韓国、新型コロナウイルスの感染者を追跡するために顔認証システム活用(2021/12/14)
韓国では、新型コロナウイルスに感染した人の直近の行動、濃厚接触者、マスク着用の有無などを確認するために、顔認証システムを活用するパイロットプロジェクトが間もなく開始することが判明した。
『ロイター通信』によると、ソウル近郊の国内有数の人口密集地である富川市は、来年の1月から、AI、顔認証システム、そして大量の街中にある監視カメラを活用して、新型コロナウイルスの感染者を追跡する計画があることが分かった。費用は国が負担する。
この計画では、AIアルゴリズムと顔認識技術を用いて、市内の10820台以上の監視カメラで集められた映像を分析して追跡を行おうとするもので、この計画に批判的な国会議員が科学技術情報通信省に提出された同市の110ページに及ぶ事業計画書をロイター通信に共有した。...
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『ロイター通信』によると、ソウル近郊の国内有数の人口密集地である富川市は、来年の1月から、AI、顔認証システム、そして大量の街中にある監視カメラを活用して、新型コロナウイルスの感染者を追跡する計画があることが分かった。費用は国が負担する。
この計画では、AIアルゴリズムと顔認識技術を用いて、市内の10820台以上の監視カメラで集められた映像を分析して追跡を行おうとするもので、この計画に批判的な国会議員が科学技術情報通信省に提出された同市の110ページに及ぶ事業計画書をロイター通信に共有した。
富川市の担当者は、顔認証システムの活用によって、人口80万人以上の都市で、追跡調査の対応に追われている追跡担当部署の担当者達の負担が軽減され、より効率的かつ正確に活用できるようになると述べている。韓国ではこれまでも、クレジットカードの記録、携帯電話の位置情報、監視カメラの映像などの個人情報を収集して、積極的にハイテクを駆使した接触者追跡システムを導入してきた。それでも、感染の可能性のある人を24時間交代で追跡し、必要な場合連絡も取る、数多くの疫学調査員に頼っているのが現状だという。
この計画はまた、市の追跡チームが、感染者による、必ずしも正確ではない自己申告に大きく依存せざるを得ないという事実を克服するためにされたものだという。
科学技術情報通信省は、このプロジェクトを全国に拡大する計画は今のところなく、このシステムの目的は、追跡作業の一部をデジタル化することが目的だと説明している。
富川市は、科学技術情報通信省から16億ウォン(約1億5千万円)を受け取り、市の予算から5億ウォン(約4800万円)を投入してこのシステムを構築しているという。
米オンラインニュースサイト『ザ・ウィーク』は、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が顔認証システムの活用にはプライバシー侵害の懸念を引き起こすと伝えていることを報じている。このような追跡方法が機能するためには、「一般的に、AI技術が読み込むことのできる大規模な市民の顔写真のデータベースを持っていなければならない」という。また、現在の技術では、マスクで遮られた顔を適切に識別するのは困難でもあるという。
しかし、富川市は、「AIシステムが情報にアクセスする前に、本人の同意を得ることになっており、データは検疫当局にのみ提供される」と説明している。
なお、今、世界各国の政府は、新型コロナウイルスの感染を食い止めるために、新しい技術や法的権限の拡大に取り組んでいる。ニューヨークのコロンビア大学ロースクールが3月に発表した報告書によると、感染者を追跡するための顔認識システムを導入したり、少なくとも実験的に導入したりしている政府は、中国、ロシア、インド、ポーランド、日本のほか、米国のいくつかの州にも及んでいるという。
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アフガニスタン、中国がイスラム過激派組織の次なるターゲットに(2021/12/07)
米国が身を引いたアジアの国々で中国の存在感が増すにつれ、中国の利益がイスラム教徒のテロ組織に狙われるようになってきた。特に、不安定な情勢を抱えているアフガニスタンに対して、今、中国の対応力が問われている。
米
『クーリエ・インターナショナル』は、10月初旬にアフガニスタンのクンドゥズのモスクで、「イスラム国のホラサン支部(IS-K)」による自爆テロが発生し、約50人が死亡したことを伝えている。イスラム過激派組織IS-Kは犯行声明を出した際、自爆テロの犯人はウイグル人であり、新疆ウイグル自治区でのウイグル人に対する扱いを知りながらも、中国と密接に協力しているタリバンを罰するための攻撃であることを明らかにした。...
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米
『クーリエ・インターナショナル』は、10月初旬にアフガニスタンのクンドゥズのモスクで、「イスラム国のホラサン支部(IS-K)」による自爆テロが発生し、約50人が死亡したことを伝えている。イスラム過激派組織IS-Kは犯行声明を出した際、自爆テロの犯人はウイグル人であり、新疆ウイグル自治区でのウイグル人に対する扱いを知りながらも、中国と密接に協力しているタリバンを罰するための攻撃であることを明らかにした。中国政府にとって憂慮すべき新たな展開となっている。
アルカイダやイスラム国などのテロ組織は長い間、米国や欧米全般、あるいは地元の敵対勢力に焦点を当てていたため、「発展途上国」として見ていた中国を敵対視してこなかった。1990年代の第1次タリバン政権時代には、中国の政府関係者は対話に意欲を見せ、水面下でタリバンと協力する方法を模索してきた。これは、アフガニスタンのウイグル人グループが中国を攻撃するのをタリバンが阻止することを期待して、限定的な投資と支援を行ったと言われている。しかし、今年10月に起こったクンドゥズでの自爆テロは、中国が新たな標的になったことを示している。
仏オンラインニュースサイト『ラントルプロノール』は、中国政府にとって、アフガニスタンは管理すべき問題であり、利用できる相手ではない、と伝えている。中国は、NATOの撤退を歓迎するどころか、隣国で情勢がひどくなることを懸念している。中国は以前から米軍が近くにいることに不満を持っていたものの、8月の米軍の撤退方法には明らかに不満を持っており、「性急な撤退」を繰り返し批判した。
『ラントルプロノール』は、中国は、混沌としたアフガニスタンから得るものは少なく、失うものも多いと主張している。戦争で荒廃した貧しい国では、最低限の設備しかなく、教育レベルも低く、政治的にも将来が不透明であるため、相当な資金を投入することはほとんど不可能である。中国の当面の課題は、治安状況を改善し、武装勢力の脅威を取り除くことだという。
なお、今年の中国政府とタリバンとの天津での会議では、中国はタリバンに対し、過激派テロ集団がもたらすリスクをコントロールするよう求めた。中国外務省の声明では、「アフガニスタンのタリバンが、東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)によって形成されたすべてのテロ組織ときれいに決別することを希望する」とし、中国からの「金融投資を可能にする環境を促進するために、タリバンが独自の努力をする 」ことを伝えていた。
中国はまた、パキスタンとタジキスタンの警備隊を支援し、中国とタジキスタン、アフガニスタンとの国境に小さな基地を整備し、アフガニスタンのバダフシャン州をパトロールしている。
こうした中でも、英誌『ザ・ウィーク』によると、中国国営の「環球時報」が、中国企業5社が現在アフガニスタンで「潜在的なリチウムの現地調査を行っている」と報じたという。「環球時報」はまた、「タリバン当局は会議や公式声明の中で、戦争で荒廃した国を再建しようとする中国企業を歓迎する姿勢を示した。中国政府はまた、人道的援助を提供したり、特定の貿易ルートを再開したりすることで、アフガニスタンの人々に援助の手を差し伸べている」と伝えている。
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