米高校銃乱射事件、米国内では犯人を非難する声はあっても銃廃絶気運はなし、一方、中国メディアは米国に中国の人権政策に文句を言う資格なしと一斉非難【米・英・ロシアメディア】(2018/02/17)
米フロリダ州の高校で今週半ば、再び悪夢の銃乱射事件が発生した。米国の学校での発砲事件が、今年に入って18件目との驚きの事実に、日本メディアは一斉に銃社会の闇として報じた。ところが、肝心の米国では、銃規制の気運は乏しく、むしろ今回の容疑者が事前に犯行をほのめかしているとの通報にしっかり対応しなかった連邦捜査局(FBI)の手落ちを糾弾する方に焦点が当てられている。一方、日頃米国から人権問題を指摘されている中国では、このときとばかりに他国の人権政策をとやかく言う資格などないと、中国メディアが集中砲火を浴びせている。
2月17日付英
『Yahooニュース英国版』(
『ロイター通信』配信):「FBIがフロリダ州高校での銃乱射犯の行動を食い止められなかった失態を認めたことで怒りが沸騰」
FBIのクリストファー・レイ長官(51歳)は2月16日、フロリダ州南部パークランドの高校で発生した銃乱射事件について、容疑者が犯行をほのめかしているとの通報を事前に受けていながら、然るべき対応を怠ったことを認めた。...
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2月17日付英
『Yahooニュース英国版』(
『ロイター通信』配信):「FBIがフロリダ州高校での銃乱射犯の行動を食い止められなかった失態を認めたことで怒りが沸騰」
FBIのクリストファー・レイ長官(51歳)は2月16日、フロリダ州南部パークランドの高校で発生した銃乱射事件について、容疑者が犯行をほのめかしているとの通報を事前に受けていながら、然るべき対応を怠ったことを認めた。
すなわち、犯人のニコラス・クルーズ(19歳)の知人が、同容疑者が高校に銃を持って押し入ると話していることを、1月5日にFBI宛に通報したが、FBIはマイアミ分署に捜査するよう手続きは取らなかったという。
この声明を受けて、多くの市民からFBIを非難する声が上がっており、また、フロリダ州のリック・スコット知事は、レイ長官(昨年、トランプ大統領が罷免したジェームズ・コウミー前長官の後任)は引責辞任すべきであると表明した。
なお、事件が起きた高校があるブロワード郡のスコット・イスラエル保安官は、直近の数年間にクルーズ容疑者に関して20件ほどの“通報”があったことを明かし、それがきちんと対応されたのかどうか精査すると語った。ただ、同保安官は、この事件を契機に法律の強化がなされるべきではなく、この犯罪を犯した同容疑者を責めるべきであるとも付言した。
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「フロリダ州高校での銃乱射事件に関し、地元の保安官が“責めるべきは容疑者”と言及」
地元の捜査当局は、事件のあった高校の生徒3,200人及び同校教職員200人に事情聴取し、“何故犯人が事件を起こしたのか、また、何をしたかったのか”究明しようとしている。
ただ、地元のイスラエル保安官は、“米国は(法律上も捜査当局も)一切誤りを犯していない。唯一責められるべきはこの犯人”だとコメントしている。
一方、同日付米
『ミルウォーキー公共ラジオ放送』:「中国メディアは米国の銃乱射事件をどう報道しているか」
中国国営メディアはこれまで、中国における質の悪い人権問題から目を逸らさせようと、米国の問題や欠点について殊更大袈裟な報道をしてきている。そして、米国の銃乱射事件の場合は、この報道姿勢が以下のように更に激化する。
国営
『新華社通信』:米国の学校でまたも銃乱射事件という悪夢が発生。米社会の“銃創”は中々癒えそうにない。
上海
『新浪(シナ)英字ニュース』:犯人は、ナイフを振り回し、拳銃で遊ぶような問題児だった。
『チャイナ・ビジネス・ネットワーク』金融誌:最も多くの犠牲者が出た銃乱射事件の10件のうち3件が、直近5ヵ月間に発生している。
『環球時報』:頻繁に銃乱射事件が発生しても、米社会が無力であることに全世界が信じられない思いである。
なお、中国メディアはプロパガンダの意味合いもあって、米国による対中国政策について、“冷戦時代の精神構造”等と紛らわしい表現を使い、また、米中関係の緊張を悪戯に高めていると非難し、更に、米国が中国の勢力増大に根拠のない妄想を抱いていると論破しようとしている。
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中国の“一帯一路”政策、資金力で世界を呼び込む(?)(2)(米・英・ロシア・中国メディア)(2017/05/18)
5月14日付Globali「中国の“一帯一路”政策、資金力で世界を呼び込む(?)」の中で、“習指導部が、アジア・インフラ投資銀行(AIIB)とともに注力している「一帯一路」政策(新シルクロード経済圏構想)について、潮目が変わったのか、米国のみならず北朝鮮までも中国サミットに代表を送ることを決定しており、中国マネーに引き付けられる国が増えてきている”と報じた。しかし、同サミットもふたを開ければ、ドイツなど欧州参加国が、貿易に関する中国提示の文書について、物資調達の透明性や環境基準への懸念を理由に署名を拒んだかと思えば、インドは、中国が進めているカシミール地方(パキスタンと領有権を争う地域)への開発計画に鑑み、国家主権と領土保全への懸念を無視しているとして同サミットそのものへの参加を拒否している。中国は、中国主導でアジア~アフリカ~欧州を繋ぐ一大経済圏を世界と協力して創設していくとぶち上げているが、これまで世界経済を牽引してきた米国から覇権を奪うという大策略が透けて見えることから、金に困っている国を除いて、多くの国から賛同を得るのは容易ではないとみられる。そもそも中国は、外貨準備高が世界最大の3兆ドル(約340兆円)を有する資金力豊かな国としているが、内実は対外債務を4兆6,000億ドル(約520兆円)も抱えている(末尾追記参照)。
5月17日付米
『NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)ニュース』(米非営利・公共放送):「中国の“新シルクロード構想”、目標は壮大で克服すべき課題も数多」
5月15日に閉幕した、中国主導の「一帯一路」国際フォーラムには、29ヵ国の首脳を含め130ヵ国以上の代表が参加した。中国自身が、「一帯一路」政策を“世紀のプロジェクト”と位置付け、4つの大陸を交易・鉄道網・港湾・高速道路で結びつけるとする壮大なインフラ開発計画である。...
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5月17日付米
『NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)ニュース』(米非営利・公共放送):「中国の“新シルクロード構想”、目標は壮大で克服すべき課題も数多」
5月15日に閉幕した、中国主導の「一帯一路」国際フォーラムには、29ヵ国の首脳を含め130ヵ国以上の代表が参加した。中国自身が、「一帯一路」政策を“世紀のプロジェクト”と位置付け、4つの大陸を交易・鉄道網・港湾・高速道路で結びつけるとする壮大なインフラ開発計画である。今回、自国のインフラ投資・開発に中国資金が投入されることを期待しているアジア諸国を含めて、およそ70ヵ国が中国との協力協定に署名している。
中国の主たる目的のひとつは、中東からの石油・天然ガス輸送用のパイプラインを、ミャンマー・パキスタンを経由するルートに敷設することで、米国勢力下にあるマラッカ海峡(マレー半島とインドネシア・スマトラ島を隔てる海峡で、太平洋とインド洋を結ぶ海上交通上の要衝)を経由しなくとも済むようにすることである。
中国は声高に、世界経済発展のための一大プロジェクトを推進するもので、決して他国の主権を脅かしたり、中国の制度や影響力を押し付けるものではないとしているが、例えばインドなどは、パキスタンと領有権争いのあるカシミール地方のインフラ建設を、中国が勝手に進めようとしているとして、同国際フォーラム自体への参加を拒否している。
5月16日付英
『ザ・UKニュース』:「中国、新シルクロード開発プロジェクトについて68ヵ国と協力協定締結」
中国が推し進める、東と西の大陸を結びつける21世紀の壮大なプロジェクトと称する“新シルクロード”開発プロジェクトについて、中国の習近平(シー・チンピン)政権は5月15日、68ヵ国と協力協定を締結したと発表した。
習主席は「一帯一路」国際フォーラムを通じて、中国一国の勢力圏拡大の意図は全く持っておらず、多くの国々や国際通貨基金(IMF)や世界貿易機関(WTO)などと協力して、世界にはびこりつつある保護主義に対抗して大規模自由貿易圏を創り上げていくと訴えた。
なお、次回の「一帯一路」国際フォーラムは、今回と同じく中国で2019年に開催される予定である。
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「“新シルクロード”政策で、中国が世界の牽引役を担うと標榜」
5月15日に閉幕した「一帯一路」国際フォーラムにおいて中国は、今後世界におけるインフラ開発・建設、国際貿易の牽引役を担っていくとアピールした。
習主席は同フォーラムにおいて、インフラ整備等で1,200億ドル(約13兆5,600億円)余りの投資を含めて、「一帯一路」開発プロジェクトに総額7兆ドル(約791兆円)を投じる計画を発表している。そして、同フォーラムに出席したウラジミール・プーチン大統領も、アジアと欧州を結びつける「一帯一路」政策を含めた一大経済圏構想に賛同・支持を表明した。中国側としても、ロシア抜きのアジア~欧州ルートの開発・展開は不可能と考えている。
5月17日付中国
『新浪(シナ)英字ニュース』(
『新華社通信』配信):「“一帯一路”フォーラムは貿易連携を強め保護主義に対抗」
経済専門家は、5月14、15日に北京で開催された「一帯一路」国際フォーラムによって、国際貿易の連携を強化して、台頭し始めた保護主義に対抗する大きなうねりが示されたと評価した。
また、「一帯一路」政策の実現で、例えば、世界貿易高の僅か3%にも満たないアフリカ諸国にとって、輸出競争力向上のための鉄道・港湾などのインフラ開発が進捗することとなり、ケニヤ・エチオピア・タンザニア等に大きな利益をもたらすことに繋がるとする。
なお、中国主導のAIIBの競争相手と目されるアジア開発銀行(ADB)の2016年金融報告によると、同行の主要融資残高は上位5ヵ国合計で480億ドル(約5兆4,200億円)に上り、その最大の融資先は中国:155億ドル(約1兆7,500億円)である。以下、②インド:133億ドル(約1兆5,000億円)、③インドネシア:88億ドル(約9,900億円)、④フィリピン:60億ドル(約6,800億円)、⑤パキスタン:48億ドル(約5,400億円)。
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