地球温暖化が取りざたされる今日この頃であるが、新たな予測が発表された。このまま地球温暖化が進めば、今世紀末にはペルシャ湾沿の暑さは人間の耐えうる限度を超えるものになるとのことである。各メディアは以下のように報じている。
10月26日付
『ザ・ウィーク』によると、2100年までにペルシャ湾沿岸の国々は健康な人間でも数時間屋外にいられない程の熱気に見舞われるようになるだろうという予測が発表されたことを伝えている。
この予測は「ネイチャー」誌の「気候変動」で発表されたもので、アメリカのロヨラ・メアリーマウント大学のパル氏と、マサチューセッツ工科大学のエルタヒール氏によるものだという。同氏らは研究の中で、気候モデルを予測し、湿球温度計を用いて大気の状態を計測する方法により、人間がどの時点で汗をかき、その汗が蒸発しないかを研究したという。...
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10月26日付
『ザ・ウィーク』によると、2100年までにペルシャ湾沿岸の国々は健康な人間でも数時間屋外にいられない程の熱気に見舞われるようになるだろうという予測が発表されたことを伝えている。
この予測は「ネイチャー」誌の「気候変動」で発表されたもので、アメリカのロヨラ・メアリーマウント大学のパル氏と、マサチューセッツ工科大学のエルタヒール氏によるものだという。同氏らは研究の中で、気候モデルを予測し、湿球温度計を用いて大気の状態を計測する方法により、人間がどの時点で汗をかき、その汗が蒸発しないかを研究したという。これによると華氏95度(摂氏35度)がその温度だったという。
同記事は「ニューヨークタイムズ」の記事を引用し、気候変動のためペルシャ湾沿岸の国々が地球上で最初に、人間にとって耐えがたいほどの暑さと湿度を体験することになるだろうとしている。
湿球温度計を用いて気温を測定し35度を記録することは、10年か20年に一度あるかないかというレベルであり、エルタヒール氏によれば「非常に致命的」であり、とりわけエアコンを持たない人や屋外で働く人、メッカを巡礼する人々には大変危険だという。しかしながら同氏によれば、地球規模で温室効果ガス排出量削減の努力がなされれば、予測された展開を変えることも可能と述べたという。
10月26日付
『CBSニュース』はAPの記事を引用し、最新のコンピューター・シミュレーションを用いて計算した結果、熱指数華氏165度(摂氏73.8度)(熱指数とは、気温と湿度から体感温度を計算する方法)が人体が熱を蒸発させることのできる限界だとしている。今回出された数値は2003年の夏にヨーロッパを襲い、死者7万人を出した熱波とほぼ同レベルだという。
カーネギー研究所の気候研究家であるフィールド氏は今回の研究に関わっていないが、「CBSニュース」の取材に対し「気候変動により現れる恐ろしい現象の中には人類が今まで
全く経験したことのないようなものもある」と述べたという。
10月27日付
『グラント・デイリー』によると、「耐え難いほどの気温上昇」とは単なる例えではなく、文字通り耐え難く死に至るほどのものだとしている。このまま今の温室効果ガスの排出が続けば経済的発展を石油資源に頼ってきた国々は、結果として石油の消費による被害を被ることになるかもしれないとしている。
また、同記事は気温と湿度の関係にも着目している。人間の体は発汗作用により熱に対応しており、汗を蒸発させることにより体の熱を下げている。しかし、気温とともに湿度が上昇すると、発汗作用がうまく機能しなくなり人体の機能を害するのだという。
さらに前出の湿球温度計は空気中の湿度が100%の状態にならない限り、通常は実際の気温よりも低めの値を出すため、湿球温度計で出された今回の予測気温は実際にはもっと高くなる可能性があるとしている。現在湿球温度計の出す値は、夏の最も暑い日でもせいぜい摂氏31度であり、ひどい場合でも35度を超えることはない。この35度という数値は健康な人間にとっても致命的なレベルだという。しかしながら、2100年にはドバイなどのペルシャ湾沿岸地域では夏の平均気温が湿球温度計で31度となり、極端に暑い日には35度を超えるようになるだろうとされている。
クウェートのような乾燥した地域では湿球温度計では人間が生存できる限界内ではあるものの、実際の気温は摂氏60度を記録すると予想されているという。
ただ、未来はお先真っ暗というわけでもなく、今年12月にパリで開催されるCOP21で温室効果ガスの排出がどの程度削減されるかにより、文明が芽生えた地域の、継続した繁栄が可能になることもありうるとしている。
涼しくなってくると地球温暖化という言葉がピンと来なくなるが、喉元過ぎても熱さを忘れてはならないといったところか。
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