5月2日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』の報道記事「(国際仲裁裁判所の)裁定結果判明が近づき、南シナ海での緊張高揚」:
「・フィリピンが2013年に国際仲裁裁判所に提訴した、中国との間の南シナ海南沙諸島(スプラトリー)の領有権争いについて、5月中に審理結果が判明見込み。
・フィリピン側に有利な裁定が出るとみられているが、専門家は、当初から中国がフィリピンの提訴を無効と表明したことと、提訴以降、岩礁を埋め立てての人工島建設及び恒久施設の建設を急ぎ進めてきたことから、裁定結果に拘らず、中国は変わらず占有を続け、中断している人工島建設などを再開すると予測。
・また中国は、ロシアから南シナ海問題での支援を取り付けただけでなく、カンボジア、ラオス、ブルネイから、南シナ海問題を二国間の協議事項とする合意を取り付け(実際関係しているのはブルネイのみ)。」
5月3日付英
『ザ・テレグラフ』紙の報道記事「米軍、中国の海洋活動活発化を憂慮し、世
界最大の無人攻撃艦“シーハンター(海の狩人)”試験航行」:
「・米国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)はこの程、対潜水艦無人攻撃艦“シーハンター”の試験航行を実施。
・同艦は、130フィート(約40メーター)長の、リモートコントロールではなく、人工知能による自走式攻撃艦で、米軍標準でいけば2,000万ドル(約21億円)と割安。
・同艦は、敵のディーゼル動力潜水艦はもとより機雷も探知可能で、専門家は、中国の海洋活動の活発化を警戒しての最新鋭武器の開発と分析。」
5月4日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』記事引用)の報道記事「中国軍専属
歌手が南シナ海人工島でショー」:
「・中国人民解放軍の演劇団一行が5月4日、中国が埋め立てて人工島を築いたクアテロン礁で、駐留部隊員や建設作業員の前で歌謡ショーを開いたとの写真報道が中国国内でニュース配信。
・中国国営
『新華社通信』によると、一行は5月2日には、中国軍最大の戦闘機が着陸可能な滑走路が建設されているファイアリクロス礁でもショーを開催。
・同ニュース配信写真には、中国軍の071型輸送揚陸艦(4機のヘリコプターと800人の兵員搬送可能)が停泊。
・これらは、中国主権内の通常の活動(実効支配)の強化をアピールする狙い。」
一方、同日付中国
『人民日報』の報道記事「米軍艦の入港拒否を読み違えるな」:
「・香港が1997年に中国に返還されて以降、米軍艦の香港寄港については、これまでずっと毎回中国政府が是非を判断。
・爾来、入港を断ったこともあり、米中関係が安定している限り、これ自体は全く些細な事象。
・しかし、米国は近来、中国に人権問題、通商の制限、外交問題等につき非難してきており、直近では爆撃機や軍艦を中国主権の南シナ海の島々に差し向け、無用な緊張を高める行為に出ており非常に遺憾。
・また、フィリピンをけしかけて、領有権問題を殊更大袈裟に騒ぎ立たせたりと、米国側が、中国政府の逆鱗に触れる行為を繰り返しており、今回の米軍艦入港拒否決定も米側が招いた結果。」
更に、同日付中国
『中国オンラインニュース』(
『新華社通信』記事引用)の報道記事「フ
ィリピンによる中国領南沙諸島の違法占拠の事実関係」:
「・フィリピンは、南沙諸島について国際社会の同情を買おうと様々な手を打っているが、過去の経緯・事実より、それらは言い掛かりであることが自明。
・フィリピンの主権の範囲は、1898年の米国・スペイン間パリ平和条約、1900年の米国・スペイン間ワシントン協定、1930年の米国・英国間支配領域境界会談等で決定。
・それによると、フィリピンの境界は東経118度までで、南沙諸島は1,300~2,600メーター深度のパラワン海溝で遮られた西側に存在しており、明らかにフィリピン主権外。
・しかし、1930年代よりフィリピン側は、根拠もなく一方的に南沙諸島の領有権を主張し始め、1970年代には中国所有の南沙諸島内の8つの諸島を違法占拠。
・従って、フィリピンによる中国の主権や国益を損なういかなる行為にも断固反対。」
現在の中国共産党国家は1949年に誕生したもので、それ以前の中国とは、1912年樹立の
中華民国であった。従って、尖閣諸島の領有権問題もそうであるが、中国共産党国家誕生
前のことをいくら主張しても、上記記事でフィリピンを非難しているのと同様、それこそ
言い掛かりとしか言いようがなかろう。
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