インドネシア、中国の反発を恐れてかASEAN合同軍事演習開催予定地を南シナ海から遥か南方に変更【欧米メディア】(2023/06/23)
東南アジア諸国連合(ASEAN、1967年設立)の今年の議長国であるインドネシアは今月初め、ジャカルタで開催された加盟国の軍司令官の会合において、東南アジア地域の緊張と不確実性の高まりに対応すべく、ASEAN初となる合同軍事演習を南シナ海において実施することが決まった旨発表した。ところがこの程インドネシアは、開催場所を南シナ海ではなく遥か南方のバタン島近海(シンガポール南沖のマラッカ海峡南端)に変更すると表明したが、多分に中国の反発を恐れてのこととみられている。
6月22日付
『ロイター通信』、
『ザ・ディプロマット』、
『ラジオフリーアジア』等は、インドネシアが、ASEAN初の合同軍事演習の開催場所を南シナ海から遥か南方に変更した旨発表したと報じている。
ASEANは今月初め、初となる加盟国合同軍事演習を9月18~25日の日程で、南シナ海で開催する旨決定した。
非戦闘訓練であり、かつ人道的・災害援護活動が主体の合同演習で、南シナ海南端の北ナトゥナ海域が開催場所とされていた。...
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6月22日付
『ロイター通信』、
『ザ・ディプロマット』、
『ラジオフリーアジア』等は、インドネシアが、ASEAN初の合同軍事演習の開催場所を南シナ海から遥か南方に変更した旨発表したと報じている。
ASEANは今月初め、初となる加盟国合同軍事演習を9月18~25日の日程で、南シナ海で開催する旨決定した。
非戦闘訓練であり、かつ人道的・災害援護活動が主体の合同演習で、南シナ海南端の北ナトゥナ海域が開催場所とされていた。
同海域は、インドネシアの排他的経済水域(EEZ)である一方、中国が南シナ海の大部分を主権範囲と主張する「九段線」の中に含まれている。
そうした中、インドネシアは6月22日、当該合同軍事演習の開催場所を南シナ海の遥か南方のバタン島近海に変更すると、突然発表した。
同国国防省報道官のジュリアス・ウィジョジョノ少将によると、“非戦闘訓練が主体であることから、加盟国にとってアクセスしやすい場所に変更することが望ましいと判断した”という。
更に同報道官は、“他国からの圧力があったためではなく、あくまで(議長国としての)独自の判断によるものだ”と強調している。
但し、同報道官によると、(ASEANはこれまで全会一致を旨としてきているが)軍事政権のミャンマー、また中国の同盟国と目されるカンボジアから、当該合同軍事演習準備のための事前打ち合わせ会合への参加の意思表明がなされていない、という。
一方、カンボジア国防省は今月半ば、当該合同軍事演習の開催にまだ同意していないと表明していた。
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中国で度重なる人権活動家の獄中不審死(2015/11/09)
中国は以前から人権問題について、国際社会や人権団体から批判を受けてきたが、習近平体制となって以降、活動家の拘束、インターネット利用の制限、少数民族の抑圧などが一層激しさを増している。特に、政府への批判者に対する弾圧は厳しく、勾留後の拷問や虐待行為が常態化していると指摘されている。ドイツのメルケル首相は、10月末の中国訪問時、中国政府の不興を覚悟のうえ人権活動家と面談した。こうした中、今月の国連人権委員会による中国での拷問審査を前に、新たな政治犯の獄中不審死が発生した。
10月30日付
『ブルームバーグニュース』は、ドイツのメルケル首相が、中国訪問時の10月29日、中国政府の怒りを覚悟のうえで9人の人権活動家と政府反対派に面会したと報じている。活動家らは、3年前に習近平国家主席が政権の座に就いてから人権問題は悪化したとメルケル首相に訴えた。今年7月、アムネスティインターナショナルは、習近平政権下で、全国的な規模での政府反対派への弾圧や人権活動家の逮捕、脅迫がおこなわれていると非難した。...
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10月30日付
『ブルームバーグニュース』は、ドイツのメルケル首相が、中国訪問時の10月29日、中国政府の怒りを覚悟のうえで9人の人権活動家と政府反対派に面会したと報じている。活動家らは、3年前に習近平国家主席が政権の座に就いてから人権問題は悪化したとメルケル首相に訴えた。今年7月、アムネスティインターナショナルは、習近平政権下で、全国的な規模での政府反対派への弾圧や人権活動家の逮捕、脅迫がおこなわれていると非難した。同月、中国は「人民民主主義による独裁を守り、社会の平穏を維持する」として、国家治安法を制定した。
メルケル首相訪中の数日後、11月4日付
『ラジオフリーアジア』は、中国の人権活動家である張劉茂(Zhang Liumao)氏は広州市警察が管轄する収容施設で不審死したが、家族は遺体に面会できずにいると報じている。張氏は、政府批判者に対し当局が使う常套手段の、「社会秩序に論争を仕掛け、騒乱を扇動」した疑いで本年8月から勾留されていた。家族によると、勾留施設の職員は死亡時の状況などを一切説明せず、埋葬手続きを早くおこなうよう伝えたが、家族はそれを拒否している。人権活動家は、「法律では “社会秩序に論争を仕掛け、騒乱を扇動する”との基準が曖昧で、当局の権力乱用に都合がよく、単に意見を言っただけで勾留されやすい」と批判する。
国連人権委員会は11月17~18日に拷問およびその他の残酷、非人道的又は虐待・懲罰行為に関する協定への中国の違反を評価するが、その矢先に張氏の不審死が発生した。海外に拠点を置く中国人権擁護ネットワークは、中国政府は拷問の罪で告発された当局者の処置について一切公表することを拒否している、と非難している。それどころか、中国人権活動家は、中国の政府情報公開システムを通じて情報収集をおこなおうとすると、報復として脅迫や逮捕されるはめになるのが実情である。
11月6日付ニューヨークタイムズ』紙は、人権活動家の張劉茂氏が、江東省の省都広州市の第3収容所内で死亡したことを報じている。数百人の人権活動家や親族が、死亡原因および死亡した時期や場所、遺体の確認などを求める要求をおこなっている。警察が張氏を逮捕したのは、米国政府の資金援助を受けて広州市で雑誌を発刊したことが理由だと推測される。張氏の弁護士は、姉妹2人が収容所当局者と面会し、同氏の死亡原因調査ビデオと遺体を見せるよう文書で要求した。
中国では、また拘留者が死亡したことについて、弾圧ではないかとの疑念が生まれている。2009年には人権活動家のLi Qiaoming氏が雲南省で死亡し、2015年には著名なチベット族僧侶のテンジン・デレック・リンポチェ氏が「テロとチベット分離教唆」の罪で終身刑を服役中に不可解な状況で死亡し、怒りの抗議が起きている。
11月5日付
『ヒューマン・ライツ・ウオッチ』は、張氏の隔離勾留は、習近平政権のもとでおこなわれる活動家への取締りと同じ手口であり、2人の著名な活動家の拘留中の不審死と繋がるものがあると報じている。それによると、2014年3月に人権活動家Cao Shunli氏が数ヵ月の勾留後死亡し、2015年7月には、チベット僧のテンジン・デレック・リンポチェ氏が獄死したことは、明らかに当局が法律を遵守していないことを示している。中国の“収容施設での死亡取り扱いに関する規則”では、調査ビデオの撮影と保管および拘留者への聞き取り調査を義務付けている。しかし、どちらのケースも調査はおこなわれず、誰も責任を問われていない。中国では、犯罪容疑者への拷問や、家族、弁護士、医者の接見拒否 などが常態化しており、政治犯への拷問リスクは特に高い。中国政府は今月開催される国連の拷問審査会への準備をするにあたり、自国の法律は空約束ではないことを示し、張氏および獄死した全員について調査をおこなうべきであると主張している。
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