インドで新型コロナウイルスの感染爆発が起こっている。毎日30万人以上の新規感染者と3千人以上の死亡者が記録されており、現地の医療システムが限界に達している。制御不能となってしまった原因は何なのか、欧米メディアは、インド変異株の出現や脆弱な医療制度など複数の要因が重なったことを原因として挙げている。
米
『USAトゥデイ』によると、インドで新型コロナウイルスの感染者が確認されるようになった昨年3月、約14億人の人口を抱える国では、2ヶ月間のロックダウン措置が取られ、感染率が厳しく管理された。9月に一時的に増加したが、その後減少した。
米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院の感染症専門家であるアミタ・グプタ博士は、「2月には感染者数は過去最低となり、インドはウイルスを克服したと考えて気を緩め始めた」と述べている。人々はクリケットの試合や宗教的なお祭り、結婚式などに参加するなど、「感染対策のための規制は基本的に緩和されていた」という。しかし現在、国内の感染者数は急激に増加している。グプタ博士は、インドは非常に広いため、地域によって異なる要因が作用している可能性があるものの、その組み合わせが大惨事を招いたと述べている。感染症の専門家たちは、政治的、生物学的、行動的、気象学的な要因が組み合わさって、今回の爆発的な感染拡大につながったと見ている。
まず始めに、1,900万人の人口を抱える首都ニューデリーをはじめとするインドの一部地域は、この時期、湿度が低くなる。米ブラウン大学公衆衛生学部の学部長であるアシシュ・ジャー博士は、「ウイルスは空気が乾燥しているときに広がりやすいことが知られており、それが今回の大規模な感染拡大につながったのではないか」と述べている。
次に、毎年恒例の巡礼行事であるクンブ・メラのために、すでに70万人以上がガンジス川のほとりを訪れ、4月末までには数百万人の増加が見込まれていた。こうした大群衆も感染拡大に一役買ったと推測される。オレゴン州立大学の国際保健学教授であり、同大学グローバル・ヘルス・センター所長のChunhuei Chi教授は、「巡礼行事の前からすでに感染者数は上昇していたが、巡礼行事以降、感染者数が飛躍的に上昇した」と指摘している。
さらには、変異株の出現も感染拡大の要因として挙げられる。しかし、アシシュ・ジャー博士は、インドでは変異株の追跡を行うほど体制が整っていないため、どの変異株が国内に存在し、どこまで広がっているのかを把握することができていないという。
グプタ博士は、インドの患者数がピークに達するのは5月中旬以降と推測しており、感染を減らすための対策を今すぐとらなければ、さらに長期化する可能性があると述べている。これまでのところ、インド人の約10%がワクチンを接種しており、5月1日には、すべての成人がワクチン接種の対象になる予定だ。しかし、現在のように1日に約200万回の接種を行ったとしても、人口が多いため、感染率の低下につながるだけの人数を接種するには時間がかかることが予想されている。
パリ・ナンテール大学でインドを専門とするフレデリック・ランディ教授は、「昨年の秋、インドには第2波が来なかったため、12月から1月にかけて人々の関心が薄れ、生活がほぼ平常に戻っていた。集会の実施や感染予防対策の無視、あるいは大都市であるがゆえの人口密度や交通機関の過密化によって感染予防対策が取れないことにより、インドは高い代償を払うことになった。」と仏『20ミニッツ』に対して説明している。
専門家らは、ここ最近、地方選挙が行われている州の政治集会や宗教的な祭事に、数千人の人々がほとんどマスクをせずに参加していたことも感染症の増加につながったと指摘している。
ランディ教授は、「今回の流行で注目されているのは、ウイルスの危険性ではなく、インドの医療システムの荒廃した状態だ。通常、お金持ちであれば病院を利用することができるが、貧乏な人は医療制度を利用することができない。しかし今では、どんなに裕福な人でもベッドを探すのに苦労している。今までは、インドは二重構造になっていましたが、今は誰にとっても破滅的な状況になっている。」と述べている。
閉じる
ジョー・バイデン大統領(78歳)はこの程、アジア・アフリカ11ヵ国駐在の大使を新たに任命した。しかし、米同盟国の英国・フランス・ドイツ・日本(注後記)の他、最大の敵対国と標榜している中国の大使も未だ任命できていない。
4月15日付
『デイリィ・コーラー』保守系オンラインニュース:「バイデン大統領、9人の新大使を任命するも、重要国の大使は未だ空席」
ジョー・バイデン大統領は4月15日、アジア及びアフリカの11ヵ国駐在の大使として新たに9人を任命した。
しかし、米同盟国である英国、フランス、ドイツ駐在の大使は未だ任命されていない。
更に、新政権にとって一触即発の国となっている中国、メキシコの大使も任命されていない。...
全部読む
4月15日付
『デイリィ・コーラー』保守系オンラインニュース:「バイデン大統領、9人の新大使を任命するも、重要国の大使は未だ空席」
ジョー・バイデン大統領は4月15日、アジア及びアフリカの11ヵ国駐在の大使として新たに9人を任命した。
しかし、米同盟国である英国、フランス、ドイツ駐在の大使は未だ任命されていない。
更に、新政権にとって一触即発の国となっている中国、メキシコの大使も任命されていない。
これまでの大統領は、物議を醸す事柄ではあるが、複数の大使ポジションを目立った支持者や裕福な協力者に与えてきている。
『USAトゥデイ』紙報道によると、バイデン政権も、どの国の大使ポジションをこの目的のための候補とするか検討中であるという。
ただ、前政権の対中強硬政策の延長線上で、中国を“目の敵”と見做し、かつ、民主主義国と専制国家とでは、どちらが将来の国際社会をリードすることになるかの戦いだと明言しているバイデン政権にとって、駐中国大使として誰を任命するかは最も注目される事態である。
ホワイトハウスは、空席の大使の任命がいつになるのか、具体的タイミングは依然未定のままだとしている。
なお、これまでの大統領はまた、協力要請の一環で対抗政党に大使ポジションを与えることが多かった。
ビル・クリントン(民主党、現在74歳)、ジョージ・W.・ブッシュ(共和党、同74歳)、バラク・オバマ(民主党、同59歳)は、閣僚級の重要な大使ポジションを反対党に与えてきた。
しかし、ドナルド・トランプ(共和党、同74歳)はこれ程までに妥協することはせず、バイデン大統領も同様とみられている。
ただ、同大統領は、ローマ本拠の国連世界食糧計画(1963年設立、2020年にノーベル平和賞受賞)大使として、故ジョン・マケイン氏(1936~2018年、前アリゾナ州選出共和党上院議員)夫人のシンディ・マケイン氏(66歳、慈善事業家、共和党員)を推挙すると言われている。
<この度任命された大使>
ラリィ・エドワード・アンドレ・ジュニア氏(59歳、前駐ジブチ大使):ソマリア連邦共和国(アフリカ東端、1960年に英国・イタリアより独立)
エリザベス・ムーア・オービン氏(前国務省中近東局次官補代行):アルジェリア民主人民共和国(北アフリカ、1962年にフランスより独立)
スティーブン・C.・ボンディ氏(前中近東局上級顧問):バーレーン王国(西アジア・中東、1971年に英国より独立)
マリア・E.・ブリューワー氏(前駐シエラレオネ大使):レソト王国(アフリカ南部、1966年に英国より独立)
クリストファー・ジョン・ラモーラ氏(前駐ガーナ大使館公使):カメルーン共和国(アフリカ中西部、1960年にフランスより独立)
マイケル・レイノア氏(58歳、前駐エチオピア大使):セネガル共和国(西アフリカ、1960年にフランスより独立)及びギニアビサウ共和国(西アフリカ、1973年にポルトガルより独立)兼務
チュリナボ・S.・マシンギ氏(64歳、前駐セネガル大使兼駐ギニアビサウ大使):アンゴラ共和国(アフリカ南西部、1975年にポルトガルより独立)及びサントメ・プリンシペ民主共和国(アフリカ西岸沖の島国、1975年にポルトガルより独立)兼務
ユージーン・S.・ヤング氏(前駐イスラエル大使館経済参事官):コンゴ共和国(西アフリカ、1960年にフランスより独立)
マーク・エバンス・ナッパー氏(前国務省東アジア・太平洋局日本韓国担当次官補):ベトナム社会主義共和国(東南アジア、1945年にフランスより独立、1976年に南北統一・改称)
(注)駐日本米国大使:トランプ政権時代に任命されていたビル・ハガティ大使(61歳)が、2020年秋の上院議員選挙に立候補するため2019年7月退任(当選して、目下テネシー州選出上院議員)。トランプ政権は、後任として保守系シンクタンクのハドソン研究所(1961年設立)のケネス・ワインスタイン所長(59歳)を推挙したが、上院での承認決議がなされないまま政権交代となったため、同推挙は無効となり、現在も空席のまま。なお、ハガティ氏退任後、新大使着任までの間、ジョセフ・ヤング首席公使(56歳)が臨時代理大使に就任。
閉じる