刑囚の再審請求に基づく無罪判決について、多くの海外メディアが一斉に報じた。
●米『AP通信』:“戦後日本の刑事司法における再審で無罪となった5人目の死刑囚だ”とした上で、“日本における死刑廃止をめぐる議論を再燃させる可能性がある”と報道。なお、『ABCニュース』、フィリピン『マニラ・ブルティン』が引用報道。
●米『CNNニュース』:“元検事の市川寛弁護士(59歳、1993~2005年検事として勤務)は、歴史的に日本の検事は、裏付けとなる証拠を探す前に自白を得るように奨励されてきたと証言した”とした上で、“自白を重視することこそが、無罪判決によって担当検事の昇進等に悪影響を与える可能性があるという日本の検事評価制度の下、高い有罪率を維持できる理由だ、とも言及した”と報道。...
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9月26日の静岡地裁による、袴田巌死刑囚の再審請求に基づく無罪判決について、多くの海外メディアが一斉に報じた。
●米『AP通信』:“戦後日本の刑事司法における再審で無罪となった5人目の死刑囚だ”とした上で、“日本における死刑廃止をめぐる議論を再燃させる可能性がある”と報道。なお、『ABCニュース』、フィリピン『マニラ・ブルティン』が引用報道。
●米『CNNニュース』:“元検事の市川寛弁護士(59歳、1993~2005年検事として勤務)は、歴史的に日本の検事は、裏付けとなる証拠を探す前に自白を得るように奨励されてきたと証言した”とした上で、“自白を重視することこそが、無罪判決によって担当検事の昇進等に悪影響を与える可能性があるという日本の検事評価制度の下、高い有罪率を維持できる理由だ、とも言及した”と報道。
●フランス『AFP通信』:“国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(1978年設立)は、本無罪判決は日本における「人質司法」制度の無数の例の一つに過ぎないと批判し、何故なら、容疑者は長期にわたる恣意的な拘禁を通じて自白を強要されるばかりか、尋問中に脅迫もされている、と非難している”と報道。なお、英国『ザ・ガーディアン』が引用報道。
●欧米『ロイター通信』:“国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(1961年設立)は、今回の無罪判決によって死刑制度がもたらす取り返しのつかない損失が思い知らされるとして、日本政府に死刑廃止を強く訴えると表明した”と報道。
●英国『BBCニュース』:“日本は、米国と共に主要7ヵ国(G-7)の中で唯一死刑制度を採用している国であり、しかも、死刑囚は絞首刑の数時間前に通知され、家族や代理人弁護士等と最後の話も許されないという非人道的な措置が講じられている”と非難報道。
●カタール『アルジャジーラ』:“日本は、米国以外で死刑を維持している唯一の主要な先進民主主義国であり、この政策は広範な国民の支持を得ている”と報道。
なお、豪州『ABCニュース』・『キャンベラ・タイムズ』・『シドニー・モーニング・ヘラルド』、シンガポール『ストレイツ・タイムズ』、中国『新華社通信』・『環球時報』、韓国『聯合(ヨナプ)ニュース』・『KBSニュース』・『コリア・タイムズ』、マレーシア『マレー・メール』では、目下のところ報道されていない。
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日本では、東京都及び首都圏3県が、新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大がより深刻化する状況に頭を抱え、動きの鈍い政府に緊急事態宣言の再発出を求めた。オーストラリア(豪州)では、ビクトリア州の成功例があるにも拘らず、ニューサウスウェールズ(NSW)州トップが、直近の感染者急増状況に何ら具体的措置を講じようとしないとして、全豪医師会(AMA、1962年設立、本部キャンベラ)が抗議の声を上げている。
1月2日付米
『AP通信』:「NSW州、感染拡大対策遅延で非難轟々」
豪州医療界の最大組織AMAは1月2日、NSW州内でCOVID-19感染が再拡大しているにも拘らず、同州政府が一向に具体的対策を講じようとしないとして抗議の声を上げた。
AMAのクリス・モイ副会長は、シドニー北郊外で集団感染が発生しているにも拘らず、同州政府が感染経路を追うことに頼るだけで、感染拡大を防止するための都市封鎖等の“厳格かつ迅速な”措置を講じないと非難するコメントを出した。...
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1月2日付米
『AP通信』:「NSW州、感染拡大対策遅延で非難轟々」
豪州医療界の最大組織AMAは1月2日、NSW州内でCOVID-19感染が再拡大しているにも拘らず、同州政府が一向に具体的対策を講じようとしないとして抗議の声を上げた。
AMAのクリス・モイ副会長は、シドニー北郊外で集団感染が発生しているにも拘らず、同州政府が感染経路を追うことに頼るだけで、感染拡大を防止するための都市封鎖等の“厳格かつ迅速な”措置を講じないと非難するコメントを出した。
隣接するビクトリア州は、かつて迅速な都市封鎖措置を講じて感染拡大を抑えることに成功していたが、直近で再び10人の新規感染者が発生し、しかもシドニーから移動してきた人たちであることが判明したことから、12月31日の晩からNSW州との州境を封鎖すると発表している。
モイ副会長は『フェアファックス・メディア』紙(1841年設立、本拠NSW州)のインタビューに答えて、“NSW州政府の無策によって、州民のみならず豪州全土が危機に陥ってしまう”とした上で、“ビクトリア州は昨年半ば、感染者急増ですぐさま州境封鎖を実施しているが、今回の事態からその措置が有効であったことがよく理解できる”と付言した。
ビクトリア州政府は、昨年8月の第2波急襲の際、豪州全体の死者909人のうち800人余りを出してしまったが、3ヵ月近くの間、メルボルン市街の都市封鎖、州境封鎖、更には夜間外出禁止措置を講じたことで感染拡大を封じ込んでおり、直近で新規感染者が出るまで、2ヵ月以上もゼロとなっていた。
しかし、NSW州のグラディス・ベレジクリアン知事は、直近2週間で新規感染者が170人も発生しているにも拘らず、シドニーの都市封鎖、マスク着用の義務化、スポーツ競技場等の入場制限措置を講じることに否定的である。
メルボルン大学(1853年設立の公立大学)疫学者のトニー・ブレイクリィ教授も、シドニー北部ビーチで集団感染が発生した際、2日か3日以内に都市封鎖措置を講じるべきであったと批判した。
同教授は、“州政府は行動が遅い”とした上で、豪州内の他の専門家と同様、同州政府が何故マスク着用義務化さえにも消極的なのかと、疑問の声を上げている。
ただ、ベレジクリアン首相は1月2日夕、マスク着用義務化不要との方針を少々変更した模様で、1月2日深夜からショッピングセンター、公共交通機関、映画館等の娯楽施設内でのマスク着用を義務化するとし、1月4日以降は違反者に罰金を科すこととすると発表した。
なお、12月に入って、感染状況が下火になっていた豪州では、多くの州がクリスマスシーズンでの規制緩和を行い、州境も再開されていた。
同日付豪州『キャンベラ・タイムズ』紙:「感染抑制のためシドニーでマスク着用義務化」
NSW州政府は1月2日夕、COVID-19感染者が更に7人出たことから、シドニー市街の屋内等でのマスク着用義務化措置を講じると発表した。
ベレジクリアン州知事はこれまで、都市封鎖や行動規制措置に反対であったが、“経済活動を止めることはしないが、感染抑制のためにはマスク着用義務化は不可欠だと考えるようになった”と説明している。
なお、マスク着用義務違反者には、1月4日以降200豪州ドル(約1万5,500円)の罰金が科される。
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