福島原発処理水放出;中国は依然根拠もなく危険とアピールするもIAEAが再び安全とお墨付き【米メディア】(2024/03/13)
中国外交部(省に相当)は3月12日、福島原発から放出されている処理水について、科学的根拠も示さないまま、ただ“安全性に問題ある”と喧伝した。しかし、国際原子力機関(IAEA、注後記)はその翌日、科学的データを示した上で改めて“安全”である旨表明している。
3月13日付
『AP通信』等は、IAEAが改めて福島原発から放出されている処理水が環境に対して安全である旨表明したと報じている。
IAEAのラファエル・グロシ事務局長(63歳、2019年就任、アルゼンチン元外交官)は3月13日、福島原発から海洋放出されている処理水について、同機関が独自に分析した科学的データを示した上で、“環境上全く問題なく”行われていると表明した。
同事務局長が、前日に来日して翌日にすぐ福島を訪れ、現地の漁業・観光業関係者との面談の際に発言したものである。...
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3月13日付
『AP通信』等は、IAEAが改めて福島原発から放出されている処理水が環境に対して安全である旨表明したと報じている。
IAEAのラファエル・グロシ事務局長(63歳、2019年就任、アルゼンチン元外交官)は3月13日、福島原発から海洋放出されている処理水について、同機関が独自に分析した科学的データを示した上で、“環境上全く問題なく”行われていると表明した。
同事務局長が、前日に来日して翌日にすぐ福島を訪れ、現地の漁業・観光業関係者との面談の際に発言したものである。
同事務局長は昨年7月以来の来日であるが、東京電力が8月24日に当該処理水を海洋放出し始めて以降初めての訪問である。
同事務局長の発言骨子は以下のとおり。
・IAEAは、福島原発近隣に自前の研究室を保持しており、同処理水放出プロセスを独自に監視。
・昨年7月に公表した報告書によって、海洋放出される処理水は国際安全基準を満たしていると結論付けているが、8月末以降に実際に放出された処理水に関わる科学的分析データによっても、同処理水が地域の環境、水、魚、及び堆積物に対して如何なる影響も及ぼしていないことは明らか。
・従って、同地域の生産物について闇雲に危険だとして輸入や買い付け制限を加えることは、科学的根拠がないことは明白。
・今回の処理水放出は、数十年に及ぶプロセスの初期段階であるが、今後とも透明性、科学的な正確性、広く開かれた真摯な対話と協議継続が重要。
・(地域住民とも面談し)今後も住民の懸念やニーズを傾聴。
なお、中国による日本産水産物の全面禁輸措置は、主に北海道のホタテ貝柱輸出業者に打撃を与えている。
これに対抗すべく、日本政府は、水産事業者への補償金、他の輸出先探しのための支援策等のため、1,000億円(6億8,000万ドル)以上の基金を計上している。
(注)IAEA:国連保護下にある自治機関(専門機関ではない)、1957年設立。原子力と放射線医学を含む核技術の平和的利用の促進、及び原子力の軍事利用(核兵器開発)の防止が目的。
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豪州、日本に続きASEAN交流50周年記念サミットを主催して南シナ海の平和と安定を宣言【米メディア】(2024/03/08)
既報どおり、日本は昨年12月半ば、東南アジア諸国連合(ASEAN、1967年設立)交流50周年記念サミットを主催した。そしてこの程、豪州もASEAN交流50周年記念サミットを主催し、中国対峙を念頭にした上で、南シナ海の平和と安定を守るとの共同宣言を採択している。
3月7日付
『ボイス・オブ・アメリカ』、
『ザ・ディプロマット』等は、豪州がASEAN交流50周年記念サミットを主催した旨詳報している。
豪州政府は3月4~6日、メルボルンにおいてASEAN交流50周年記念サミットを主催した。
ホスト役のアンソニー・アルバニージー首相(61歳、労働党々首、2022年就任)は、9年振りに政権に返り咲き、前保守党政権よりも中国への歩み寄りに政策修正してきている。...
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3月7日付
『ボイス・オブ・アメリカ』、
『ザ・ディプロマット』等は、豪州がASEAN交流50周年記念サミットを主催した旨詳報している。
豪州政府は3月4~6日、メルボルンにおいてASEAN交流50周年記念サミットを主催した。
ホスト役のアンソニー・アルバニージー首相(61歳、労働党々首、2022年就任)は、9年振りに政権に返り咲き、前保守党政権よりも中国への歩み寄りに政策修正してきている。
しかし、こと安全保障分野では前政権の政策を継承して、米・英国との三国間軍事同盟(AUKUS、2021年成立)、また、インド太平洋地域での日・米・インドとの連携強化を図っている。
そうした中で開催された豪州・ASEANサミットであるが、ASEANの2024年議長国のラオスとともに、“国連海洋法条約(注後記)を含む国際法に従って、「武力による威嚇や行使に訴えることなく」法的・外交的プロセスを通じて南シナ海紛争を平和的に解決することを求める”旨の共同宣言を採択した。
更に、“我々は、すべての国に対し、地域の平和、安全、安定を危険に曝す如何なる一方的な行動も行わないよう求める”とも言及している。
但し、共同宣言内に「中国」と具体的に言及されることは為されておらず、紛争に関する過去のASEANの声明とほぼ一致している。
『AP通信』報道によると、豪州とフィリピンが、南シナ海における中国の広大な領有権主張を無効とした2016年の仲裁裁定を引用して、宣言に言及するよう求めていたが、ASEANの慣例となっているように、最終文書において、同判決はもとより中国を名指しで言及もしていない。
何故なら、南シナ海で中国と領有権争いを展開している一部のASEAN加盟国でさえ、中国との実りある経済関係を危険に曝すことを望まないという事実が背景にあるからである。
(注)国連海洋法条約:正式名称は、海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)。海洋法に関する包括的・一般的な秩序の確立を目指して1982年4月30日に第3次国連海洋法会議にて採択され、同年12月10日に署名開放、1994年11月16日に発効。国際海洋法において、最も普遍的・包括的な条約であり、基本条約であるため、別名「海の憲法」とも呼ばれる。
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