9月14日付
『ザ・ガーディアン』紙は、日本最大の府中刑務所(注後記)を取材して、高齢化が進む実情について詳報している。
日本は主要国の中で、一番少子高齢化が進んでいて、今や総人口約1億2,500万人のうち65歳以上の高齢者が約3分の1を占める事態となっている。
そこで、本紙の東京特派員がこの程、日本最大の府中刑務所を取材したところ、同刑務所でも、全受刑者約1,700人のうち22%(約370人)が高齢受刑者で占められていて、刑務所内で介護資格を取った若い受刑者に面倒を見てもらっている実態が分かった。...
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9月14日付
『ザ・ガーディアン』紙は、日本最大の府中刑務所(注後記)を取材して、高齢化が進む実情について詳報している。
日本は主要国の中で、一番少子高齢化が進んでいて、今や総人口約1億2,500万人のうち65歳以上の高齢者が約3分の1を占める事態となっている。
そこで、本紙の東京特派員がこの程、日本最大の府中刑務所を取材したところ、同刑務所でも、全受刑者約1,700人のうち22%(約370人)が高齢受刑者で占められていて、刑務所内で介護資格を取った若い受刑者に面倒を見てもらっている実態が分かった。
所内視察の結果及び八代宏幸所長(2024年就任)から聴取した実情は以下のとおり;
・高齢受刑者のうちの何人かは、歩行や入浴が困難で支援が必要。
・(刑務官だけでは対応できないので)若い受刑者が介護職員実務者教育を受けて、適宜介護支援に当たってもらっているが、彼らにとっても釈放後の就職の助けになるとして所としても支援。
・また、高齢受刑者のうち70%以上(約260人)が、糖尿病・心臓病・慢性疾患・メンタルヘルス疾患を抱えており、所内での医療行為が必要。
・受刑者は月に2回、模範囚であれば最大5回、家族や法定代理人と面会できるが、高齢受刑者の多くは面会する家族等もおらず、従って、刑期満了後に社会復帰するのは現実的に困難。
・なお、外国人受刑者は約370人いて、英語や中国語のラジオ放送を聴取可能。
一方、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(1978年前身設立)は、“日本の刑務所の規制は、社会的孤立を悪化させ、受刑者に心理的な害を及ぼすリスクがある方法で厳格に施行されている”と非難している。
しかし、この声明に言及した本紙特派員の質問に対して、所内視察ツアーにアテンドした櫛引雄一郎部長は、“秩序を維持するためには、安全と個人の自由との間でバランスさせる必要がある”とした上で、“当刑務所がうまくいっているのは、受刑者の間にヒエラルキー(ピラミッド型階級組織構造)がなく、誰もが同じように扱われているからだ”と強調している。
(注)府中刑務所:1790年前身、1935年現行施設が開設された日本最大の刑務所。再犯者・外国人受刑者・精神障碍者・身体障碍者を収容。
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