欧州で新たに発表された研究によると、新型コロナウィルスに感染した男性の死亡率が女性よりも高いのは、心臓、精巣、肺に多く存在する酵素が、女性より男性の血液中に多いため、細胞がウィルスに感染しやすくなるためだと考えられるという。
5月11日付米国
『NYポスト』は「男性の血液中により多くのコロナ増殖酵素か」との見出しで以下のように報道している。
新型コロナウィルスで女性より男性がより重症化する理由が研究により解明されるかも知れない。新型コロナに感染した男性は、女性より2倍死亡率が高いとする専門家もいる。月曜「European Heart Journal」に発表された新たな研究によると、その原因の一つが、男性の血液中に含まれるある酵素が女性より多いため、ウィルスが細胞に感染されやすくなるという。それは新型コロナウィルスと結合し、正常な細胞に感染させる受容体であるACE2(アンジオテンシン変換酵素2)でそのバイオマーカー(生体指標)値が男性の方が高いという。
一般的に肺のACE2値は高く、そのため、コロナ関連の肺疾患の進行で重要な要因となると考えられるという。また、ACE2は精巣でも高く、これまでの研究とあわせ、男性患者がウィルスにかかりやすいとしている。11か国3700人の心臓病患者のACE2の血中濃度のサンプルを調査したところ、心臓病歴や心臓治療歴ではACE2濃度は上がらなかったが、男性であることによる濃度上昇は見られたという。
同日付米国『マイアミ・ヘラルド』は「それは血液中にあった。新型コロナで男性の死亡が多い理由を示す研究」との見出しで以下のように報道している。
新型コロナ感染が起きて以来、調査では病院での男性の死亡率が女性より高い傾向が見られていた。今回新たな調査研究によると、コロナ関連死で性差が見られる背景には、ウィルスを肺に付きやすくし、病原菌の活動を高める酵素「ACE 2」(アンジオテンシン変換酵素2)が関係しているという。ACE2は、消化や代謝を助ける機能がある一方、新型コロナでは、ウィルスが人間の細胞に侵入する媒介となってしまう。この酵素は、心臓、精巣、肺に多く存在するという。
この酵素は循環器疾患のある高齢者の危険を高めると考えられたため、パンデミック以前に、欧州11か国の研究者らは、心臓疾患のある高齢者のACE2濃度を検査しようとした。60歳以上の男性1,485人、女性537人を調査した結果、ACE2が男性に多いことを突き止めた。
コロナまたはコロナ関連病で、感染率は男女とも変わりがないが、いくつかの調査によると、男性は、およそ50%死亡率が高くなっている。
また、4月にランセットが発表した論文によると、男性は女性より、2.5倍重症化しやすいという。これは喫煙率が高いとか、女性より衛生管理が行き届いていない等の社会的行動の差異、または、免疫システムに影響する性ホルモンによるものとも考えられている。
現在、男性に女性ホルモンを投与した場合の効果に関し、2つの臨床試験が行われている。女性ホルモンは妊娠のため、感染症への効果が一定量あるとされるが、これに否定的な専門家もいる。閉経後ホルモン値の下がった高齢女性でも、同年代の男性より生存率が高かったため、女性ホルモンが抗ウィルス作用と関連性がないことが示されている。
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5月3日付
『AP通信』他:「5月3日に何があった?」
●1803年
・ワシントンDC(コロンビア特別区)が、1801年制定の「コロンビア特別区基本法」に則って連邦議会の排他的支配下に置かれた後、この日を以て市に昇格。
●1913年
・クロロックス(カリフォルニア州家庭消費財生産・販売企業)創業となる、5人の起業家による液体漂白剤生産工場が同州オークランドで立ち上げ。
●1916年
・復活祭蜂起(注1後記)を企てたとして逮捕された16人のアイルランド共和国主義者のうち、首謀者であったパトリック・ピアース(1879~1916年、教師・民族主義者、現在でもアイルランドの英雄)、トマス・クラーク(1858~1916年、共和制主義者)、トマス・マクドナー(1878~1916年、詩人・脚本家・政治運動家)が、英国軍によって銃殺刑。
●1937年
・小説家マーガレット・ミッチェル(1900~1949年)が「風と共に去りぬ」でピューリッツアー賞(注2後記)受賞。
●1948年
・米連邦最高裁が、黒人やその他非白人グループへの不動産販売を禁止する契約は法的強制力がないと判決。
●1978年
・マサチューセッツ州のコンピューター企業ディジタル・イクィップメント(1957年設立、現在はヒューレット・パッカード傘下)のゲリー・スァーク市場開拓責任者によって世界初のスパム電子メール(注3後記)誕生。アーパネット(インターネットの起源となる世界初のパケット通信コンピューターネットワーク)上で展開するも、個人・法人から賛否両論。
●1979年
・英国保守党のマーガレット・サッチャー党首(1925~2013年)が、同国初の女性首相に就任。
●1984年
・テキサス州立大学オースティン校の学生マイケル・デル(55歳)が、デル・コンピューター社を創業。
●1987年
・『マイアミ・ヘラルド』紙が、1988年大統領選民主党候補のゲリィ・ハート上院議員(83歳)の、女子学生ドナ・ライス(62歳、現NPO法人代表)との不倫スキャンダルを報道。これにより、同上院議員は選挙戦から撤退。
●1999年
・米中南部オクラホマ、カンザス州を襲った70もの竜巻(5月6日までの4日間)で、46人が犠牲、負傷者も数百人という災害発生。
●2006年
・2001年発生の9/11同時多発テロ事件に関わったとして逮捕された、イスラム過激派テロ組織アルカイーダ所属のフランス人ザカリアス・モーソーリ被告に対し、連邦地裁は検察側の死刑求刑を退け、仮釈放なしの終身刑とする裁定。同被告は法廷を去る際、“米国の負け”と嘲る発言。
●2007年
・英国の少女マデリン・マクカーン(3歳)が家族旅行で訪れたポルトガルで失踪。未だ行方不明。
●2009年
・メキシコのフェリペ・カルデロン大統領(57歳、2006~2012年執務の第56代大統領)が、豚インフルエンザ感染拡大防止のため全国での都市封鎖を宣言。
●2010年
・石油大手BPが、同年4月30日にメキシコ湾で発生した原油掘削リグ倒壊による大量原油流失事故に関し、“合理的かつ証明可能な”全ての損害賠償に応じると発表。
・同年5月1日にニューヨーク・マンハッタン島のタイムズスクエアで発生した自動車爆弾事件の実行犯、パキスタン系米国人のファイサル・シャーザド(40歳)が、ドバイ逃亡を図ってJ.F.ケネディ国際空港に現れたところで逮捕。後に、仮釈放なしの終身刑。
・イランのマフムード・アフマディネジャド大統領(63歳、2005~2013年執務の第6代大統領)とヒラリー・クリントン国務長官(72歳、2009~2013年執務の第67代国務長官)が国連総会で、核兵器をめぐってけんか腰の討論展開。
・2008年11月にムンバイ(インド)で4日間にわたり発生したテロ事件(合計166人犠牲)実行者の一人として逮捕された、パキスタン人モハメッド・アジマル・カサブ被告(1987~2012年)に対して、インド地裁が死刑判決。2012年に絞首刑。
●2015年
・イタリア空軍パイロットのサマンサ・クリストフォレッティ宇宙飛行士(43歳)が、国際宇宙ステーションの中で初めて、火を使うエスプレッソ・マシンを操作してエスプレッソを満喫。
●2019年
・2016年米大統領選へのロシア不当介入について捜査していたロバート・マラー特別検察官(75歳、元FBI長官)が、ウィリアム・バー司法長官(69歳)宛に捜査報告書を3月22日に提出。同長官が、“トランプ政権の共同謀議があったとは認められていない”とコメントしていたが、同報告書が明らかになって後初めて、ドナルド・トランプ大統領(73歳)とウラジーミル・プーチン大統領(67歳)がこの日に電話会談し、改めて“ロシア介入疑惑”を否定。
・ジャクソンビル(フロリダ州)でチャーター機が滑走路オーバーラン事故。荷物室の犬1匹、猫2匹が犠牲になった他は、143人の乗員・乗客に一人の重傷者も出ず。
(注1)復活祭蜂起:1916年の復活祭(イースター)週間にアイルランドで起きた武装蜂起。この蜂起は、英国の支配を終わらせ、アイルランド共和国を樹立する目的でアイルランド共和主義者たちが引き起こしたもの。
(注2)ピューリッツァー賞:米国における新聞、雑誌、オンライン上の報道、文学、作曲の功績に対して授与される賞。新聞出版業で財を成したハンガリー生まれの米国人、ジョーゼフ・ピューリツァーの遺志に基づいて1917年に創設され、現在はニューヨーク市のコロンビア大学により運営されている。
(注3)スパム電子メール:受信者の意向を無視して無差別かつ大量に一括してばらまかれる各種ネットメディアにおけるメッセージのこと。その内容が迷惑であろうが、仮に有用であろうが、内容は問われない。
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