国際航空運送協会(IATA、1945年設立)は昨年12月、2024年の世界の航空会社の経営は安定し、旅行客数もコロナ禍前を2億人も上回る47億人と予想されると発表した。しかし、折からの航空機メーカーの相次ぐ生産トラブルに伴う航空機不足に遭って、最も繫忙な今夏の運行に支障を来す恐れがある。
4月9日付
『ロイター通信』は、今夏はコロナ禍後の旅行が再活況となる見込みだが、相次ぐ航空機メーカーの生産トラブルに遭い、世界の航空会社が航空機不足に陥る恐れがあると報じている。
コロナ禍を脱した世界各国では、旅行が再活況を呈しており、IATAの予想では2024年の総旅客数はコロナ禍前を2億人も上回って47億人に達するとする。
ところが、繁忙期を迎える今夏に、多くの航空会社が航空機不足に陥る恐れがある。...
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4月9日付
『ロイター通信』は、今夏はコロナ禍後の旅行が再活況となる見込みだが、相次ぐ航空機メーカーの生産トラブルに遭い、世界の航空会社が航空機不足に陥る恐れがあると報じている。
コロナ禍を脱した世界各国では、旅行が再活況を呈しており、IATAの予想では2024年の総旅客数はコロナ禍前を2億人も上回って47億人に達するとする。
ところが、繁忙期を迎える今夏に、多くの航空会社が航空機不足に陥る恐れがある。
何故なら、期せずして2つの世界最大航空メーカーが生産トラブルを起こし、発注元の航空会社への新規航空機の納入が大幅遅延する見込みであるからである。
まず、米ボーイング(1934年設立)は、2018年・2019年発生の2度の墜落死亡事故に伴う安全基準再徹底の措置が漸く解除となった第四世代小型航空機737MAXが今年1月初め、アラスカ航空の航空機が飛行中にドアプラグ脱落という事故を起こしてしまった。
その結果、再び同機の生産・納機が大幅に制限されることになっている。
米航空業界コンサルティング会社アエロダイナミック・アドバイザリーのマーサ・ノイバウアー上級参与は、世界の航空会社で予定納機の19%、また米航空会社の場合は32%も予定数の航空機納入が期待できない状況となっているとする。
また、欧州エアバス(1970年前身設立)の新型エンジン搭載の近・中距離旅客機A320neoが、米航空防衛大手RTX社(1925年前身のレイセオン設立、2023年改称)傘下のメーカー製造のエンジンに不具合があることが昨年発見されている。
RTX声明によると、2024年上半期に少なくとも650機が地上での再検査を余儀なくされ飛行できなくなるという。
そのため、アイルランドの格安航空会社ライアンエア(1985年設立)、また米国のユナイテッド航空(1926年設立)及び格安航空会社サウスウェスト航空(1967年設立)も、それぞれ減便したり乗務員の手当ての見直しを余儀なくされている。
なお、かかる背景より、多くの航空会社がリース機の手当てに走っており、コロナ禍前の30%増となっている。
航空業界専門コンサルタント企業シリウム・アセンドによると、現行の航空機リース市場は活況を呈していて、エアバスA320-200neoやボーイング737-8MAXのリース費用は2008年以来最高値の月40万ドル(約6千万円)の大台に乗っているという。
(参考)世界の航空会社時価総額ランキング(2022~2023年):①デルタ航空(米)、②サウスウェスト航空(米LCC)、③ライアンエア(アイルランドLCC)、④エアチャイナ(中国)、⑤ユナイテッド航空(米)、⑥中国南方航空(中国)、⑦シンガポールエアライン(シンガポール)、⑧中国東方航空(中国)、⑨インターグローブアビエーション(インド)、⑩全日空、⑭日本航空
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輸送トラック輸送をXXLタイプトラック(メガトラックの正式名称)まで拡張することは数年前から、スウェーデン、オランダ、ドイツなど、いくつかのEU諸国で許可されているが、このトラックが自然環境やヨーロッパの道路に対する影響が懸念されている。EU諸国でのトラック輸送の促進を目的とした‘重量と大きさ’に関するEU指針の改定を採択するかについてのEU議会での投票の結果、330人が賛成し、207人が反対し、74人が棄権票を投じた。
この投票の争点となっているのは、EU議会議員の間で‘メガトラック’に関する定義の違いである。メガトラックは、文字通り、巨大なトラックを意味し、従来のトラックに対して、XXLタイプの大型トラックを意味する。フランスの法律では18.75m長さで44トン重量を最大値として制限してきたが、メガトラックの場合は、2個のトレーラーをけん引し、25.25mを最大長とし、60トン重量の荷物を輸送できると定義している。
専門家によると、メガトラックはオーストラリア、米国、もしくは、カナダのような人口密度が少なく、長距離をトラック輸送する国で発展してきたという。これらの国には鉄道がなく、鉄道を作るには膨大な投資が必要になるので、鉄道に近いメガトラック輸送には合理性があるという。オーストラリア以外に、米国やカナダでは道路網や高速道路網が世界で最も発達しており、メガトラックに適したインフラが完備しているという。
一方、EUの交通網は北米大陸とは異なっているが、総延長距離数は約13.67万kmある。EUにおけるメガトラックの正式許可に関する論争は今に始まったことでなく、2013年にはEUの幾つかの国(スウェーデン、フィンランド、オランダ、ドイツおよび、ベルギー)では導入に踏み切っている。スペインとポルトガルも最近、導入した。メガトラック導入に反対している国としては、フランスを筆頭にルクセンブルグとスイス(EU以外)がある。
なお、フランスではメガトラックが環境保護の立場から敬遠され、特にフランス自然環境協会が中心となってXXLタイプトラックの導入に反対している。
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