ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まって間もない頃、欧米情報機関の諜報活動を基に、ウラジーミル・プーチン大統領(70歳、2000年就任)が腸のガンに罹患しているとのニュースが流れた。ロシア政府は真っ向から否定し、同大統領自身、強気の姿勢を全く崩していなかったことから、その後大きく取り上げられることはなかった。しかし、直近の同大統領のビデオ映像から、ガン治療進行の痕が認められるとして、無謀なウクライナ攻撃が続く理由になっていると憶測されている。
10月22日付
『NBCニュース』は、「ウラジーミル・プーチン、点滴静脈注射痕から“ガン治療が進行中”」と題して、かつてガンに罹患しているとの噂が流れたウラジーミル・プーチン大統領が、実際ガン治療を受けている痕跡が覗えると報じている。
ウラジーミル・プーチン大統領は、彼の両手に点滴静脈注射の痕が認められることから、“ガン治療が進行中”とみられる。
同大統領は2月下旬、血気盛んに隣国のウクライナに軍事侵攻を始めた。...
全部読む
10月22日付
『NBCニュース』は、「ウラジーミル・プーチン、点滴静脈注射痕から“ガン治療が進行中”」と題して、かつてガンに罹患しているとの噂が流れたウラジーミル・プーチン大統領が、実際ガン治療を受けている痕跡が覗えると報じている。
ウラジーミル・プーチン大統領は、彼の両手に点滴静脈注射の痕が認められることから、“ガン治療が進行中”とみられる。
同大統領は2月下旬、血気盛んに隣国のウクライナに軍事侵攻を始めた。
しかし、ウクライナの『キーウ・ポスト』紙(1995年創刊の英字紙)ジェイソン・ジェイ・スマート特派員(43歳)の報告によると、直近で放映されたテレビ画像から、同大統領の両手にガン化学療法で行われる静脈注射痕が認められるため、ガン治療を受けていると思われるという。
同特派員によると、“ロシア政府が直近で流した同大統領のニュース映像より、彼の両手にガン治療に伴う静脈注射痕がはっきりと見て取れる”という。
久し振りに公に登場した同大統領は10月22日、狙撃銃を扱っていた姿がロシア政府系メディアによって報じられたが、その後すぐさまメディア媒体から映像が消去されてしまっている。
しかし、ウクライナ人のトム・ワーナー元特派員によると、“このビデオが投稿された『テレグラム(2013年運営開始のロシアのインスタントメッセージ・アプリ)』の5種類の映像を全てダウンロードして保有しているが、大統領の手の甲が異様に膨らんでいることが鮮明に映し出されている”という。
同大統領については以前から、悪性腫瘍に悩まされていて、しばしば“胃痛に耐えていた”との噂が飛び交っていた。
ロシア対外情報庁(1991年設立)の元職員が運営しているとされる『テレグラム』の「ジェネラルSVRチャンネル」では、“プーチンが腹腔の痛みをずっと訴えていて、中々治まらないので、会議の際にしばしば前屈みになっていた”と記されている。
更に、“プーチンの腫瘍は肥大化していっていて、直近の治療でも痛みが引くことはない”とした上で、“従って、ロシア大統領が肉体的にも精神衛生上も嘆かわしい状態であることから、それによって多くの重大な決断に影響を及ぼしている”とまで言及されている。
閉じる
今年3月中旬、ロシア国営テレビの生放送中に反戦を訴えたロシア人ジャーナリストが、虚偽情報を広めた容疑で自宅軟禁下に置かれていた。しかし、この程当局の追跡を逃れて、安全の場所から無実を訴える動画メッセージを公開している。
10月5日付
『ロイター通信』は、「自宅軟禁下にあったロシア人ジャーナリスト、無実を訴え」と題して、今年3月にロシアによるウクライナ軍事侵攻を非難するメッセージを国営テレビの生放送中に流したロシア人ジャーナリストは、当局によって自宅軟禁下に置かれていたが、この程安全な場所に逃避した上で、無実を訴える動画を公開したと報じている。
ロシア国営テレビのジャーナリストだったマリーナ・オフシャンニコワ氏(44歳)は10月5日、ロシアによるウクライナ軍事侵攻を非難したことで当局から自宅軟禁下に置かれていたが、この程安全な場所に逃れた上で、自分は無実である旨動画メッセージで訴えた。
同氏は、“私は完全に無実であると信じる”とした上で、“ロシア当局が法に則っとり対応することを拒否している以上、私自身も当局の命令に従うつもりはなく、9月30日に自宅軟禁から逃れることとした”と強調している。
同氏は、『テレグラム』(2013年ロシア人技術者が開発したメッセージアプリ)に投稿した動画メッセージで、ロシア連邦刑執行庁(注1後記)に宛てて、ウラジーミル・プーチン大統領(今週末70歳、2000年就任)こそ戦争犯罪者だと訴えた。
同氏は、自身が嵌められていた電磁式くるぶし拘束錠をジェスチャーで示し、“プーチンにこそこれを嵌めさせるべきだ”とも言及した。
同氏の代理人ドミトリー・ザハトフ弁護士は『ロイター通信』のインタビューに答えて、当局は彼女の居場所を特定できていないとしながらも、当局はもし再度彼女を逮捕できたら即刻勾留するとしているとコメントした。
同氏が今年3月に、ロシア国営テレビの生放送中に反戦を訴える行動を取ったことで、ロシア政府は“フーリガン行為(注2後記)”だと非難した。
その上でロシア当局は、ウクライナ軍事侵攻後に新たに制定した「メディア規制法(注3後記)」に準じて、彼女に罰金刑を科した。
しかし、彼女はこれにめげず、国営テレビ局を辞した後、反戦活動家として活動を始め、7月にはクレムリン(ロシア大統領府)のモスクワ川対岸で、一人で反戦デモを行ったが当局によって逮捕され、自宅軟禁下に置かれてしまっていた。
彼女の自宅軟禁期限は10月9日であったが、国営メディア『RT(旧ロシア・トゥデイ)』の10月1日報道によると、彼女は11歳の実娘を連れて自宅を脱出し行方知れずとなっているという。
なお、彼女は裁判所から10月6日の出頭命令を受けていて、審理の結果、最長10年の禁固刑が科せられる恐れがあった。
同日付『ユーロニュース』(1993年開局のテレビ局)は、「生放送で反戦を訴えたジャーナリスト、マリーナ・オフシャンニコワ氏が自宅軟禁から脱出」として、当局の自宅軟禁下から逃れたと報じている。
マリーナ・オフシャンニコワ氏は10月5日、当局による自宅軟禁措置から実娘とともに逃れ、今後当局の審理前拘束命令に従わないと宣言した。
彼女は『フェイスブック』に投稿して、“私は全く無実だと信じているので、当局の自宅軟禁命令には従わない”と訴えた。
彼女は今年7月、クレムリン対岸で、“プーチンは人殺し、ロシア軍はファシスト(独裁者)、ウクライナ戦争で352人もの子供が犠牲”とのプラカードを持って反戦デモを行い、逮捕された上で、審理前2ヵ月間の自宅軟禁命令を受けていた。
なお、彼女が裁判で、「メディア規制法」下での“虚偽情報の流布罪”容疑が認められると、最長15年の禁固刑に処せられる恐れがある。
(注1)ロシア連邦刑執行庁:ロシア連邦司法省が所管する、ロシア連邦における刑務所・拘置所を運営する連邦執行機関で、2004年設立。
(注2)フーリガン行為:サッカーの試合会場の内外で暴力的な言動をする暴徒化した集団をフーリガンと呼び、同等の暴力行為を指す。
(注3)メディア規制法:ロシア軍の行動に関して「明らかな虚偽の情報の流布」や、公の場での「軍事行動の停止の呼びかけや、軍の名誉や信頼を傷つける活動」を禁止する法律で今年3月4日に制定。虚偽の情報を流した場合、最長で禁錮15年。また、外国や国際機関などに呼びかけた場合、最長で禁錮3年。
閉じる