米大統領選挙の共和党候補ドナルド・トランプ氏の妻メラニア夫人が、出版予定の回想録で、共和党の立場に反して中絶の権利への支持を示しているという。米国では圧倒的多数が中絶権利を支持しているとされる中、発言の影響力が注目されている。
10月4日付
『ロイター通信』:「メラニア夫人、ドナルド・トランプ氏に反して中絶権利支持表明」:
ドナルド・トランプ米大統領候補の夫人メラニア・トランプ氏は3日、動画を通じて、女性の「個人の自由」の権利に「妥協の余地はない」とのメッセージを発信した。これは共和党の大統領候補であるトランプ氏が掲げる中絶の権利に対する立場に相反する主張となる。
11月5日の総選挙を前に、中絶問題は女性票獲得への大きな障害となる争点で、トランプ候補と副大統領候補のバンス上院議員が、共和党の強硬な反対姿勢を和らげようとしている中での表明となる。...
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10月4日付
『ロイター通信』:「メラニア夫人、ドナルド・トランプ氏に反して中絶権利支持表明」:
ドナルド・トランプ米大統領候補の夫人メラニア・トランプ氏は3日、動画を通じて、女性の「個人の自由」の権利に「妥協の余地はない」とのメッセージを発信した。これは共和党の大統領候補であるトランプ氏が掲げる中絶の権利に対する立場に相反する主張となる。
11月5日の総選挙を前に、中絶問題は女性票獲得への大きな障害となる争点で、トランプ候補と副大統領候補のバンス上院議員が、共和党の強硬な反対姿勢を和らげようとしている中での表明となる。
来週発売される回顧録の宣伝で「X」に投稿された動画で、「個人の自由が基本的原則であると私は信じており、間違いなく、個人の自由である女性の出産はすべての女性の基本的権利であることに妥協の余地はない」等と述べている。
元モデルで前ファーストレディだったメラニア夫人は、現選挙陣営には殆ど参加せず、以前にも度々謎めいた声明を発表している。2018年の国境視察時には「私にはどうでもいい」とのスローガンが書かれたジャケットを着ていたがそれについての説明もなかった。
しかし今回報じられた回顧録の抜粋では、中絶の権利への立場をやや明確に表明しており、本には「個人の自由という女性の基本的権利により、女性は希望すれば妊娠を終わらせる権利を持っている」と書かれているという。
トランプ氏は、夫人と相談しこの問題について「例外を許さない人もいれば、別の見方をする人もいる」ので「メラニア氏の思いに従って書くように」と述べたという。
トランプ氏は2022年、中絶権判例を覆すきっかけとなった3名の最高裁判事を任命しているが、今年共和党予備選に勝利してからはやや中立的立場を取っている。各州に規制する自由があると主張し、先月の集会では、自身が大統領に選出されれば女性は「中絶についてこれ以上悩まなくていいだろう」とも発言している。
民主党のカマラ・ハリス候補は、中絶支持を強調しており、憲法上の権利復活を公言している。米国の世論調査では常に国民の大半が中絶権利を支持しているとされる。
10月3日付英『Guardian』:「メラニア氏、突然の中絶権容認の意図は?」:
メラニア・トランプ夫人が中絶の権利を支持しているとするニュースは、衝撃と困惑をもって受け止められている。
ドナルド・トランプ候補が、有権者へ中絶権を守るとの説得を続ける中の夫人による支持表明となった。夫人の支持は吉と出るかのか否か。メラニア氏の啓示は、ハリス氏への投票に二の足を踏みつつも、中絶の権利には賛成しており、まだ誰に投票するか決めていない有権者を説得させるものだとも考えられる。
一方、中絶の権利に関し20年以上世論調査を行ってきたTresa Undem氏は、訴求効果は非常に小さいとする。夫人の個人的意見にかかわらず、トランプ候補の政策を覆すような大きな影響はないと考えられる。最高裁判例が変わる訳でもなく、トランプ氏とメラニア夫人の関係があまり好ましくないというのも良い影響を与えないとする。
メラニア氏の中絶支持表明は、トランプ氏の忠実な支持層である中絶反対派の反感を買うものであったとみられ、トランプ氏が中絶支持を匂わせることにも既に抵抗は生じていた。
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英国を代表するファッションブランドのひとつであるバーバリー(1856年創業)の凋落が著しい。三陽商会(1943年創業)が2015年に同社とのライセンス契約を終焉させて以降、日本での売り上げもかつての勢いが陰ってきていたが、欧米や特に中国での営業展開も難儀していた模様で、ついに英国株式市場の主要株価指数対象銘柄(FTSE100、注後記)から脱落することになっている。
9月5日付米
『CNNニュース』、
『ブルームバーグ』オンラインニュース、英国
『ジ・インディペンデント』紙は、英国を代表するファッションブランドのひとつであったバーバリーが、英国主要株価指数から脱落することになったと報じている。
ロンドン証券取引所(LSE、1801年設立)は9月4日、15年間の長期にわたりFTSE100の対象銘柄となっていたバーバリーが、直近四半期の時価総額の大幅下落を受けて9月23日以降FTSE100からはずれることになると発表した。
同社の現在の時価総額は22億3千万ポンド(29億3千万ドル、約4,215億円)で、昨年末時点より▼56%も下落している。
ある経済アナリストが、バーバリーを指して、売上高及び収益において“長い連敗続き”と評したこともあって株価が大きく下がっていた。
同社の2024年3月期の収益は34%も凋落していて、直近4~6月期の売上高も20%以上下落しており、2025年3月期も厳しい業績見通しとなるとして、配当を取り止める決定を行っている。
かかる事情もあって、同社は今年7月、伊ブランドのベルサーチ(1978年設立)から引き抜いて2年前に就任させたばかりのジョナサン・アクロイド最高経営責任者(CEO)を更迭し、後任にジョシュア・シュルマン氏(米ブランドのマイケル・コース(1981年設立)やコーチ(1941年設立)のCEO歴任)を据えている。
その際、ゲリー・マーフィー同社会長(68歳、2018年就任)は、“新機軸を打ち出しながら、我が社のコア顧客にとってより身近な商品開発に最善を尽くす”とした上で、“コスト削減を含め、様々な対策を講じていることから、下半期に状況が好転することを期待している”コメントした。
バーバリーに限らず、他の世界有数の高級ブランドメーカーが、世界第2位の経済大国である中国顧客の高級品買い漁りに頼っていたが、中国がコロナ禍明け後でも景気後退に遭って中国消費者が節約志向に転じてきていることから、今後も苦戦を強いられる恐れがある。
(注)FTSE100:LSEに上場する時価総額上位100銘柄で構成され、ドイツのDAXやフランスのCAC40とともに、投資家の注目度が高い欧州の株価指数のひとつ。英国フィナンシャル・タイムズ社とLSEグループの合弁会社であるFTSEが公表。
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