既報どおり、豪州(12月12日付Globali)及びカナダ(1月15日付同)では、留学生や移民の急増に伴う家賃高騰問題に対処するため、受け入れ制限政策が取られている。そうした中、スペインで最も外国人観光客の多いバルセロナ(同国南東端)において、家賃高騰を制限するため、外国人観光客へのアパート短期賃貸(バケーションレンタル)を禁止する措置が講じられる見込みである。
6月24日付
『CNNニュース』は、バルセロナ市が家賃高騰問題に対処するため、外国人観光客によるアパート短期賃貸を禁止する措置を講じる見込みだと報じている。
スペインの中で、バルセロナは外国人観光客が最も多く訪れる都市である。
ところが、世界各地で汎用となったバケーションレンタル(民泊も含めた旅行者短期賃貸)が急増したことから、同市におけるアパート家賃が直近10年で68%も高騰し、また、住居購入費も38%上昇している。
そこで、左派系市長のジャウメ・コルボーニ氏(54歳、2023年就任、カタルーニャ社会党所属)は6月21日、住宅費の高騰を抑制し、市民にとって住みやすい都市にするため、外国人観光客へのアパート短期賃貸を禁止する措置を講ずると発表した。
具体的には、短期賃貸が許容されている1万101棟のアパートについて、2028年11月までにその許可を廃止する手続きを取るというものである。
同市長は、“住宅費高騰は今や当市の最大の問題である”とした上で、“特に若い市民にとって容易に賃貸や住宅購入ができないのは不平等極まりないことだ”と強調している。
欧州各国では隆盛な観光業による経済的恩恵を受けており、スペインも外国人観光客数でトップ3に入る人気の高い国であるが、他国同様、インバウンド観光客過多のために様々な問題が発生するようになっている。
かかる背景下、スペインのカナリア諸島自治州(アフリカ大陸北西沿岸)、リスボン(ポルトガル首都)、ベルリン(ドイツ首都)では既に外国人旅行客の短期賃貸を制限する政策が講じられている。
スペイン政府のイザベル・ロドリゲス住宅・都市問題担当相(43歳、2023年就任、スペイン社会主義労働者党所属)も、同市長の政策を支持する旨表明した。
同相はSNS『X』に投稿して、“市民が手に入りやすい住宅費にするため、あらゆる対策を講じることが重要だ”とコメントしている。
なお、同市長は、“短期賃貸を不許可とされた1万軒のアパートについて、手頃な価格で市民に賃貸、あるいは売却されることになる”と具体的に述べている。
また、同市当局は、2016年以降(短期賃貸許可未取得で)違法に外国人旅行客に短期賃貸していた9,700軒のアパートを閉鎖し、そのうち約3,500軒を賃貸物件として市民用に開放している。
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英国のシンクタンク「オックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所」の「デジタルニュースレポート」によると、世界はニュース離れの傾向にあり、また誤情報拡散のリスクから、AI生成ニュースへの懸念が高まっているという。
6月16日付
『Yahooニュース』(英BBC):「ニュース離れが加速」:
世界的な調査報告書によると、多くの人々が暗く、止むことのない、飽き飽きするニュースから目を背ける傾向の拡大が続いているという。
オックスフォード大学ロイター研究所の報告書によると、2017年の29%より増加し、39%が「時々または頻繁に、ニュースを能動的に避けている」と回答している。ウクライナや中東での紛争により、人々はニュースを見るのを避けようとしているとみられ、その数は現在最も高いレベルにある。
47カ国約9万人を対象とし、デジタルニュース・レポートの年次報告のため、今年1月と2月にYouGovが調査を行った。当時は各地で総選挙や地方選挙が盛んに行われていたため、米国など、選挙によりニュースに関心が高まっていた国もみられたが、全体では関心が低い傾向は続いていたという。
世界では、ニュースに非常に関心があると回答したのは46%で、2017年の63%から減少した。英国では、2015年比で約半数に減少している。
報告書の筆頭著者ニック・ニューマン氏は、「近年取り扱うニュースは非常に難しくなっている。パンデミックや戦争により、人々がニュースから目を背けているのは、メンタルヘルスを保つためや、日常生活を続けるためであれ当然の反応である」としている。
また、積極的にニュースを避けている人々の間では、世界で起こっていることに対して自分が主体的にできることがないと「無力」に感じていることもニュースを避ける理由となっていると指摘。
ニュースに圧倒され、混乱する人がいる一方、政治に疲れを感じる人々もいる。女性や若者では、ニュースの量に疲れを感じる傾向が高い。一方、ニュースの信頼性は、パンデミックで信頼性が高まった時期より4%下げ、40%に留まった。英国では今年ニュースの信頼性が36%とやや高まったが、EU離脱を巡る国民投票前の2016年より約15%低い。
テレビや新聞等といった伝統的なニュースソースを使う人は、過去10年で急減。若者はオンラインやソーシャルメディアからニュースを見る傾向にあり、英国ではネットニュースが73%、テレビが50%、新聞等が14%となった。
ニュースで最も利用されているのは、「フェースブック」で、ユーチューブやワッツアップもニュース源として人気継続、ティックトックの人気も高まっており、旧ツイッターの「X」を初めて抜いた。
この変化に関連して、特に若者の間で、動画がより重要なニュースソースとなりつつある。ショート動画が最も注目されており、「消費者は使用が簡単な動画を使い始めている。しかし、テキストベースの文化では、伝統的なニュース機関も未だ健在でその伝える力を活かそうと奮闘している。ポッドキャストも注目されるが、教育レベルの高い人向けの「少数派」となる。
一方、報道における人工知能(AI)の利用に関しては、多くの人が、政治や戦争など硬派記事について疑問に思っているとの結果となっている。AIは記者にとって代わる存在というより、補う存在としての活用が望まれており、字幕や翻訳など、二次的利用の方が安心感があると考える人が多いとの結果となった。
同日付米『ETAQ』:「世界の視聴者はAI生成ニュースを不安視」:
ロイター研究所が公表したジャーナリズム研究報告書によると、ニュース製作や誤情報が拡大する中でのAI活用に関して、世界的に懸念が広がっている。
17日に発表された同研究所の年次「デジタルニュースレポート」は47カ国約10万人を対象とした調査に基づく報告書で、収入増や経営継続で、ニュース機関が直面する課題を示している。
世界の報道機関は、グーグルやオープンAI等のIT大手やスタートアップ企業が、情報の要約や、交通情報収集ツールを開発する中、生成AIにより新たな挑戦に取り組んでいる。その一方、報告書によると、消費者は、AIが政治等のニュースコンテンツを作成することを不安視していることがわかった。
米国の52%、英国の63%が、AI作成のニュースに安心できないと回答。調査では各国2千人が回答したが、AIは、記者の裏方作業に利用するほうが好まれる傾向がみられた。
ネット上の誤情報への懸念では、昨年比3%上昇し59%が不安を抱いていると回答。この数字は、今年選挙年となった南アフリカでは81%と米国で72%で高い傾向がみられた。
報道機関にとってのもう一つの課題は、有料購読である。パンデミックでやや増加し、20カ国で17%がオンラインニュースを有料購読しているが、この数字は過去3年変化していないという。米国の購読者の大半はトライアルやプロモーションによるディスカウント購入のため、46%が全額購読料未満という結果となった。
主流メディアより、ティックトックなどのプラットフォームでのニュースインフルエンサーの影響も大きくなっている。アプリでニュースを見ると回答したティックトックユーザー5600人を対象とした調査では、57%が個人パーソナリティに注目しており、ジャーナリストや報道機関を見る人は34%に留まった。
この結果から、報道機関は「視聴者との直接的な関係」を築く必要があり、若者視聴者にアピールするには、プラットフォームを戦略的に使う必要があるといえる。
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