日本航空で初の女性社長就任とのニュースが大きく取り上げられる程依然日本は女性登用に後発、と欧米メディア(2024/02/02)
日本航空(1953年設立)が1月中旬、4月1日付で鳥取三津子専務(59歳)の同社初の女性社長に就任すると発表したことが大きく取り上げられた。ただ、欧米メディアは、女性役員登用が少しずつ増えているが、女性管理職はまだ他先進国に比べて後発だと辛らつに報道している(末尾記載データ参照)。なお、厚生労働省が昨年7月、従業員10人以上を抱える全国約6千社にアンケートを行ったところ、回答企業約3千社において、課長級以上の女性管理職比率は12.7%と前年比+0.4%で、2009年の10.2%より+2.5%ではあったが、伸び率は非常に低いことが分かっている。
2月1日付
『ロイター通信』は、日本航空で初の女性社長が就任するように、日本でも漸く女性役員の登用が増えつつあるが、女性管理職に至っては依然後発だと報じている。
日本航空で初の女性社長が就任するとのニュースが大きく取り上げられた。
多くの大手企業も、政府・東京証券取引所(TSE、1949年設立)、更には外国人投資家らからの圧力に遭って、女性役員の登用に努めているが、多くは弁護士・学者・公認会計士等を社外取締役として採用しているに過ぎない。...
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2月1日付
『ロイター通信』は、日本航空で初の女性社長が就任するように、日本でも漸く女性役員の登用が増えつつあるが、女性管理職に至っては依然後発だと報じている。
日本航空で初の女性社長が就任するとのニュースが大きく取り上げられた。
多くの大手企業も、政府・東京証券取引所(TSE、1949年設立)、更には外国人投資家らからの圧力に遭って、女性役員の登用に努めているが、多くは弁護士・学者・公認会計士等を社外取締役として採用しているに過ぎない。
企業統治等のコンサルティング会社プロネッド(2008年設立)がTSE上場全企業を調査したところ、約30%の女性取締役が他社役員を兼務していて、それは男性役員の倍の比率となっている。
同社は、女性管理職を育て上げ役員まで昇格させるという道筋が付けられてこなかったツケだとコメントしている。
すなわち、日本の多くの企業は、採用の段階で“総合職”と“非総合職”に分けてきていて、後者は主に事務職として女性が採用されてきており、社内で役員まで昇格する可能性はほぼなかった。
大和証券(1943年前身設立)の田代桂子代表取締役副社長(59歳)は、1月中旬に開催された世界経済フォーラム年次総会に出席した折りに『ロイター通信』のインタビューに答えて、“女性登用という多様性を見たこともない人たちに、その価値や魅力を理解させるのは大変難しい”と吐露している。
同社では、2005年から女性管理職の育成に本腰を入れてきているという。
田代氏は日本の金融業界でトップに君臨する女性役員の一人であるが、大手企業全体の中では非常に稀なケースである。
何故なら、TSE上場の大手1,836社の女性取締役や役員の比率は僅か13.4%であるばかりか、そのうち社内から昇格した女性役員はたった13%に過ぎないからである。
経営コンサルティング企業のボード・アドバイザーズ・ジャパン(2018年設立)の安田結子取締役副社長(60歳)は、“多くの企業がかつて、資格のない女性をあまり早く昇進させることはできないと言っていたが、単なる言い訳に過ぎない”とした上で、“しかし、最近では潮目が変わっていて、多くの企業からの相談の半分以上が、女性取締役や役員の求人に関わるものだ”とコメントしている。
一方、人材派遣等の大手リクルート(1963年設立)の広報担当は、“日本ではインポスター症候群(注後記)が特に強い”とし、この意識改革を女性のキャリア支援の中心に据え、“早い段階から様々な経験を経て、キャリアを積んで行くよう奨励している”と述べている。
なお、日本航空の社長に就任することになった鳥取三津子氏は記者会見で、“自分の社長就任が、キャリアや人生上の重要な出来事に悩んでいる女性たちの励みになればと期待している”とコメントしている。
(注)インポスター症候群:自分の達成を内面的に肯定できず、自分は詐欺師であると感じる傾向であり、一般的には、社会的に成功した人たちの中に多く見られる症状。1978年に心理学者のポーリン・R・クランスとスザンヌ・A・アイムスによって命名。特に社会的に成功した女性に多いとする。
(参考)女性管理職比率の世界ランキング:労働政策研究・研修機構(1990年前身設立)が昨年3月に公表した「国際労働比較」によると、①フィリピン53%、②スウェーデン43%、③米国41%、④豪州40%、⑤シンガポール38%、⑥フランス38%、⑦英国37%、⑧ドイツ29%、⑨イタリア28%、⑩マレーシア25%、⑪韓国16%、⑫日本13%。
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米スターバックス、売上予想下回る:中東ボイコット、中国低価格競争など影響(2024/01/31)
大手コーヒーチェーンのスターバックスは、年間の売上高見通しを下方修正。イスラエル・ハマス戦争での打撃や中国市場での低迷が影響しているという。
1月30日付米
『CNBCニュース』:「スタバ売上期待下回る、不買運動や中国の影響」:
30日の四半期売上報告によると、国内外ともに売上が下回った。ラクスマン・ナラシムハンCEOは、中国のライバル店や国内のボイコットが原因としている。
株価は下落したものの、3%回復した。第1四半期売上総額は10.2億ドル、1株あたり90セント増。8.5億ドル、74セントだった前年比で草加となった。...
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1月30日付米
『CNBCニュース』:「スタバ売上期待下回る、不買運動や中国の影響」:
30日の四半期売上報告によると、国内外ともに売上が下回った。ラクスマン・ナラシムハンCEOは、中国のライバル店や国内のボイコットが原因としている。
株価は下落したものの、3%回復した。第1四半期売上総額は10.2億ドル、1株あたり90セント増。8.5億ドル、74セントだった前年比で草加となった。海外の既存店舗売上は7.2%との予測を下回り、5%増だった。
北米では、飲食への支出が増えたことで、既存店売上高は5%増。国内の11月中旬から客足が遠のいたのは、イスラエル・ハマス戦争に関する「誤解」にあるなどとしている。
不買騒動はカフェ数百社からなる労働組合ワーカーズ・ユナイテッドが、パレスチナを支持する投稿をしたことが発端となり、保守派層からの批判に繋がった。この投稿から同社は距離を置こうと商標侵害で提訴した。
ナラシムハンCEOは12月、従業員への書簡で、誤情報を批判した。スターバックス社は顧客も取り戻すべく、サービスやバレンタインの新メニュードリンクに力を入れているという。国外売上は13.2%予測を下回り7%増。中東では戦争が原因で下回ったとする。
第二位の市場となる中国では、既存店売上が10%増も平均では9%減となった。中国の経済回復が遅れている中、好調なラッキンコーヒーなどの低価格店との競争が激化している。
1月31日付『Yahooファイナンス』:「スターバックス、四半期予測を下回り、売上見通し下方修正」:
大手コーヒーチェーンのスターバックスは、年間の売上高見通しを下方修正。第1四半期の売上は10.2%の予測に届かず8%となった。
2025年までに、巨大市場、中国国内の店舗9千店増を目標としていたが遠く及ばすとなった。既存店の売上は今期、中国で10%増加。客の出足はコロナ禍と比べ21%増と好調だが、売上自体は9%ダウン。中国では顧客が支出に敏感で、高価格商品の売上は鈍化しているという。ラッキンコーヒーや、コッティコーヒーなど中国国内店が価格戦略をうちだし競争が激化している。
スターバックス社は、メニューの開発、技術面への投資増、新規市場での店舗増加を計画している。海外では2030年までに現在3.8万超ある店舗を5.5万店舗に拡大させる計画。第一四半期には549店舗を新規オープンさせている。
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