米・フランス・ロシアメディア;国連の次期事務総長選びの現況(2016/07/21)
かねて報じたとおり、国連の事務総長については、過去の密室政治(5ヵ国の常任理事国により、ただ1人の候補につき密室合意)から脱却して、透明性が確保される新しい選出方法が採用されることになっている。すなわち、候補者全員を公けにした上で、国連安全保障理事会(15ヵ国)において数度に亘る投票を通じてある程度候補者を絞り、正式に国連総会で選出される。これまで、12人の候補者が出揃っているが、男女比が半々であることや、各大陸から立候補していることから、最終的にどの国の誰が選出されるのか予断を許さない。
7月21日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』記事引用):「国連安保理、次期事務総長候補12人についての非公開投票を実施」
「●国連安保理は7月21日、次期事務総長候補12人について、同理事会15ヵ国による非公開投票を行う予定。
●今年の安保理議長国となっている日本の別所浩郎国連大使は7月20日、初めて行われる投票だが非公開扱いとコメント。
●国連憲章では、安保理推薦の候補者につき、(193ヵ国の)国連総会で選出されるとされているが、従来、安保理が合意した1人の候補者(常任理事国以外)を総会に推薦する方法が採用されており、実質、拒否権を有する5ヵ国の常任理事国の密室協議で選択されるというのが慣例。...
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7月21日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』記事引用):「国連安保理、次期事務総長候補12人についての非公開投票を実施」
「●国連安保理は7月21日、次期事務総長候補12人について、同理事会15ヵ国による非公開投票を行う予定。
●今年の安保理議長国となっている日本の別所浩郎国連大使は7月20日、初めて行われる投票だが非公開扱いとコメント。
●国連憲章では、安保理推薦の候補者につき、(193ヵ国の)国連総会で選出されるとされているが、従来、安保理が合意した1人の候補者(常任理事国以外)を総会に推薦する方法が採用されており、実質、拒否権を有する5ヵ国の常任理事国の密室協議で選択されるというのが慣例。
●今回の12人の候補(東欧8人、中南米2人、アジア太平洋2人)は男女比が半々で、56ヵ国のグループが、初の女性事務総長選出キャンペーンを展開。
●また、これまでアジア、アフリカ、中南米、欧州出身の事務総長が交代で選出されていることから、ロシアを含めた東欧諸国が、初の東欧出身の事務総長選出を強くアピール。
●安保理メンバーによる非公開投票は7月末、8月、9月と数度行われ、ある程度候補者が絞られた上で、9月末か10月の総会で選出される予定。」
7月20日付フランス
『フランス 24』(
『AFP通信』記事引用):「国連安保理、次期事務総長の投票を非公開に」
「●安保理はこれまで、5ヵ国の常任理事国が予め絞った1人の候補者に対して、“支持”、“不支持”、“棄権”の公開投票を実施していたが、今年から多くの候補者(現在12人)について非公開投票を実施。
●下馬評の有力候補は、アルゼンチンのスサーナ・マルコーラ外相(女性)、スロベニアのダニロ・トゥルク前大統領(男性)、ニュージーランドのヘレン・クラーク前首相(女性)、ポルトガルのアントニオ・グテーレス元首相(男性)。
同日付ロシア
『イタルタス通信』:「ロシアの国連大使、次期事務総長は10月に決定とコメント」
「●ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は7月20日、次期事務総長は10月に決定されようとコメント。
●同大使は、これまでと違って常任理事国であるロシアの意向が強く反映されることはなく、多くの候補者の中から、15ヵ国の安保理メンバーによる非公開投票を経て最終候補が絞られ、その上で国連総会に推薦するという手続きが採用されるため。」
現在の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、確かに、世界貧困層の比率減少に多大な貢献をしたことなどは評価されようが、その他の点、特に事務総長に求められる中立性、公平性という点では、大いに疑問の残る行動が目につく。
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米・ロシア・中国メディア;ロシア・中国共同経済圏の拡大(2016/06/27)
英国の欧州連合(EU)離脱を契機に、EUの弱体化などが予想される。一方、日米主導で昨年末に漸く合意した環太平洋戦略的経済連携(TPP)についても、米大統領選のクリントン、トランプ候補ともTPPを支持しておらず、新大統領の下、オバマ大統領の目論見どおりTPPが批准されるかどうか予断を許さない。かかる状況下、虎視眈々と二大社会主義国家が共同経済圏の拡大を狙っている。
6月24日付米
『ロイター通信米国版』:「プーチン大統領、イランの上海協力機構加盟を支持」
「・プーチン大統領は6月24日、ロシアと中国が主導している“上海協力機構(SCO、注後記)”へのイランの加盟について、核合意がなされ、国連の制裁も解除された以上、何ら問題はないと表明。
・同大統領は、タシケント(ウズベキスタン)で開かれたSCOサミットで演説したもの。」
6月25日付米
『NYSEポスト』オンラインニュース:「ナレンドラ・モディ首相、インドのSCO正式加盟で同経済同盟強化に貢献と発言」
「・インドとパキスタンについて、2015年7月のSCOサミットで、準備が整い次第、SCOへ加盟することが正式決定。...
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6月24日付米
『ロイター通信米国版』:「プーチン大統領、イランの上海協力機構加盟を支持」
「・プーチン大統領は6月24日、ロシアと中国が主導している“上海協力機構(SCO、注後記)”へのイランの加盟について、核合意がなされ、国連の制裁も解除された以上、何ら問題はないと表明。
・同大統領は、タシケント(ウズベキスタン)で開かれたSCOサミットで演説したもの。」
6月25日付米
『NYSEポスト』オンラインニュース:「ナレンドラ・モディ首相、インドのSCO正式加盟で同経済同盟強化に貢献と発言」
「・インドとパキスタンについて、2015年7月のSCOサミットで、準備が整い次第、SCOへ加盟することが正式決定。
・両国とも、今回タシケントで開かれたSCOサミットに参加の上、必要な提携契約等に署名し、2016年中に正式加盟となる見込み。
・今回、両国の他、アフガニスタン、ベラルーシ、イラン、モンゴルがオブザーバーとして参加。
・また、トルコもSCO加盟を正式表明。」
6月24日付ロシア
『イタルタス通信』:「SCO事務局長、SCOのタシケント・サミットが更なる発展への弾みとなったと発言」
「・SCOのラシッド・アリモフ事務局長は6月24日、今回タシケントで開かれたSCOサミットは、2025年までの同機構の発展戦略への道筋が付けられたと称賛。
・同事務局長は、15年前に組成されたSCOは、同機構域内の経済・安全保障連携という目的が更に発展・強化されつつあると強調。」
6月25日付中国
『中国中央テレビ』:「インドとパキスタン、SCOに正式加盟へ」
「・タシケントで開かれた第16回SCOサミットで、インドとパキスタン両国がSCO正式加盟のための提携契約等に署名。
・特にプーチン大統領は、(EUによる)対ロシア経済制裁の6ヵ月延長に失望していたが、インド・パキスタンに加えて、将来イランが加わることで、SCOが全世界人口の約半分が加わる共同経済圏となることを歓迎。」
SCOは、インドとパキスタンの正式加盟で、人口約30億人、国内総生産20兆ドル(約2千兆円)の巨大組織となることになる。そして、ロシア主導の「ユーラシア経済連合」と中国が進める「一帯一路(シルクロード経済圏)」構想を核とした、ユーラシア大陸の巨大な経済圏創設への足掛かりとなるため、日米欧が形成する西側自由主義経済圏の強力な対抗組織となる恐れがある。
(注)SCO:中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8ヵ国による多国間協力組織、もしくは国家連合。2001年6月15日、上海にて設立。
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