日米豪印4ヵ国、中国の「一帯一路」経済圏構想に対抗する共同インフラ計画を検討?【米・インドメディア】(2018/02/21)
2月18日付豪州メディア
『オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー』紙が、日米豪印4ヵ国が、中国の「一帯一路」経済圏構想(OBOR)に対する代替案として、共同インフラ計画を検討していると報じた。豪州高官は、競合策などではなく、あくまで中国単独では経済的に存立できない港湾・道路等のインフラへの賛助の目的だとコメントしている。しかし、米国トランプ大統領は、昨年12月発表の「国家安全保障戦略」の中で中国への対抗心を剥き出しにしているし、インドも、中国が、パキスタン・スリランカのみならず、かつては親印国であったモルディブ(インド洋東部島嶼国)まで抱き込み、インド包囲網を築き上げつつある現状下、中国憎しと思っているに違いない。そこで、日本としても、表向きは日中関係改善を表明しているものの、東・南シナ海等で中国の勢力拡大に危機感を抱いていることから、反中国での日米豪印連携は願ってもないことではないかとみられる。
2月19日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「日米豪印、中国のOBOR対抗の共同インフラ計画検討」
2月18日付豪州『オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー』紙によると、日米豪印4ヵ国が、台頭する中国に対抗するため、特に中国が推し進めるOBORに対抗するため、共同インフラ計画を検討中という。
『CNBCニュース』は、OBORには、最多で65ヵ国が対象となり、これは国内総生産(GDP)で世界第3位、地球上の全人口の60%を占めることとなるとする。...
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2月19日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「日米豪印、中国のOBOR対抗の共同インフラ計画検討」
2月18日付豪州『オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー』紙によると、日米豪印4ヵ国が、台頭する中国に対抗するため、特に中国が推し進めるOBORに対抗するため、共同インフラ計画を検討中という。
『CNBCニュース』は、OBORには、最多で65ヵ国が対象となり、これは国内総生産(GDP)で世界第3位、地球上の全人口の60%を占めることとなるとする。
また、『ジャパン・タイムズ』紙は、豪州のジュリー・ビショップ外相が2月19日、4ヵ国による共同インフラ計画について協議していることを認めたと報じている。
ただ、『オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー』紙は、ビショップ外相も米高官も、同計画が中国構想と“競合”するものではなく、“代替案”としてのものだとしている。
また、菅義偉官房長官も2月19日の記者会見で、中国構想に敵対するものではないと明言した。なお、日本は昨年既に、「自由で開かれたインド太平洋構想」を発表している。
一方、インドは、OBORに明確に反対を表明しており、ジム・マティス国防長官が昨年10月、中国は同構想に関わる事業計画について他のどこの国とも協議していない(単独行動している)と明言したことに喜んでいる。
なお、『ブルームバーグ』オンラインニュースは、ドナルド・トランプ大統領としては、中国対抗の4ヵ国共同インフラ計画が自身の考えに沿うものとみていると報じている。何故なら、同大統領は、昨年12月に発表した「国家安全保障戦略」の中で中国・ロシア勢力に対抗していくと明言しており、更に、環太平洋経済連携協定(TPP)から脱退した上で、二国間、あるいは小グループの経済連携を標榜しているからであるとする。
2月20日付インド『ファーストポスト』オンラインニュース:「日米豪印4ヵ国、中国のOBORの代替案策定に向けて協議開始」
インドは現在、中国のOBORの“代替案”としての共同インフラ計画を、日米豪と協議している。
インドは他に先駆けて、中国のOBORに反対を表明しており、2017年に北京で開催されたOBORサミットを欠席している。理由は、同構想の中で中国がパキスタンと推し進める「中国・パキスタン経済回廊」構想が、インドの主権、特にパキスタンが実効支配しているカシミール地方のインド領有権を踏みにじっているからである。
なお、米国もインドに続いてOBORに異議を唱えている。米高官によると、中国が港湾を建設するとしても単独では経済性がない場合もあり、その際は共同インフラ計画の中で、当該港湾にアクセスする道路や鉄道を建設することで、当該地域の経済性が高まることも考えられるとする。
一方、豪州のターンブル首相は、2月21日から3日間訪米し、トランプ大統領と会談する。当該共同インフラ計画についても協議されようが、目下のところ豪州は、最大の貿易相手国である中国寄りで、OBORへの投資にも積極的であるため、米豪間協議で同共同計画が進展することはないとみられる。
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英国防相、航行の自由作戦のため同国フリゲート艦を南シナ海に派遣すると発言して中国から猛反発【米・英国・ロシアメディア】(2018/02/13)
英国の内閣は一枚岩ではないようである。2月4日付Globali「メイ英国首相、中国首脳及び中国メディアから歓迎されるも、中国人権問題より中英貿易優先で本国では酷評」で触れたとおり、英国首脳は、国際社会から非難されている中国の人権問題より、中英経済連携強化を最優先して初訪中の成果を上げた。しかし、あろうことか訪豪中の英国防相が、同国の対潜フリゲート艦を南シナ海に派遣し、同海域における航行の自由を公に示すと発言してしまった。これに対して中国は当然のことながら、習近平(シー・チンピン)国家主席がメイ首相の訪中を歓待し、中英間の“黄金の時代”との最大限の賛辞までしたのに何たる振るまいかと、域外国の英国の暴挙として猛反発している。
2月13日付米
『AP通信』:「英国防相、同国軍艦を南シナ海に派遣すると発言」
訪豪中の英国のギャビン・ウィリアムソン国防相(41歳、昨年11月2日就任)は2月13日、豪メディア『ジ・オーストラリアン』紙のインタビューに答えて、対潜フリゲート艦“サザーランド”を豪州寄港の帰途に南シナ海を航行させて、同海域における航行の自由を公に示す考えだと表明した。
同相は、米国軍艦がこれまで実施したように、中国主権と主張する島嶼・人工島の領海内を航行させるのかまでの詳細は明かさなかったが、中国側からの反発が予想される。...
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2月13日付米
『AP通信』:「英国防相、同国軍艦を南シナ海に派遣すると発言」
訪豪中の英国のギャビン・ウィリアムソン国防相(41歳、昨年11月2日就任)は2月13日、豪メディア『ジ・オーストラリアン』紙のインタビューに答えて、対潜フリゲート艦“サザーランド”を豪州寄港の帰途に南シナ海を航行させて、同海域における航行の自由を公に示す考えだと表明した。
同相は、米国軍艦がこれまで実施したように、中国主権と主張する島嶼・人工島の領海内を航行させるのかまでの詳細は明かさなかったが、中国側からの反発が予想される。
同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「英国、領有権問題で揺れる南シナ海に軍艦を派遣すると発表」
ウィリアムソン国防相が南シナ海に派遣するとした対潜フリゲート艦“サザーランド”は、今週から豪州に寄港する予定である。
これまで何度か米軍艦が、航行の自由作戦として、中国主権と主張する南シナ海の島嶼・人工島の領海内を監視航行したり、また、軍事演習を展開してきたが、その度毎に中国は、主権を脅かす如何なる行為にも断固反対すると表明してきた。
従って、今回の英国軍艦の南シナ海航行についても、中国側の反発が必至である。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AFP・ロイター通信』配信):「中国、英国防相の英軍艦を領有権問題のある南シナ海に派遣するとの発表に対して、“問題をこじれさせるな”と反発」
英国防相の発言に対して、中国の外交部(省に相当)の耿爽(コン・シュアン)報道官は2月13日、如何なる国の船舶も南シナ海を自由に航行できている以上、わざわざ軍艦を派遣して余計な問題を引き起こすべきではないと反発した。
同国防相は、フリゲート艦”サザーランド”が豪州寄港の帰途、来月に南シナ海経由帰国させると表明したが、米軍艦がこれまで行ったように、中国主権と主張する島嶼・人工島の12海里(約22キロメーター)以内を航行させるかまでは言及しなかった。
ただ同相は、英国の同盟国である米国が展開している、航行の自由作戦を強く支持すると付言した。
更に同相は、中国のみならず、ロシアやイランについても、一方的な勢力拡大の行動に対しては、国際安全保障のためにしっかりと対抗していく必要があるとも語った。
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