米ホワイトハウスは、オバマ大統領夫妻が3月半ば、米大統領として88年振りにキューバを訪問すると発表した。2014年12月、電撃的に国交正常化交渉を発表してから7ヵ月後、半世紀ぶりに両国間の国交が回復している。そして、オバマ政権としては、任期切れ前に同政権のレガシー(遺産)としての成果を強調するための訪問としようとしていると各国メディアが伝えている。
2月19日付米
『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』紙(
『マイアミ・ヘラルド』紙記事引用)の、「オバマ氏(第44代大統領)、近々キューバ訪問と発表」と題した報道記事:
「・オバマ大統領は2月18日朝、自身のツイッターで、キューバの人権問題などの改善につき討議するため、近々キューバを訪問すると表明。
・国家安全保障担当のロウズ副顧問は、同大統領夫妻が3月21、22日にキューバを訪問すると正式に発表。
・その後2日間アルゼンチンを訪問し、昨年12月に選出されたマクリ大統領と会談予定。
・しかし、米大統領選の野党共和党候補は一斉に非難。
・クルーズ候補(テキサス州選出上院議員、父親がキューバ移民)は、カストロ一派が政権を執っている限り、現職大統領はキューバを訪問すべきではないとし、ルビオ候補(フロリダ州上院議員、キューバ移民の子孫)は、反米共産主義者の独裁者への表敬訪問を意味するとし、ブッシュ候補(前フロリダ知事)は、カストロ政権を正当化するという悲劇を演出するものと非難。
・現職大統領のキューバ訪問は、1928年クーリッジ第30代大統領の訪問以来88年振り。」
同日付英
『インディペンデント』紙の、「オバマ氏、米大統領としてほぼ90年振りにキューバ訪問」と題した報道記事:
「・ホワイトハウスは、オバマ大統領のキューバ訪問は、3月に予定されていた南米歴訪のひとつと説明。
・同大統領は、カストロ議長と会って、人権問題改善等につき協議するとし、また、米国が科している経済制裁の解除によって、キューバの民主化が更に進むと信じると表明。
・ワシントン訪問中のキューバ海外貿易・投資省のマルミエルカ大臣は、米大統領の訪問は吉報で、キューバは大歓迎とコメント。
・両国は2月16日、毎日110便の直行便の運航につき合意。
・まだ米国人の一般旅行客の訪問は認められていないが、それでも昨年のキューバ訪問者は16万人と、一昨年の5割増し。」
同日付ロシア
『スプートニク』国際ニュースの、「オバマ大統領のキューバ訪問は、両国信頼関係強化のワンステップ」と題した報道記事:
「・拡大ワシントン・ヒスパニック(スペイン系)商工会議所のフランコ専務理事は2月18日、オバマ大統領の訪問によって、両国間の信頼関係が更に増強されるとコメント。」
同日付キューバ
『ハイチ・サン』紙の、「オバマ大統領のキューバ訪問に非難轟々」と題した報道記事:
「・米下院外交委員会のロイス委員長は、未だ国民を虐げているキューバ共産主義政権に対して、オバマ政権の一方的な妥協政策は看過できないと非難。
・人権監視団の2015年報告によると、キューバ政権は一部の政治犯を釈放したりしているが、現実には、両国国交回復交渉後の1年間で、政権に反抗した等の理由で拘束された人数は、それまでの2,900人から7,188人に急増。」
また、同日付中国
『新華社通信』の、「オバマ大統領、外交レガシー作りでキューバ訪問」と題した報道記事:
「・キューバ外務省のバイダル米国担当局長は2月18日の記者会見で、オバマ大統領のキューバ訪問は両国間の信頼関係増強に資するとして心から歓迎。
・但し、国交の正常化には、米国による経済制裁の解除と、米国が不法に占拠しているグアンタナモ海軍基地の返還が必須と表明。」
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7月27日付「2022年冬季オリンピック開催候補都市に人権団体が猛抗議」の中で、“国際サッカー連盟(FIFA)の金まみれのスキャンダルが発覚したばかりであるが、かつて国際オリンピック委員会(IOC)理事の中にも不正に手を染めた輩がいたことは事実である。従って、露骨な票買収はさすがにないかも知れないが、提携パートナー(大手スポンサー)に巨大なビジネスチャンスをもたらすであろう、強大な市場規模と成長潜在力を有する北京に与みすることは十分考えられる”と報じた。そうした中、IOC総会の決選投票で、僅差で北京が開催都市に選ばれたが、アルマティ(カザフスタン)の善戦を米メディアが一斉に伝えている。
7月31日付
『NBCニュース』は、「クアラルンプール(マレーシア)で開かれたIOC総会において7月31日、44票対40票という僅差で、北京が2022年冬季オリンピック開催都市に選出された。北京は、降雪量の不足や競技場が100マイル(約160キロメーター)余りに分散している欠点が挙げられていたが、政府主導でこれらの問題を改善する姿勢が評価された。」と報じた。
同日付
『マイアミ・ヘラルド』紙(
『AP通信』記事引用)は、「北京の主要なアピールは、2008年夏季大会の9の施設のうち、6つが再利用できるため、総費用が30億ドル(約3,720億円)に抑えられ、経費節減という最新のオリンピック憲章に沿っていることである。因みに、2008年夏季大会の総費用は400億ドル(当時のレートで約4兆1,200億円)であった。更に、一部の競技場が北京市内より140キロメーターも離れていることについては、50分で移動可能な高速鉄道建設によって問題が解決されるとしている。」と伝えた。
一方、同日付
『ニューズウィーク』は、「人権擁護団体代表は、北京では2008年夏季大会以降人権問題が更に深刻で、最近では穏健派の活動家まで拘束されており、IOCの今回の選択は、人権問題を軽視するものだと非難した。」と報じた。
更に、同日付
『USAトゥデイ』紙(
『AP通信』記事引用)は、「人権団体の国際チベット・ネットワークは、中国政府は2008年夏季大会前にチベット族への弾圧を強め、それ以降現在に至っても、状況は益々悪化しているにも拘らず、IOCが北京をオリンピック開催都市に選んだということは、世界に間違ったメッセージを送ることになると強く非難した。中国側は、チベットは中国の一部だと主張するが、チベット族の言い分は、1950年に中国が勝手に侵入して来て、一方的に統治し始めたという。」とし、「その他多くの人権団体が今回のIOCの決定に抗議している。なお、国境なきジャーナリストが査定した2015年人権擁護ランキングで、中国は対象180ヵ国のうち176位となっている。」と伝えた。
既報どおり、札幌が2026年冬季大会招致を画策しているが、2018年平昌(ピョンチャン)、2020年東京に続いて、3大会連続で東アジアにおいてオリンピックが開催されることになり、かなり厳しい状況になったと言える。更に、今回の選定結果をみるまでもなく、オリンピック開催には政治的、財政的バックアップが不可欠であるが、2026年大会候補地を決めるIOC総会が開かれる2019年は、2020年東京大会の前年に当り、政府もまた日本オリンピック委員会も、その準備にてんてこ舞いであろうから、札幌に対してどれだけ支援ができるか疑問と言わざるを得ない。
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