1月13日付米
『ブライトバート』オンラインニュース(2005年設立)は、「世界最大の貿易国の中国、対ロシア貿易で史上最大の入超」と題して、世界的エネルギー価格高騰もあって、昨年の中国の対ロシア貿易が一昨年比3倍と史上最大の入超となったと報じている。
中国の昨年の対ロシア貿易高が、一昨年比3倍増となる史上最大の入超となっていることが分かった。
この背景には、世界的なエネルギー価格高騰の最中、欧米諸国による対ロシア制裁によって、ロシア産原油・天然ガスが低く抑えられていることから、中国側の輸入が促進されたことがある。
2022年中国の対ロシア輸出額は760億ドル(約9兆7,280億円)と13%増えたが、輸入額は1,140億ドル(約14兆5,920億円)と44%も上昇し、2021年の赤字額の3倍にも膨れ上がっている。
この大きな要因は、中国のロシア産原油輸入高が41.4%も増えたことにあるが、輸入量自身は、中国のゼロコロナ政策に伴う都市封鎖措置等による景気後退に遭って減少しているものの、ロシア産原油価格が欧米諸国による制裁によって低く抑えられているとは言え、世界的なエネルギー価格高騰を受けて同価格自体も大幅に上昇しているからである。
『ブルームバーグ』オンラインニュースの1月13日報道によると、“中国は、欧米諸国にみられる急激なエネルギー価格高騰を避けるべく、大量の石炭生産を行って凌ごうとしている”とし、“この結果、エネルギー価格上昇率を3%弱に抑えられたため、中国のインフレ率は2%台となっている”という。
中国国家発展改革委員会(1954年前身設立)は、石炭生産を大幅に増やしたことで、欧米諸国が“エネルギー価格暴騰で苦しんでいるのとは対照的”に価格上昇を緩やかに抑えられたと自画自賛している。
ただ、インフレ抑制のための石炭火力発電増強も、2023年では効果が薄れるとみられる。
何故なら、ゼロコロナ政策緩和で中国の経済活動が活発化し、資源エネルギー需要も高まることから、中国としてもエネルギー価格暴騰の影響を更に受けることになるからである。
この結果、中国の需要増によって世界的な物価上昇に拍車がかかることが懸念される。
中国は、ウクライナ軍事侵攻に伴う対ロシア制裁に加担せず、ロシア産原油等の輸入を続ける数少ない国である。
しかも、主要7ヵ国(G-7)及び欧州連合(EU)が昨年12月、ロシアが原油輸出に伴う利益をウクライナ戦争に投じられないよう、ロシア産原油に価格上限方式を採用することを決定しているが、中国はこれに同意していない。
習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)は昨年11月、“ロシアとは、エネルギー政策でより緊密に連携していく”と表明している。
これを受けてロシア側も、G-7やEU方式を拒否する国には更に多くの原油を提供すると宣言している。
なお、ロシア産原油の多くは、中国・インド含めたアジア向けに供給されている。
ロシアは更に、バルト海で取り進めている液化天然ガス開発プロジェクトへの参画を中国にはたらきかけているだけでなく、中国向けの天然ガス輸送パイプライン建設計画を推進すべく、通過ルートとなる隣国カザフスタン及びウズベキスタンとの契約交渉に取り組んでいる。
同日付ロシア『RTニュース(旧ロシア・トゥデイ)』(2005年開局のニュース専門メディア)は、「中ロ貿易高、当初目標の2024年より早く達成見込み」と詳報している。
中国海関総署(1949年設立の貿易管理機関)が1月13日にリリースしたデータによると、中ロ間の2022年総貿易高が1,900億ドル(約24兆3,200億円)と一昨年比33%近くも増えている。
内訳は、ロシア向けの輸出額761億ドル(約9兆7,308億円)と前年比+12.8%、中国向け輸出額が1,141億ドル(約14兆6,048億円)と同+43.4%の大幅増となっている。
この結果、ロシアは中国にとって主要20ヵ国において最大の貿易相手国となっている。
更に、中ロ両国はかつて、2024年までに総貿易高を2,000億ドル(約25兆6千億円)まで増やすとの目標を立てていたが、それよりも早く達成する見通しとなっている。
ウラジーミル・プーチン大統領(70歳、2000年就任)は昨年12月に習国家主席とオンライン会談した際、“西側諸国から不当な制約を受けているが、ロシアと中国の関係は強固で、特にエネルギー分野において協力関係がより強化されていることを称賛する”と述べている。
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10月20日付
『ロイター通信』は、「投資家グループ及び労組、現代自動車に対して米部品供給業者の児童労働問題に対処するよう要望」と題して、現代自動車(ヒョンデ、1967年創業)の米国子会社や部品供給業者で問題視されている児童労働禁止法違反行為について、投資家グループ及び労組が各々、可及的速やかなる対応を求める要望書を本社トップ宛に提出した旨報じている。
労組年金基金を運用する投資グループは10月19日、現代自動車トップに対して、同社の評判悪化を回避すべく、同社米国工場向け部品供給業者で問題視されている児童労働禁止法違反行為について、可及的速やかに具体的に取り組むよう要望書を提出した。
2,500億ドル(約37兆2,500億円)余りの総資産を保有するSOCインベストメントグループ(SOC、2006年設立、本社ワシントンDC)が10月19日付で、現代自動車の実質トップの鄭義宣首席副会長(チョン・ウィソン、52歳、高齢の鄭夢九会長(チョン・モング、84歳)を代行)に宛てて出状したものである。
同書簡には、今年7月に『ロイター通信』の調査報道によって、同社アラバマ子会社(SMARTアラバマ社)工場における児童労働禁止法違反問題が公になって以来、投資家の間で大きな懸念事態となっていると書かれている。
更に、上記に止まらず、8月には米労働省(DOL、1913年設立)が、現代自動車アラバマ州現地生産工場向けに部品供給している韓国部品メーカーSL社(1954年設立)傘下のSLアラバマ社を、児童労働禁止法違反容疑で告発するという事態も発生していると指摘している。
同書簡では、“児童労働問題、劣悪な労働環境及び安全軽視は、米国における現代自動車による法令違反であり、結果として世界的に同社の評判を貶める恐れがある”と強調されている。
その上で同書簡は現代自動車取締役会に対して、同社が本件問題に責任ある対応をすること、及び同社供給網における人権・労働問題によって起こり得るリスクについての第三者による評価、その公表並びに監視活動等、具体的行動を起こすようにしっかり監督することを要求している。
SOCからかかる書簡が提出される前、9月には数十の全米・地元労組及び活動家グループから会社側に対して、児童労働を即刻止めるよう要望書が出されていて、先週も全米自動車労働組合(UAW、1935年設立)幹部から同社を厳しく非難する声明が出されていた。
SOCのディーター・ワイゼネッガー専務理事は、SOCは現代自動車の問題の他にも、IT大手のアップル(1976年設立)や電気自動車メーカー大手のテスラ(2003年設立)などに対して、過酷労働やその他福祉問題を改善するよう訴えてきている旨表明している。
なお、『ロイター通信』はこれまで、一連の現代自動車グループに関わる児童労働問題を報じてきた。
これら問題について、現代自動車米国本社のホセ・ムニョス最高執行責任者は10月19日、『ロイター通信』のインタビューに答えて、同社は既に米国供給網における児童労働問題の調査を進めており、同問題が明らかになったアラバマ州の部品供給業者との“関係を断つ”意向であると語った。
これに先立って、同社広報担当のアイラ・ガブリエル氏は、米子会社のSMARTアラバマ社は既に、児童労働者を派遣してきた事業会社とは絶縁していると語っている。
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