新型コロナウィルス感染者急増の日本についての米メディア報道
奇妙な偶然とは言え、3月24日に2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催延期が決定されて以降、日本国内における感染者数の急増が止まらない。米メディアの中には、“予定どおりの開催に固執する必要がなくなったので、実態が表れた”と批評するところもあったが、依然満員電車に揺られて出勤するサラリーマンの声、更には日銀短観(注後記)指数なども引用して、日本社会の現状について報じている。
4月1日付
『ロイター通信』:「日本、新型コロナウィルス感染拡大危機の中、学校閉鎖を5月まで延期することを検討」
菅義偉官房長官は4月1日、新型コロナウィルス感染拡大が止まらない状況下、都市部の学校閉鎖を4月一杯まで更に延ばす可能性について言及した。
同長官は、世界で猛威を振るう新型コロナウィルス感染対策は、日本においても何よりもまして最優先事項であり、“必要な対策は全て”実行に移すと表明した。...
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4月1日付
『ロイター通信』:「日本、新型コロナウィルス感染拡大危機の中、学校閉鎖を5月まで延期することを検討」
菅義偉官房長官は4月1日、新型コロナウィルス感染拡大が止まらない状況下、都市部の学校閉鎖を4月一杯まで更に延ばす可能性について言及した。
同長官は、世界で猛威を振るう新型コロナウィルス感染対策は、日本においても何よりもまして最優先事項であり、“必要な対策は全て”実行に移すと表明した。
現在の日本の感染者数2,200人、死者66人は、米国、欧州そして中国の状況に比べて異常に低いが、直近の感染者数増加がすさまじくなってきている。
特に東京都では、3月31日の新たな感染者が78人と、一日での最高値となり、合計500人超の感染者となっている。
そこで、新たに制定された緊急事態対策改正法によって、安倍晋三首相による緊急事態宣言が発令される契機となるのではないか、と取り沙汰されている。
安倍首相は3月初め、他国に先んじて3月2日からの学校閉鎖の要請を発信していた。
しかし、東京都は4月からの新学期以降の開校を目論んでいたが、『NHK』他メディア報道によると、学校閉鎖は5月の連休明けまで続けられる見込みと報じられていた。
連日会見を行っている小池百合子都知事は、4月1日の会見では、先週末の外出自粛の要請を強化する意向に加えて、平日夜にレストランやバーに繰り出すことも控えて欲しいと訴えている。
同知事は、“自分は感染しない、という思い込みは止めて、感染拡大を食い止めるためには全ての人の責任ある行動に委ねられている”と強調している。
ただ、ツイッター等に投稿されている一般人の多くの声として、依然通勤電車は満員の乗客を乗せて走っているとの指摘がある。
あるユーザーは、“他国に比べて、はっきりしない日本の状況に当惑している”と訴えている。
同日付『CNBCニュース』:「日本企業の景況感指数、新型コロナウィルス感染拡大で7年振りにマイナス」
4月1日に公表された3月の日銀短観において、大企業製造業の業況判断指数(DI)が、2013年3月以来7年振りにマイナス8(前期12月比▼8ポイント悪化)となった。
大企業非製造業のDIも、新型コロナウィルス感染拡大による旅行・イベントの中止や、密集・密接・密閉を避けるようにとの提言による売上高の激減に遭い、プラス8(前期末12月比▼12ポイント悪化)とこれも7年振りの低水準となっている。
かかる指数の悪化は、これまで安倍政権が推進してきた“アベノミクス”経済諸政策の成果を吹き飛ばしてしまう程、新型コロナウィルス感染問題が深刻であることを表している。
そこで、行政府に対しては、益々抜本的な経済支援策の実施への要求が高まってきており、安倍首相も、2008年時の世界金融危機の際に行った規模以上の景気刺激策を実施する意向である旨表明している。
(注)日銀短観:日本銀行が毎月発表する、全国企業短期経済観測調査のこと。全国約1万社を対象に、景気が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出するDIで表す。
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IOC;ついに東京オリンピック開催の可否につき各国際競技団体と協議開始か?【米・英国メディア】
既報どおり、国際オリンピック委員会(IOC)も開催国日本関係者も、7月24日開始の東京オリンピックを予定どおり開催するとしている。しかし、3月16日現在、新型コロナウィルス集団感染は世界148ヵ国に及び、感染者数も16万9,387人(前日比+12,991人)、死者6,513人(同+680人)となり、中国以外、特に欧米での感染拡大がひどくなるばかりである(米ジョンズ・ホプキンス大学内研究機関最新データ)。日本での感染度合は、それらと比較するとまだ緩やかと言えるかも知れないが、大勢の観客を集めた大イベントを予定どおり開催して良いのか、との懸念の声は強まるばかりである。そこで、IOCとしても、“予定どおり”ではない場合に備えて、各国際競技団体と協議に入るものとみられる。
3月16日付米
『ロイター通信』:「IOC、新型コロナウィルス集団感染リスクを踏まえ、各国際競技団体代表と協議へ」
IOCは3月16日、『NHK』のインタビューに答えて、新型コロナウィルス感染問題深刻化の中、3月17日に各国際競技団体代表と協議する予定だとコメントした。
7月24日の開会式まで5ヵ月を切った現在、このまま予定どおり東京オリンピックを開催して良いのかという懸念の声は日に日に高まっている。...
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3月16日付米
『ロイター通信』:「IOC、新型コロナウィルス集団感染リスクを踏まえ、各国際競技団体代表と協議へ」
IOCは3月16日、『NHK』のインタビューに答えて、新型コロナウィルス感染問題深刻化の中、3月17日に各国際競技団体代表と協議する予定だとコメントした。
7月24日の開会式まで5ヵ月を切った現在、このまま予定どおり東京オリンピックを開催して良いのかという懸念の声は日に日に高まっている。
3月16日現在の集計データによると、新型コロナウィルス感染者は16万人を超え、また、死者も6千人超となっている。
かかる状況下、各競技種目で予定されていたオリンピック代表決定のための試合が、軒並み中止、あるいは延期されている。
例えば、ボルダリング、ボクシング、フェンシング、柔道などであるが、この影響で、同競技選手たちは選考がどうなるのか不明で、苦境に陥っている。
ただ、安倍晋三首相や東京オリンピック組織委員会は、依然、予定どおりの開催に向けて最善を尽くしていると繰り返し述べている。
一方、IOCは『ロイター通信』等メディア宛の声明文の中で、“事態が深刻化する中で、数週間前から関係者らとの協議を始めている”とした上で、“3月17日の協議もその一環”だとして、それ以上の内容については明かしていない。
また、IOC競技委員会のキット・マコーネル委員長が3月9日付で各国際競技団体に宛てた通知文によると、“IOCは、必要がある場合にすぐ対応できるよう、IOC理事会に代わって行動する「実行委員会」を立ち上げた”とした上で、“代表選考会の日程変更承認も同委員会に委ねられる”という。
これまで、同委員会に委ねられている変更事態は、6月30日までの範囲内での代表選考会の延期、各国あるいは各選手への代表枠数の再配分、代表選考条件の一部削除である。
一方、同日付英国『デイリィ・メール・オンライン』:「IOCが明日(3月17日)に新型コロナウィルス危機を協議しようとする中、日本人のほぼ半分が東京オリンピック開催は中止すべきと回答」
新型コロナウィルス集団感染問題深刻化の中、英国のプレミアリーグ(プロサッカー)から米国のプロバスケットボール競技(NBA)までが中止に追い込まれていて、ドナルド・トランプ大統領も、東京オリンピック開催の一時棚上げを言い出している。
しかし、安倍首相もIOCのトーマス・バッハ会長も、予定どおり開催すると繰り返している。
ただ、『NHK』が3月6~9日の間に実施した世論調査の結果、回答者の45%が予定どおりの開催に反対で、賛成の40%を上回った。
反対者の多くは、日本の感染者数が814人、死者24人と、集団感染が拡大している国々に比べて低い方と言えるが、オリンピックのために大変多くの観戦者・旅行者が来日してくることで、感染リスクの拡大を懸念している。
なお、英国のブックメーカー(注後記)のパディ・パワー(1988年設立の老舗)の賭け率は、4:1で開催中止(あるいは延期)の割合が高くなっている。
(注)ブックメーカー:欧米における賭け屋で、日本のノミ屋に当たる。多くが法人格で運営しているが、出版社や書店は意味しない。1790年代に英国の競馬場で始められ、1960年には英国政府公認となっている。
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