来月4日から接種へ・英国・アストラゼネカのワクチン承認(12月31日)
英国政府が使用を許可した製薬大手・アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発したワクチンについて、ハンコック保健相は30日現地メディアに「来月4日から接種を開始する」と述べた。
このワクチンは2回接種が必要で、治験での有効性は平均で70%である。
ただ、超低温での保存は不要で運搬などに便利とされる。アストラゼネカは最終的に英国に1億回分を供給するとしていて、日本政府も1億2000万回分の供給を受けることで合意している。...
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英国政府が使用を許可した製薬大手・アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発したワクチンについて、ハンコック保健相は30日現地メディアに「来月4日から接種を開始する」と述べた。
このワクチンは2回接種が必要で、治験での有効性は平均で70%である。
ただ、超低温での保存は不要で運搬などに便利とされる。アストラゼネカは最終的に英国に1億回分を供給するとしていて、日本政府も1億2000万回分の供給を受けることで合意している。
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実用化が始まった遺伝子ワクチン(12月31日)
既に欧米で接種が始まっているファイザーや、モデルナのメッセンジャーRNAワクチンによって遺伝子ワクチンに注目が集まっている。有効率が90%超と驚くほど高い上、約1年で完成するなど、開発スピードがものすごく速いのが大きな特長である。ウイルスの遺伝子情報さえわかればすぐに作れる手軽さも画期的である。
そして30日、新たにアストラゼネカとオックスフォード大学が開発した通常の冷蔵庫でも保管できる、ウイルスベクターワクチンが英国で承認された。...
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既に欧米で接種が始まっているファイザーや、モデルナのメッセンジャーRNAワクチンによって遺伝子ワクチンに注目が集まっている。有効率が90%超と驚くほど高い上、約1年で完成するなど、開発スピードがものすごく速いのが大きな特長である。ウイルスの遺伝子情報さえわかればすぐに作れる手軽さも画期的である。
そして30日、新たにアストラゼネカとオックスフォード大学が開発した通常の冷蔵庫でも保管できる、ウイルスベクターワクチンが英国で承認された。
メッセンジャーRNAワクチンは、遺伝子情報を書き換えればコロナだけでなく、ガンなど他の病気のワクチンとしても使うことができるということで今後の医療に大きな貢献をするものとして期待されている。
実は日本も遺伝子ワクチンの開発を進めている。それは大阪大学とアンジェスが開発しているDNAワクチンである。
DNAワクチンとメッセンジャーRNAワクチンの違いは遺伝子の最初の情報であるDNAを使うのか、途中のメッセンジャーRNAを使うのかという違いだけである。
DNAワクチンの方が大量生産、大量合成が簡単でコストも抑えられるとメリットがあるといわれているが、結果的にDNAワクチンよりメッセンジャーRNAワクチンの方が早く完成した。
ちなみに中国製ワクチンはアデノウイルスワクチンで、アデノウイルスという風邪のウイルスを弱毒化して作ったものである。遺伝子の発現量に関しては遺伝子ワクチンよりも多いため、抗体を作るという点においては優位にあるが、過去に死亡事例が出ていて、現在のところ、安全性という面においては遺伝子ワクチンに軍配が上がる。
今回、予算の問題や培養する樽不足の問題で日本製DNAワクチンの開発が遅れてしまったことは残念だが、今後の日本製ワクチンの活躍を期待したい。
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ワクチンEU諸国・ワクチン接種本格開始(12月28日)
厳しい感染状況が続く中、感染抑制への期待が高まるのがワクチンである。
27日にはファイザーなどが開発したワクチン接種がEU各国で本格的に始まった。ヨーロッパ各国では変異ウイルスが相次いで確認され懸念が高まっているがEUは今回のワクチンも合わせ最大で20億回分を確保し感染抑制の切り札として期待を寄せている。
日本国内でもファイザーのワクチンの承認申請が今月18日に行われて早ければ来年2月中に結論が出る見通しとなっている。...
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厳しい感染状況が続く中、感染抑制への期待が高まるのがワクチンである。
27日にはファイザーなどが開発したワクチン接種がEU各国で本格的に始まった。ヨーロッパ各国では変異ウイルスが相次いで確認され懸念が高まっているがEUは今回のワクチンも合わせ最大で20億回分を確保し感染抑制の切り札として期待を寄せている。
日本国内でもファイザーのワクチンの承認申請が今月18日に行われて早ければ来年2月中に結論が出る見通しとなっている。
厚労省は2月下旬をめどに医療従事者、3月下旬をめどに高齢者、その後基礎疾患ある人などに優先して接種を行う方針である。
国産のワクチンも開発が進められていて人に投与し安全性などを確認する臨床試験を開始している。
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ワクチン・シンガポール来月接種開始“来年末までに全住民へ”(12月27日)
新型コロナウイルスのワクチンについて、東南アジアでは、シンガポールで来月、米国の製薬大手・ファイザーなどが開発したワクチンの接種が始まる見通しになっている。
一方、ミャンマーなどではWHO(世界保健機関)などによる枠組みを通しても、賄えるのは人口の一部に限られ、大きく後れを追っている現状が浮き彫りとなっている。
なぜ日本はタイムリーにワクチンを作れないのか(12月26日)
世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。日本も例外ではない。25日、日本全国では、過去最多の3832人の感染が確認され、亡くなった人の数は63人で感染者、死者ともにこれまでで最も多くなった。
この状況を収束させる為にはワクチンの力に頼らざるを得ない。厚生労働省の専門部会は、2021年2月下旬から3月中にかけて医療従事者や救急隊員、3月から4月にかけて65歳以上の高齢者、それ以降に基礎疾患のある人と高齢者施設の職員らに順次ワクチン接種をしていく方針である。...
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世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。日本も例外ではない。25日、日本全国では、過去最多の3832人の感染が確認され、亡くなった人の数は63人で感染者、死者ともにこれまでで最も多くなった。
この状況を収束させる為にはワクチンの力に頼らざるを得ない。厚生労働省の専門部会は、2021年2月下旬から3月中にかけて医療従事者や救急隊員、3月から4月にかけて65歳以上の高齢者、それ以降に基礎疾患のある人と高齢者施設の職員らに順次ワクチン接種をしていく方針である。
今回、接種されるワクチンが全て外国製であり、日本製ワクチンの開発がパンデミック拡大阻止のタイミングに間に合わなかったということである。副反応がどうなのかという問題は残るが、米国、中国、ロシア、ドイツは自国製ワクチンの開発を何とか間に合わせている。
このパンデミックを収束させる為にはウイルスの変異にも対応可能でスピーディーな開発が可能なメッセンジャーRNA型のワクチンが有効となるが、日本も同じ遺伝子系ワクチンであるDNAワクチンをバイオベンチャーのアンジェスと大阪大学が共同開発していた。しかし大幅に後れをとり、発売される頃には出番がない可能性が高い。
なぜ日本のワクチン開発は出遅れたのか。ひとつには副反応などのリスクを恐れ、あまりにも慎重になり過ぎていることがある。さらに言えば、2010年新型インフルエンザのパンデミックが起きた際、日本はワクチンの生産体制構築に100億円近い予算を投じたものの、結果的にパンデミックは起きず、支援が終了したという負の経験がある。投資した額に見合わないとしてこの後のフォローを日本政府が行わなかったために技術基盤は育たなかった。
世界の開発競争の先頭を走る米バイオ企業モデルナ社は新型コロナ禍が発生すると、ガン治療用の遺伝子配列を新型コロナ用に書き換え、既に2020年3月半ばに臨床試験を開始していた。こうした素早い動きの背後には国家の安全保障を念頭にしたワクチン開発への投資があった。2001年の同時多発テロ直後に炭疽菌テロが起き、米国に死者を出したトラウマを持つ米軍は、派兵先で感染症が起きた場合、すぐに米兵に接種できるメッセンジャーRNAワクチン開発への投資を開始した。
抗原タンパク質の遺伝子情報をRNA(リボ核酸)やDNA(遺伝子情報)に組み込んで注射することによって、細胞内で抗原タンパク質が合成され、免疫反応が誘導されるシステムで、製造過程で感染するリスクが低い上、DNAさえ分かれば1カ月前後の超短期で開発でき、化学薬品と同じ要領で量産化が可能である。
設備の維持管理などに多額のコストがかかるが、米軍は毎年数千万ドルをモデルナ社のようなバイオ企業に投資し、平時から多様な様式のワクチンを確保してきたという。今回のワクチン開発競争で見られた国力の差は国家の安全保障投資への差が背後に潜んでいたといえる。
日本は安全保障の観点からも衛生学的見地からも今後、最低でも2~3の技術基盤とワクチンの自国製造能力を確保する必要がある。生産能力ゼロの場合、欧米企業の言い値を呑むしかなくなってしまう。次のパンデミックに備え、政府・民間は資金を投下し、人材を育て、技術を完成させ、タイムリーに日本製ワクチンを供給できるよう体制を整備するべきと考える。
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