オーストラリアの新聞が黒塗り(2019/10/21)
21日、オーストラリアの主要な新聞が、報道の自由を訴えるキャンペーンで一面を黒塗りにした。まるで検閲された政府文書の機密情報であるかのように黒く塗られていた。内部告発者を罰し、ジャーナリズムをも刑で禁じるオーストラリア政府の抑制への抗議の一環だという。
10月20日付
『ロイター通信』は「オーストラリアの新聞がメディア制限への批判のため一面を黒塗り」との見出しで以下のように報道している。
豪最大手の各紙一面が黒塗りされた。報道の自由を制限する法への抗議とみられる。党派色の強いメディア業界ではまれ。豪は、昨年の防諜法強化で内部告発者保護を定めてはいるものの、法的に報道の自由が保護されていない。メディア団体は報道の自由が制限されているとしている。...
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10月20日付
『ロイター通信』は「オーストラリアの新聞がメディア制限への批判のため一面を黒塗り」との見出しで以下のように報道している。
豪最大手の各紙一面が黒塗りされた。報道の自由を制限する法への抗議とみられる。党派色の強いメディア業界ではまれ。豪は、昨年の防諜法強化で内部告発者保護を定めてはいるものの、法的に報道の自由が保護されていない。メディア団体は報道の自由が制限されているとしている。団体連合組合長は、「ジャーナリズムは民主主義の中核だ。ジャーナリズムは権力を精査し、不正に光をあて説明責任を求めるために存在するが、豪では闇に閉ざされている。」と文書でコメントしている。
今回のメディアの抗議は、ジャーナリズムの機密情報へのアクセス制限に抗議を示し、情報システムの機能を正常にし、名誉棄損裁判の基準を上げる為のものである。情報大臣はコメントを出していない。政府は報道の自由は基本原則だとの見解を示していた。豪の閉ざされた業界では、メディアの自由への抗議は稀な出来事である。
今回の騒動を英国BBCは非常に懸念される事態としている。
今年初頭、豪のメディア報道の自由に関心が集まる事件があった。ローマ法王庁財務長官ジョージ・ペル枢機卿が児童への性的虐待で有罪となった際、メディア報道が抑制されていた。豪報道機関は“匿名の人物”が有罪となったと報道したが、海外メディアが海外の管轄事件だったため、ペルの名を実名報道していた。
同日付英国『ガーディアン』は「オーストラリアの新聞が機密情報法への抗議で一面を黒塗り」との見出しで以下のように報道している。
内部告発者を罰し、ジャーナリズムをも刑で禁じるオーストラリア政府の抑制への抗議の一環で、全新聞の一面が黒塗りされた。「知る権利連合」(豪公共放送ABCやオーストラリアンを発行するニューズ・コープ・オーストラリアなど5社とジャーナリストによる組合)によるこのキャンペーンは、ABCのシドニー本社やニューズ・コープの記者自宅への家宅捜索(高等裁判所で裁判中)を受けての抗議とされる。
また、2004年のスパイ容疑で服役中の目撃者Kと弁護士がシークレット情報サービスに事務所を家宅捜索され、、国税局の権力濫用を訴えた内部告発者が最長161年服役中である。
豪議会は過去20年で、60以上の機密、諜報関連法を可決している。現在は内部告発法の見直し中で、過去2年で22法案が可決した。
抗議者は、「政府は官僚らの利得のため、透明性と説明責任を欠いている」とする。知る権利連合の今月の調査によると、回答者の87% が「豪が自由で開かれた透明性ある民主主義を保つ必要がある」と回答。政治資金、気候変動や移民についても情報に透明性がないと市民は感じているという。閣僚の食事メニュー等の些細な事でも政府は開示を拒否している。
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2018年の世界の軍事費は前年比2.6%増で最高水準、ストックホルム国際平和研(2019/04/29)
スウェーデンの研究機関ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は29日、2018年の世界全体の軍事費は、前年比2.6%増の1兆8220億ドル(約203兆円)だったと発表した。米中2カ国の軍事費の増加が全体を押し上げたとしている。
『AFP通信』『オーストラリアン・ アソシエーテッド・プレス』の他、各国メディアがSIPRIの報告を伝えた。昨年の世界全体の軍事支出の合計は、前年比2.6%増の1兆8220億ドルで2年連続の増加となり、統計を取り始めた1988年以降の最高水準に達した。
SIPRIによれば、昨年の世界の軍事費は、世界の人口1人あたりに換算すると239ドル(約2万6700円)となるが、世界の国内総生産(GDP)の総計に占める割合は2.1%で、この割合は1999年以降全ての地域で低下しているという。...
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『AFP通信』『オーストラリアン・ アソシエーテッド・プレス』の他、各国メディアがSIPRIの報告を伝えた。昨年の世界全体の軍事支出の合計は、前年比2.6%増の1兆8220億ドルで2年連続の増加となり、統計を取り始めた1988年以降の最高水準に達した。
SIPRIによれば、昨年の世界の軍事費は、世界の人口1人あたりに換算すると239ドル(約2万6700円)となるが、世界の国内総生産(GDP)の総計に占める割合は2.1%で、この割合は1999年以降全ての地域で低下しているという。
米国の2018年の軍事支出は、トランプ政権が17年から新たな軍備調達計画を導入したことを受けて、10年以降で初めて上昇に転じた。18年の軍事費6490億ドル(約72兆4000億円)は前年比4.6%増で、他を圧倒して世界最高の金額だった。これは世界全体の36%を占め、2位~9位の8カ国の合計に相当する。但し、最も多かった10年と比べると、金額は2割ほど減少している。
2位の中国の軍事費は24年連続で上昇し、1994年の10倍、2009年以降では83%増となり、米国とともに世界全体の金額を押し上げた。中国は13年以降、GDPの約1.9%を軍事支出に充てているが、18年は推定2500億ドル(約27兆9000億円)で、世界全体の14%を占めた。前年比5%の増加だったが、同国経済の減速を反映し、1995年以降で最低の伸び率となった。
これに続く3位はサウジアラビアの676億ドル(約7兆5400億円)で、中国やパキスタンとの緊張が続き、5年連続の増加となったインドが4位、フランスが5位だった。上位5カ国で世界の約60%を占めている。日本は466億ドル(約5兆2000億円)で、英国、ドイツに次ぐ9位となり、昨年の8位から1つ順位を下げた。
ロシアの軍事費は2016年以降減少しており、18年は3.5%減の614億ドル(約6兆8500億円)で、06年以来続けてきた上位5カ国から陥落して6位となった。ウクライナ情勢をめぐり西欧諸国が14年から実施している経済制裁が影響している。一方でウクライナの18年の軍事費は、前年比21%増の48億ドル(約5360億円)となった。
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