世界の産業用ロボット(参考データ後記)は、生産性の向上や人間が望まない反復作業を補う術として周知され、2022年には55万3千台が設置された。特に、コロナ禍による深刻な労働力不足に遭って、北米でも5年連続で設置台数が増加していたが、米自動化推進協会(A3、1974年設立)公表データによると、2023年は前年比約30%も減少したという。
2月12日付
『ロイター通信』は、北米における産業用ロボット設置台数が、景気減速と金利上昇に遭って2023年では前年比約30%も減少したと報じている。
世界の産業用ロボットは、生産性の向上や反復作業補助業務のために毎年右肩上がりで増えてきている。
特に、コロナ禍による深刻な労働者力不足や、ウクライナ戦争の勃発によるサプライチェーン混乱もあって、2020年以降大幅に設置台数が伸びている。
しかし、米ロボット業界団体A3によると、北米における2023年産業用ロボット設置台数は3万1,159台と、前年比▼約30%と、5年振りに減少に転じたという。
唯一の例外は、サウスカロライナ州に電気自動車(EV)生産工場を新規に起ち上げたドイツBMW(1916年設立)と、同じくネバダ州でのEV増産を決めた米テスラ(2003年設立)である。
『ロイター通信』が業界関係者にそれぞれインタビューした結果は以下のとおりである。
● A3のジェフ・バーンスタイン会長
・2023年においては、現下の景気減速や金利上昇懸念から、多くの企業が追加ロボット導入等の計画を延期した。
・コロナ禍による深刻な労働力不足を補うため、またウクライナ戦争に伴うサプライチェーンの混乱もあって、2021年・2022年と自動車、食品、金属製造業界で産業用ロボット設置に拍車がかかったが、2023年ではその反動で約30%も減少しており、2006年以来の大幅落ち込みとなった。
・ただ、自身がインタビューしたロボットメーカーの多くは、今年後半には上向くはずだと楽観的なコメントをしていた。
・一方で、ロボット導入側の事情では、多くの企業が新規の需要前に2022年に大量生産・発注してしまった分の在庫調整にかかっている節がある。
● 産業用ロボットメーカーのユニバーサル・ロボッツ社(デンマーク本社、2005年設立)のキム・ポブルセン社長
・2023年は、上半期に世界の産業活動が鈍化するなど、多くの主要顧客にとって厳しい経済環境であった。
・その結果、売上高は3億400万ドル(約453億円)と前年比▼7%減少している。
● ロボットシステム構築専門のCIMシステムズ社(インディアナ州本社、1989年設立)のデイブ・フォックス社長
・2023年初めは顧客からの注文が殺到して始まったが、後半に急激に失速した。
・確かに何社かが2023年の景気減速と金利上昇を懸念して、大型案件を後ろ倒ししたからで、恐らく前年比約30%は落ち込んだとみる。
・今年に入って、見積り要請が入り始めていることから何ヵ月後には上向くと期待しているものの、コロナ禍最中のレベルまで回復するか判断するのは時期尚早だ。
● システムインテグレーターのウォーセオン・マシーン社(オハイオ州本社、1983年設立)のジョー・ゲンマ営業部門責任者
・多くの企業が、製品過剰在庫を調整している最中であるため、産業用ロボットを含めた新規投資に依然慎重になっている。
・ただ、自身が最近訪問した工場では、600人の従業員が必要なのに140人も不足していた。
・この現象は他の工場でもよく見られていて、米国においては依然労働力不足に喘いでおり、産業用ロボットの需要は底堅いとみる。
(参考)産業用ロボット設置世界ランキング(国際ロボット連盟公表の2022年実績):①中国29万300台、②日本5万400台、③米国3万9,600台、④韓国3万1,700台、⑤ドイツ2万5,600台、⑥イタリア1万1,500台、⑦台湾7,800台、⑧フランス7,400台、⑨メキシコ6,000台、⑩シンガポール5,900台。
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米国や欧州連合(EU)がウクライナ支援に腰が引けつつある中、日本は、殺傷兵器の提供はしないものの、ウクライナ戦争終結後の同国経済復興のために官民合同で支援していく姿勢を見せている。
2月4日付ウクライナ
『UKRINFORM』(1918年設立の国営通信社)は、2月半ばに東京で開催される日・ウクライナ経済復興推進会議について、好意的に報道している。
ウクライナへの国際社会からの支援は、米国・EU等において腰が引けつつある。
そうした中、日本において2月19・20日、日・ウクライナ経済復興推進会議が開催される。
同会議には、両国政府関係者に加えて、双方から約200社の企業幹部も出席する予定である。
『共同通信』報道によると、日本側は、エネルギー供給・農業・インフラ整備等、官民一体となってウクライナの復旧・復興を進める意向であるという。
同会議には、岸田文雄首相(66歳、2021年就任)も出席し、復興支援を巡る政府方針を表明し、閣僚レベルでの討議に加えて、エネルギーやインフラ関係企業代表も分野ごとに協議を行う予定である。
また、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領(46歳、2019年就任)もビデオメッセージを寄せる見通しである。
なお、同会議には、主要7ヵ国(G-7)の駐日大使に加えて、ポーランド大使も出席する予定である。
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