一般会計総額が過去最大となる、2016年度予算が参議院本会議で可決成立した。安倍政権は、この予算の成立を受けて、今後の軸足を新たな経済対策に移すとしている。この点につき、欧米メディアは一斉に報じたが、中国メディアはアベノミクスが失敗したと痛烈に批判している。
3月29日付米
『AP通信』の報道記事「安倍首相、消費税率引き上げは繰り延べないと明言」:
「・2016年度一般会計予算が成立した3月29日夜の記者会見において、安倍首相は、来年4月予定の消費税率引き上げについて、社会保障の充実、また、市場や国際社会からの信頼を得るために、これ以上繰り延べる考えはないと明言。
・かつて安倍政権は、元々昨年10月となっていた8%から10%への消費税引き上げ時期を、来年4月に延期。...
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3月29日付米
『AP通信』の報道記事「安倍首相、消費税率引き上げは繰り延べないと明言」:
「・2016年度一般会計予算が成立した3月29日夜の記者会見において、安倍首相は、来年4月予定の消費税率引き上げについて、社会保障の充実、また、市場や国際社会からの信頼を得るために、これ以上繰り延べる考えはないと明言。
・かつて安倍政権は、元々昨年10月となっていた8%から10%への消費税引き上げ時期を、来年4月に延期。
・今夏に参議院議員選挙が控えていることから、多くの人が安倍首相は引き上げ時期を再度繰り延べと予想。」
同日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュースの報道記事「安倍首相、予算前倒し投入を明言」:
「・過去最大となる96兆7千億円(8,500億ドル)の一般会計予算が成立したが、安倍首相は、与党・自民党内から出ていた追加10兆円の景気対策予算についてはっきり否定。
・むしろ、新予算の前倒し投入とすべく財務相に指示と付言。
・更に、来年4月の消費税率引き上げは予定通り、また、噂されている参議院議員選挙に合せて衆議院議員選挙を行う考えもないと明言。」
同日付ドイツ
『ドイツ通信』(
『ロイター通信』記事引用)の報道記事「賃金再度下落し、
来年の消費税増税に疑問符」:
「・総務省は3月29日、2月の平均賃金が、昨年同月比▼2.4%と6ヵ月連続の減少と発表。
・また、完全失業率も、前月の3.2%から3.3%へ6ヵ月振りに若干上昇。農林業で+8万人、製造業で+6万人の失業者増が原因。
・従って、来年4月の消費税率引き上げの実施については、多くが懐疑的。」
同日付中国
『新華社通信』の報道記事「アベノミクス、日本の景気回復に失敗」:
「・景気回復を成し遂げるとして掲げた安倍首相によるアベノミクス、すなわち3本の矢政策は完全に失敗。
・第一に、日銀中心の金融緩和策は有効理にはたらかず、今や日本の株式市場、円為替市場、そして国債流通市場を歪め、結果として国際通貨安戦争のリスクも増大。
・第二に、度重なる国債発行で、2012年12月の安倍政権発足時に国内総生産(GDP)比236%だった国債発行高(国の借金)が、国際通貨基金(IMF)データでは250%まで上昇。将来の債務超過危機を暗示。
・第三に、経済改革が目に見える結果となっておらず。完全失業率が3.2~3.3%と低率であるにも拘らず、正規雇用は減り、また賃金上昇も限りがあることから、消費が伸び悩み、政権や日銀が目指す消費者物価指数+2.0%達成は不可能なレベル。
・なお、総務省の発表では、2月の世帯平均収入額は30年前のレベルまで減少。」
なお、一部の政治評論家の見方として、安倍首相は自らの意思で、消費税率引き上げの繰り延べはもとより、衆参同日選挙も決定することはあるまいとしている。むしろ、5月下旬の伊勢志摩サミットにおいて、議長国として日本及び世界の景気状況につき主議題に挙げた上で、日本が来年4月に消費税率引き上げを予定通り実施した場合の日本及び世界景気への影響について論議させ、結果として他首脳から引き上げ時期繰り延べの提案をせしめるのではないかという。そして、この結果を踏まえて、国民の審判を仰ぐという名目で衆議院解散、衆参同日選挙に持ち込もうとしているのではと推測している。おもしろい見方ではあるが、果たして結果はどうであろうか。
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