米、連邦法で大麻規制緩和へ(2024/05/17)
米国では、州により既に大麻は合法化されているが、連邦法で大麻の分類をリスクの低いカテゴリーに分類するという。大麻業界は急成長しており、規制緩和による減税効果で闇市場は縮小し、大麻関連の研究も容易に行われるようになるとみられている。
5月17日付
『AP通信』:「司法省、正式に大麻を危険性の低い薬物に分類へ」:
司法省は16日、正式に大麻を危険性の少ない区分に変更すると発表、米国の麻薬政策史上、画期的な変更となる。
医療目的での使用を想定し、他の危険薬物より常習性が少ないものと認識するが、大麻を娯楽目的で使用できるようにするものではない。
麻薬取締局(DEA)は今後調整に入るが、承認されれば、現在のヘロインやLSDと同じ「スケジュール1」から、ケタミン(全身麻酔薬)や筋肉増強剤(アナボリックステロイド)と同等の「スケジュール3」へ変更となる。...
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5月17日付
『AP通信』:「司法省、正式に大麻を危険性の低い薬物に分類へ」:
司法省は16日、正式に大麻を危険性の少ない区分に変更すると発表、米国の麻薬政策史上、画期的な変更となる。
医療目的での使用を想定し、他の危険薬物より常習性が少ないものと認識するが、大麻を娯楽目的で使用できるようにするものではない。
麻薬取締局(DEA)は今後調整に入るが、承認されれば、現在のヘロインやLSDと同じ「スケジュール1」から、ケタミン(全身麻酔薬)や筋肉増強剤(アナボリックステロイド)と同等の「スケジュール3」へ変更となる。「スケジュール3」も規制対象物質であり、許可なく保持することは犯罪となる。
2022年、バイデン大統領の求めで薬物区分を調査した保健福祉省が麻薬取締局に変更を勧告。バイデン氏は、大麻所持で有罪となった人々を恩赦し、州知事や指導者に恩赦を促していた。選挙年のこの発表で、バイデン氏には特に若い世代の支持が集まるとみられている。
元政府薬物管理政策顧問のケビン・サベット博士は、「我々が主張してきたように、大麻をスケジュール3へ移行すべき十分なデータはない。科学ではなく政策により、このプロセスを行うのは理想的でない」と批判している。
連邦麻薬政策は近年、各州の政策と比べ遅れており、38の州では既に医療目的の大麻は合法化され、24の州では娯楽目的での使用も合法化されている。このような状況から、大麻業界は急成長今や300万ドル市場といわれている。連邦法の緩和により、大麻業界内での減税効果は7割超といわれている。
また、「スケジュール1」区分の薬物では、臨床試験の許可取得が非常に難しいことから、規制緩和により大麻の研究も容易に行われるようになるとみられている。
同日付米『NBCニュース』:「大麻区分変更へ大きな動き:司法省」:
司法省が16日、大麻に関する大きな改革を発表。大麻をフェンタニルや覚醒剤などの危険薬物同等の分類から、より低リスクの薬物に分類する。すべての手続きには数ヶ月から1年程かかるとされる。
バイデン大統領は、Xの公式アカウントに投稿した動画で、「これは画期的で、長らく続いた不平等を変える重要な動きだ。実に多くの人々が誤った大麻政策で影響をうけてきた。大麻の使用や所持だけで拘束されるべきでない」と述べている。
同氏が薬物の件で発言するのは就任以来3回目となる。2回目は今年の一般教書演説で、「誰もが大麻の所持や使用を理由に投獄されるべきではない」と言及していた。カマラ副大統領も16日、このプロセスを賞賛する動画を公開している。
340億ドルの大麻市場にとって司法省の決定は朗報で、麻薬合法州での法人税負担が減ることとなる。IRS(内国歳入庁)税法 のセクション280により、大麻関連企業には通常企業の法人税控除が認められていなかった。
闇市場もこの影響で縮小するとみられる。ニューヨークやカリフォルニア等の州では、麻薬が合法化されていながらも、規制が厳しく税が高額な合法市場のもとで、闇市場も存在を続けていた。
民主党は大麻を規制物質法(CSA)から完全に撤廃しようとしており、州に独自の大麻法を制定する権限を託し、「麻薬戦争」による影響から救おうとしている。今月、チャック・シューマー上院内総務は、「議会は連邦政府による大麻禁止をやめ、麻薬戦争による弊害に立ち向かおう」と述べていた。
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世界の再生エネルギーが30%を超える(2024/05/09)
2023年は世界の再生可能エネルギーによる発電割合が初めて30%を超えたという。2024年もこの傾向が継続する一方、化石燃料は減少し、2000年以降初めて世界の発電総量の60%未満になると予測されている。
5月9日付米
『AP通信』:「再エネ由来拡大、世界の総発電の30%に達する」:
英国のシンクタンク「エンバー」が8日に発表した報告書によると、地球温暖化の要因となるCO2やメタン等の汚染物質を排出しない再生エネルギーによる電力が2023年記録を更新、太陽光や風力の数量増加に伴い、初めて世界の発電の30%がクリーンエネルギー源を占めた。
昨年のクリーンエネルギーの種類は、水力発電が最も多いが、インド、中国、北米、メキシコでは干ばつにより水力発電による発電量が過去5年で最低となった。...
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5月9日付米
『AP通信』:「再エネ由来拡大、世界の総発電の30%に達する」:
英国のシンクタンク「エンバー」が8日に発表した報告書によると、地球温暖化の要因となるCO2やメタン等の汚染物質を排出しない再生エネルギーによる電力が2023年記録を更新、太陽光や風力の数量増加に伴い、初めて世界の発電の30%がクリーンエネルギー源を占めた。
昨年のクリーンエネルギーの種類は、水力発電が最も多いが、インド、中国、北米、メキシコでは干ばつにより水力発電による発電量が過去5年で最低となった。気候変動が干ばつ悪化の原因となっていると指摘される。
昨年世界の電力使用量は過去最高で約2%上昇、これは1年間にカナダで使用される電力量に匹敵する。電力需要が増加した背景としては、建物を温めたり冷却したりするヒートポンプや電気自動車の需要増、また、水から水素を取り出す技術として電解槽システムの普及が要因とみられる。他にも、データセンターへの送電利用や、世界的な気温上昇でエアコンが普及したことが要因と考えらている。
昨年最も多かったクリーンエネルギーは太陽光発電で、これは19年連続最も普及している方式であり、2024年は更に普及が進むとみられている。
中国は昨年、最も再生エネルギーを増やし、世界の新規の太陽光発電の51%、風力発電の60%を占めていた。中国、EU、米国、ブラジルは合わけて昨年の太陽光発電の81%を担っている。しかし、世界の石炭発電の55%は中国で、中国国内の総発電量の60%が石炭由来となっている。
国際エネルギー機関(IEA)は、石炭が化石燃料の中でも最も炭素を排出するとしており、気候変動対策として化石燃料による排出量は早急に減少させることが求められているが、中国、インド、ベトナム、メキシコでの排出量は増加傾向にある。
報告書によると、干ばつで貯水池が枯渇した場合、水力発電の代わりに、石炭を使う国もある。これは気候変動により、そもそも気候変動の原因となる物質の使用を促進するという悪循環の一例である。
クリーンエネルギーが拡大する一方、昨年は、化石燃料が未だに世界の発電の大部分を占める。専門家は、今、すべての温室効果ガスを削減しても、既に大気中に存在する汚染物質の量により、地球は何年も温暖化を続けるとしている。
2024年の電力使用は更に増えると分析されているが、再生エネルギー発電も同時に進むと予測され、そのため化石燃料による電力量は2%ダウンするとみられている。
同日付『ロイター通信』:「世界の総発電量、2023年に再生エネルギーが30%を記録」:
2023年世界の再生エネルギー発電量は、太陽光や風力発電の増加で、世界の発電総量の30%を記録。
昨年ドバイで開かれたCOP28気候変動サミットでは2030年までに再生エネを三倍とする目標で合意された。
エンバーによる年次「グローバル電力レビュー」によると、再生エネルギーは昨年、前年の29.4%から30.3%に上昇。昨年の世界の太陽光発電と風力発電の新規設置の半分以上は中国で、世界の太陽光発電は23.2%、風力発電は9.8%上昇した。
報告書では、2024年も再生エネルギーの成長が継続する一方、化石燃料は2%減少し、2000年以降初めて世界の発電総量の60%未満となると予測されている。
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