日本、これまで経済支援しているネパールに新紙幣用特殊原紙の供給依存【米メディア】(2024/07/05)
日本でこの程、約20年振りに新札が発行されたが、紙幣用原紙の原料となるミツマタの供給元について米メディアが報じている。
7月2日付
『CNNニュース』は、日本の新札発行に当たり、これまで日本が経済支援を行っている途上国のひとつであるネパールが、現在では紙幣原料となるミツマタの主要供給元となっていると報じた。
世界ではキャッシュレス決済が進み、特に中国ではほとんど全ての商行為がデジタル決済となっている。
しかし、日本においては、キャッシュレス決済が浸透してきているものの、経済産業省データによれば、依然全取引の60%以上が現金決済となっている。...
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7月2日付
『CNNニュース』は、日本の新札発行に当たり、これまで日本が経済支援を行っている途上国のひとつであるネパールが、現在では紙幣原料となるミツマタの主要供給元となっていると報じた。
世界ではキャッシュレス決済が進み、特に中国ではほとんど全ての商行為がデジタル決済となっている。
しかし、日本においては、キャッシュレス決済が浸透してきているものの、経済産業省データによれば、依然全取引の60%以上が現金決済となっている。
そうした中、日本銀行がこの程、約20年振りに新札(正式名称日本銀行券)を発行することになった。
ただ以前と大きく違うことは、紙幣の主原料であるミツマタ(またはペーパーブッシュ)が、途上国のひとつであるネパール(編注;2024年世界GDPランキングで、対象189ヵ国中99位)から輸入されていることである。
かつてミツマタは、兵庫県や徳島県の農家で生産されていたが、少子高齢化に加えて、多くの若者が東京や関西圏等の大都市に移転してしまい、生産農家が激減してしまった。
そこで、1990年代、途上国支援の一環でネパールにおいて農業支援を行っていた(株)かんぽう(注後記)が、同国ヒマラヤ山脈の麓で自生するミツマタの大量栽培を現地農家と共同で行い、現在では日本向けの主要供給元となっている。
同社の松原正社長(2013年就任)は、“これまで日本政府がネパールを経済支援していたが、今やネパールは紙幣用特殊原料のミツマタの最大供給元であり、日本経済を助けていると言っても過言ではない”とコメントしている。
同社長によれば、ミツマタは、初夏に苗を植えて秋に枝を収穫し、数ヵ月かけて樹皮を蒸して皮をむき、洗浄・乾燥などの処理を行うため、原紙ができるまでには非常に時間と手間がかかるという。
冬季になって出来上がった原紙は、首都カトマンズに送られ、その後トラックでインド北東端のコルカタ(旧カルカッタ)に運ばれ、船で横浜港へ輸送された後、国立印刷局(1871年)によって小田原工場等で紙幣に生まれ変わる。
なお、2022年におけるネパール産ミツマタの対日輸出高は120万ドル(約1億9千万円)と全輸出高の9%以上も占めている(国際貿易データ収集・分析専門の「経済複雑性指標ウェブサイト」(マサチューセッツ工科大学内で1962年設立、2012年独立)によるデータ)。
(注)(株)かんぽう:官報や政府刊行物の販売、和紙原料ミツマタの輸入・販売等を行う1948年設立の企業。本社大阪市。
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米メディア、富士山入山料徴収を例に挙げて日本のオーバーツーリズム対策について報道(2024/07/02)
日本への外国人観光客は、折からの円安もあって直近3ヵ月連続で300万人超とコロナ禍前のレベルまで回復している。そうした中、人気観光地で問題視されてきているのがオーバーツーリズムによる弊害であるが、富士山登山者からの入山料徴収を例に挙げて、日本における同対策について米メディアが報じている。
7月1日付
『CNNニュース』は、富士山登山者に新たに適用される入山料徴収を例に挙げて、日本におけるオーバーツーリズム問題への対応策について報じている。
富士山は2013年、国連教育科学文化機関(ユネスコ、1946年設立)の世界遺産に登録された日本を象徴する山であるが、古代より山岳信仰の対象とされてきている。
SNSによる情報共有もあって、国内はもとより外国人旅行者にも人気が高く、山梨県のデータによると、2019年の富士山登山者は500万人超と、登録前の2012年時より300万人も大幅増となっている。...
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7月1日付
『CNNニュース』は、富士山登山者に新たに適用される入山料徴収を例に挙げて、日本におけるオーバーツーリズム問題への対応策について報じている。
富士山は2013年、国連教育科学文化機関(ユネスコ、1946年設立)の世界遺産に登録された日本を象徴する山であるが、古代より山岳信仰の対象とされてきている。
SNSによる情報共有もあって、国内はもとより外国人旅行者にも人気が高く、山梨県のデータによると、2019年の富士山登山者は500万人超と、登録前の2012年時より300万人も大幅増となっている。
ところが、登山者急増によって、登山道の混雑、ゴミの投棄、車の排気ガス、トイレ整備、無謀な登山者等の問題が深刻化してきている。
そこで、山梨県は今年初め、7月1日の山開き以降入山料2千円(12.4ドル)を徴収するだけでなく、1日当たりの入山者を4千人に制限する旨公表した。
同県の長崎幸太郎知事(55歳、2019年初当選、自民党所属)は同決定を発表するに当たって、“富士登山の総合的な安全対策を強力に推進することで、世界の宝である富士山を後世に引き継いでいきたい”と明言している。
また、同県の和泉正剛知事政策局次長は昨年、『CNN』のインタビューに答えて、“オーバーツーリズム、ゴミ問題、車の排気ガスの増加、無謀なハイカー等、富士山が直面している最大の問題だ”とコメントしていた。
ただ、上記の入山料及び入山者数制限は山梨県側のみの規制で、山梨県程の入山者はないものの同じく富士山登山道を抱える静岡県は、未だ何ら規制していない。
そこで、長崎知事は記者会見で、登山シーズン終了後(編注;静岡県側の山開きは7月10日、閉山は両県同じで9月10日)に静岡県知事と会って、山梨県側の成果等を基に協議する意向であると明かしている。
なお、オーバーツーリズムは日本の各観光地で発生しており、次のような対策が取られている。
● 京都市花街(編注;舞妓や芸妓が舞踊・唄・お座敷遊びなどで客をもてなす街の総称)
・外国人観光客が芸妓・舞妓らの写真を勝手に写したり、声掛け・着物タッチ・つきまとい等の迷惑行為を行う“舞妓パパラッチ”と渾名される輩が出没しているため、地元協議会は看板を掲げて「撮影禁止区域」を指定し、違反者に罰金を科すと通知。
・しかし、実際に罰金が徴収されてないことがSNSで知れ渡ったこともあり抑制効果がないことから、実際に罰金を徴収する方向で対応中。
● 広島県廿日市市(安芸の宮島にある厳島神社)
・人口僅か1,500人弱の同島に年300万人超が訪れ、様々な問題が発生しているため、同島及び同神社の整備・維持に充てる名目で、昨年10月より来訪者に100円(0.62ドル)の「観光税」賦課を決定。
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