3月28日付米
『ワシントン・ポスト』(AP通信):「ロシア、日本海で対艦ミサイル演習と発表」:
ロシア国防省は28日、ミサイル艇2隻から、100キロ先の仮想標的へのミサイル攻撃演習を行ったと発表。「モスキート」巡航ミサイルは標的に命中したとしている。
NATO(北大西洋条約機構)が「モスキート」と呼ぶミサイルは、SS-N-22(ロシアの対艦ミサイルに付けられた米国防総省報告番号)でNATOコードネームは「Sunburn」(日焼け)。超音速対巡航ミサイルで核弾頭搭載可能。旧ソ連製で、音速の3倍、最大250キロで飛行する。
同省は、演習は日本海の北西部、ロシア沿海南部のピョートル大帝湾で他の戦艦や海軍機を含んで行われたとしたが、詳細には触れていない。ピョートル大帝湾には、フォキノのロシア太平洋艦隊本部があり、北海道からは約700キロに位置する。
ロシア軍はウクライナ侵攻が2年目となる中、兵士の訓練と軍事力の誇示を目的として、沿海での軍事演習を継続している。
日本は、このミサイル演習は両国が接する沿海ではなく、ウラジオストク沿海で行われたことから、磯崎副内閣官房長官が、この地域で「活動を活発化させているロシア軍の動向を注視する」とする等、静観する姿勢となった。
同日付米『CNN』:「ロシアが日本沖の海域で巡航ミサイル発射訓練」:
ロシアの太平洋艦隊は28日早朝、日本海沿海で超音速ミサイルの演習を行った。ロ国防省がSNS「テレグラム」への投稿で明らかにした。
このミサイルは、最大120キロ先の戦艦への攻撃が可能だとされている。ロシアは今月も日本海で演習を行っており、ウクライナ侵攻でも使用されている「カリブル巡航ミサイル」を1000キロ先の標的にむけ発射している。
また先週には、岸田首相がウクライナを訪問した際、同日にロシアの戦略爆撃機2機が日本沿岸を7時間以上飛行する事態が起きている。
岸田氏は昨年、ロシアの侵攻に強く反発し、「今日のウクライナは明日の東アジアだ」と危機感を示していた。先月にはウクライナへの追加支援を宣言した後、「ロシアによるウクライナ侵攻は欧州のみならず、国際秩序を揺るがす暴挙」だと述べていた。
日本とロシアも、数十年に及ぶ領土問題を抱えている。日本は、ロシアの占領地「クリル諸島」(千島列島)の正当な領有権を求めており、紛争は第二次大戦末期に旧ソ連軍が占拠して以来継続している。
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ロシアによるウクライナ軍事侵攻以降、西側陣営による対ロシア制裁のため、日米欧の有名ブランドが次々にロシアから撤収している。しかし、撤退した際に残された大量在庫はもとより、対ロ制裁に加わっていない友好国経由での供給等によって、商品自体は依然ロシア国内で多く取引されていることが判明している。
2月23日付
『ロイター通信』は、「世界トップ・ブランドがロシアから撤退するも、商品自体は依然ロシア国内で流通」と題して、世界トップ・ブランドの商品自体が制裁対象となっていないことから、並行輸入(注後記)や、対ロシア制裁に加わっていない友好国経由で当該有名ブランド商品が、依然と余り変わりなくロシア国内で流通していると報じている。
ウクライナ軍事侵攻に伴う対ロシア制裁の煽りを受けて、欧州・北米・日本企業の世界トップ・ブランドの多くがロシアからの撤退を余儀なくされた。
しかし、それら有名ブランドの商品自体は、依然ロシア国内で流通している。
すなわち、清涼飲料大手のコカ・コーラ(1889年設立、本社米ジョージア州)の商品を積載したトラックがロシア国境で列を作り、世界最大の家具量販のIKEA(1943年設立、本社スウェーデン)の家具はロシアのオンラインショップで容易に手に入っているからである。
何故なら、トップ・ブランドが撤収しても、これらの商品自体は対ロシア制裁の対象となっていないため、並行輸入や、対ロシア制裁に加わっていない“友好国”経由での供給等によって、少々コストが割高となっていても依然ロシア国内で商取引が可能となっているからである。
あるロシア人女性(32歳)は『ロイター通信』のインタビューに答えて、昨夏に空のスーツケースを携行してミンスク(ベラルーシ首都)を訪れ、アパレル世界最大手のインディテックス(1985年設立、本社スペイン)が手掛けるザラ、ベルシュカ、マッシモ・ドゥッティ商品3万3千ルーブル(442ドル、約6万円)分を、自身及び友人用に大量に買い付けて即日帰国したという。
西側諸国の対ロシア制裁を契機に、多くのトップ・ブランドがロシア及びベラルーシから撤退したが、インディテックスはベラルーシから引き上げなかったからである。
彼女によると、パリやドバイ(アラブ首長国連邦首都)でも同様に衣料品を買い付けているだけでなく、オンラインショップも利用しているという。
更に、“複数の女性が、欧州、イスタンブール(トルコ)やドバイに移住して、様々な商品を買い付けて、インスタグラム(米SNS、旧フェイスブック傘下、2010年開始)やテレグラム(ロシア版SNS、2013年開始)上で商取引を行っている”とし、“彼女らは15~30%のコミッションを享受している”とする。
国際宅配業者CDEK(2000年設立、ロシア本拠、200ヵ国以上展開)のダイナラ・イスマイロワ市場担当取締役は『ロイター通信』のインタビューに答えて、電子商取引で発注された商品をトルコからロシアに配送する業務が7倍増となっている、と語った。
同取締役は、“トップ・ブランドがロシア撤退を発表するや否や、当該商品の発注が急増した”と付言した。
同社によると、小口で個人ベースの取引が多くを占めるが、昨年の売り上げが2倍となっていて、そのうち衣料品取り扱いが80%を占めるという。
ロシアでは、供給網が崩壊したことから、トップ・ブランドの正規代理店を経ない並行輸入が合法化されて、多くの小売業者がオンライン取引で受注し、当該ブランド品を様々な手段で輸入するようになっている。
ロシア最大のオンライン取引所のワイルドベリー(2004年設立)では、ザラ・ブランドの商品約1万7千点が取引されているが、インディテックス関係者によると、同社がロシア撤退するときに在庫整理された商品が主であるという。
西側のトップ・ブランドで世界中至る所にある商品のひとつであるコカ・コーラは、ワイルドベリーもその同業者であるオゾン(1998年設立)及びヤンデックス・マーケット(2000年設立)も多く取り扱っている。
コカ・コーラ自体は昨年ロシアでの生産を中止しているが、欧州やカザフスタン、ウズベキスタン、更には中国のラベルが付けられたコカ・コーラが売られている。
同じくオンライン取引所を運営しているパブリカンのラム・ベン・チォン最高経営責任者(CEO)は、“並行輸入が確立され、様々なルートでトップ・ブランド取引が発展し、今後更に全ての商品が取り扱われることになる”としながらも、多くの搬送トラックが国境で数珠繋ぎとなったり、新規事業者がどんどん入っていることが懸念される、とコメントしている。
なお、対ロシア制裁に加わっていない“友好国”で並行輸入等でロシア向け取引を大きく伸ばしているのは、中国、トルコ、カザフスタン等である。
中国は昨年、ロシア向け取引高が12兆8千億人民元(1,860億ドル、約25兆1,100億円)と史上最高となり、トルコは輸出高が93億4千億ドル(約1兆2,610億円)と前年比+61.8%も急増し、また、カザフスタンも87億8千億ドル(約1兆1,850億円)と+25.1%も伸ばしている。
(注)並行輸入:総代理店が独占的に輸入している外国商品を、別の輸入業者や個人が第三国の総代理店から輸入するなどの方法により行う輸入。高い価格の商品を安く輸入するために行われることが多い。
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