米政府がEUの駐米大使や代表部の地位を回復、対立が続く中で再び各国大使級に
米政府は4日、欧州連合(EU)の駐米大使や代表部の外交的地位を、従前の各国大使・大使館などの国家級に直ちに戻すと発表した。米国は昨年、事前通告なくEU大使らの地位を国家級から国際機関級に格下げし、貿易交渉などへの不満の表明とも言われていた。
ベルギー・ブリュッセルのEU米代表部が変更の決定を発表する声明を出し、英
『BBC』や
『AFP通信』『AP通信』などのメディアが報じた。マイク・ポンペオ米国務長官が、地位の回復に必要な手続きを取るよう、関係者に指示したという。
米国のゴードン・ソンドランドEU米代表部大使は、在米EU代表部のスタブロス・ランブリニディス新大使を歓迎した際、世界の安全保障と繁栄を確かなものとするために、EUは「米国の最も貴重なパートナーの1つ」であり、地位復活は喜ばしいと語った。...
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ベルギー・ブリュッセルのEU米代表部が変更の決定を発表する声明を出し、英
『BBC』や
『AFP通信』『AP通信』などのメディアが報じた。マイク・ポンペオ米国務長官が、地位の回復に必要な手続きを取るよう、関係者に指示したという。
米国のゴードン・ソンドランドEU米代表部大使は、在米EU代表部のスタブロス・ランブリニディス新大使を歓迎した際、世界の安全保障と繁栄を確かなものとするために、EUは「米国の最も貴重なパートナーの1つ」であり、地位復活は喜ばしいと語った。
EUのマヤ・コジアンチッチ報道官は、米国がEUの外交上の地位の変更を発表した後、米政府と接触し「本件について明らかにしている」として、「我々は米国が通常の慣習に戻る決断をしたことを喜んでいる。」と述べた。
米国が昨年、事前の通告なくEUの駐米大使や代表部の外交上の扱いを変更していたことは、今年初めに判明した。EUはそれまで米国から「各国と同等」の国家級の扱いを受けてきたが、国際機関と同等に格下げされたという。昨年12月、ジョージ・ブッシュ元米大統領の国葬が営まれた際に、EUの駐米大使の名前が参列していた全ての各国大使の後に呼ばれていたことが、独メディア「ドイチェ・ヴェレ」の報道により明らかになった。
今回の米国の決定により、EUの外交上の地位は回復したが、両者の関係が改善したことを反映したものだろうか。貿易関係はなお緊張した状況が続き、英独仏3カ国は、米国が制裁を再発動したイランとの貿易を継続し、同国との核合意を維持するため、ドルを介さず貿易や金融取引を行うための新組織を発足させるなど、関係は依然良好とは言えない。
EUと米国は今週、工業製品に関する貿易交渉を再び行うために会談する。トランプ米大統領は昨年7月、EUが米国の大豆や液化天然ガスの輸入を増やすと約束したことにより、欧州車への追加関税を当面見送った。EUの大豆輸入はそれ以来急増している。しかし、昨年導入された米国の鉄鋼・アルミ製品に対する関税はそのままだ。トランプ氏は、EUは米国の農産品や車の輸入に非常に頑なであり、米製品を購入せず関税をかけていると不満を示し、通商協議が決着しなければ、欧州車に関税を課すと再度圧力をかけた。
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米国がEUの外交的地位を格下げ、事前通知なく一方的に
欧州連合(EU)はこのほど、トランプ米政権がEUの駐米大使や代表部の外交的地位について、事前の通知なく、各国やその大使らと同等の国家級から国際機関級に格下げしていたことを明らかにした。
『CNN』『BBC』など多くのメディアが10日までに伝えたが、EUの当局者によれば、米国の格下げの措置については、ドイツのメディア「ドイチェ・ヴェレ」が、EUのオサリバン駐米大使が昨年、一部の行事に招かれなかったとして最初に報じていた。また、同大使が昨年12月、ジョージ・ブッシュ(父)元大統領の葬儀に参列した際、自分より駐在期間が短い大使も含め、全ての各国大使の後に名前を呼ばれていたという。
EU側を驚かせたのは、外交的処遇に変化がある際には、事前通知をすべきであるが、今回米国側にそうした動きが全くなかったことだ。...
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『CNN』『BBC』など多くのメディアが10日までに伝えたが、EUの当局者によれば、米国の格下げの措置については、ドイツのメディア「ドイチェ・ヴェレ」が、EUのオサリバン駐米大使が昨年、一部の行事に招かれなかったとして最初に報じていた。また、同大使が昨年12月、ジョージ・ブッシュ(父)元大統領の葬儀に参列した際、自分より駐在期間が短い大使も含め、全ての各国大使の後に名前を呼ばれていたという。
EU側を驚かせたのは、外交的処遇に変化がある際には、事前通知をすべきであるが、今回米国側にそうした動きが全くなかったことだ。EUのマヤ・コジアンチッチ報道官は、通知なく格下げがなされたことを認めた上で、米国の関係当局に対して説明を求めたと述べたが、EUと米国は引き続き良きパートナーであると強調し、詳細の説明は避けた。
外交的な処遇が格下げされると、主要な行事などに招かれる機会がなくなり、大使や外交団としての仕事が一部果たせなくなるなどの影響がある。EUは2011年に米国に代表部を設置し、オバマ政権に対し長期のロビー活動を行った結果、2016年にオサリバン大使が各国大使と同等の処遇を受ける外交的地位を得たという経緯がある。
米国務省は、格下げの決定の時期、理由や決定を下した人物、そしてなぜEU側に口頭ないし文書で事前通知をしなかったのかなどに関し、一切コメントしていない。EU側には不快感を強め、政治的な動機に基づくものとして批判する声も出ている。
トランプ政権の発足以来、安全保障、貿易関係、イランの核合意、気候変動に係わるパリ協定への支持など数多くの問題をめぐり、米国とEUとの関係は悪化している。さらに、トランプ大統領や政権の高官らはEUをたびたび批判し、英国のEUからの離脱を強く支持している他、EUの存在価値自体についても、公然と疑問視する発言さえしている。
こうしたホワイトハウスとEUとの緊張関係の中で、そしてトランプ政権の発足以来2年が経過した現時点で本措置が取られたことについて、各国の外交官らは懲罰的な動きであると批判している。「明らかに政治的であり、率直に言ってアマチュアだ。プロのやることではない。」とあるEU以外の国の外交官は述べた。
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