フランス、次期EU議長国として「謙虚さ」を求められる(2021/12/02)
1月1日から輪番制で欧州連合(EU)の議長国となるフランス。2022年のフランス大統領選と重なるこの責任にどう取り組むかについて、1年かけて考察された、300ページの報告書がフランス政府に提出された。報告書は、フランスが「謙虚さ」を持って取り組むよう求めている。
仏
『ラ・クロワ』 紙によると、この報告書は、フランスの欧州連合理事会議長国となる2022年1月を目前に、クレマン・ボーヌ欧州担当長官に提出された。フランス政府の依頼により、独立系シンクタンクが作成した報告書は、次回は13年後に回って来る議長国の役割を成功させるために、謙虚さを持って取り組み、「限定した数の目標」に再集中することを推奨している。
ジャック・ドロール研究所の特別顧問であるティエリー・ショパンが率いたこの報告書には、経済学、社会学、地理学、政治学、国際関係論、歴史学など、幅広い分野の専門家が12人参加した。...
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仏
『ラ・クロワ』 紙によると、この報告書は、フランスの欧州連合理事会議長国となる2022年1月を目前に、クレマン・ボーヌ欧州担当長官に提出された。フランス政府の依頼により、独立系シンクタンクが作成した報告書は、次回は13年後に回って来る議長国の役割を成功させるために、謙虚さを持って取り組み、「限定した数の目標」に再集中することを推奨している。
ジャック・ドロール研究所の特別顧問であるティエリー・ショパンが率いたこの報告書には、経済学、社会学、地理学、政治学、国際関係論、歴史学など、幅広い分野の専門家が12人参加した。
報告書は、序文で、フランスの傲慢さを批判することが多い他国に配慮して、適切な口調を選ぶことを提言することから始まっている。特に外交問題においては、「様式にこだわりすぎず、もっと謙虚に」な態度を取るようアドバイスしている。そして、「フランスと大統領の積極的な動きは認められている一方で、批判の対象となり閉塞感が生じる可能性もある。フランスの、上から目線の態度が恨みを招く危険性もある」と前文で強調している。
また、フランス大統領選が4月に行われる関係上、議長国として実際に動ける期間は6ヵ月のうち3ヵ月に限られ、この期間中、散漫にならないことが必要だと提言している。報告書は、このような状況の中で、「効果的に達成できる政治的目標の数を絞らざるを得ない」とも指摘している。なお、フランスは、議長国として「再生、力、帰属」をモットーとする予定だ。
仏『ウエストフランス』 紙によると、報告書は、EU議長国としてのフランスは「新たな方法でフランスの欧州の野望を推進できるようにしなければならない」としており、そのためにも、上流での協議を増やし、具体的な結果を伴う公開討論を行う必要性があると主張している。報告書は、このことを、「ビクトル・ユーゴではなく、ロべール・シューマンのように」とフランス人作家とヨーロッパの建国の父の一人を引き合いに出して説明している。
報告書はまた、欧州に関して、特に欧州の主権に関するフランスの曖昧な発言は避けて、「フランスの国家的独立を問う」ものでもなく、「欧州におけるフランスの利益のみを促進する」ものでもないことを示す必要があるとも主張している。マクロン大統領が得意とする欧州の戦略的自律性は、NATOや米国との関係に疑問を投げかける可能性があることから、EUのパートナー、特に東ヨーロッパ諸国に懐疑的に見られる傾向があるためだ。
報告書で他にも、気候政策、欧州防衛基金、デジタル主権、ユーロの国際的役割という4つの選択された課題について進展を図ることを提案している。防衛に関しては、特にサイバーセキュリティの推進に注力することを推奨している。
なお、フランスは、最もユーロに懐疑的な世論を持つ国の一つであり、議長国になることは、「欧州をフランスに定着させる」機会となるはずだと専門家たちは強調している。
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欧州議会議員、「欧州の民主主義に干渉する」中国の取り組みに警鐘を鳴らす(2021/11/11)
ラトビアの欧州議会議員サンドラ・カルニェテ氏は9日、欧州議会に昨年設置された「外国からの干渉に関する特別委員会」に報告書の草案を提出し、外国からの脅威に対抗するために、特に「中国から来る干渉を監視する」ための特別なタスクフォースの設置を要求した。
米
『エポックタイムズ』 によると、この報告書は、昨年9月以降に委員会が実施した、少なくとも100人の専門家へのヒアリングに基づいている。ロシアの影響力の問題も取り上げられているものの、最大の関心事は中国共産党(CCP)の活動となっている。
報告書は、中国が影響力を及ぼす方法の1つとして、エリートの取り込みだと指摘している。フランスのジャン=ピエール・ラファラン元首相が「フランスでの中国の利益促進に積極的に関与していた」ことや、チェコのステファン・フューレ元欧州委員が「中国華信能源のために働いていた」ことなどが挙げられている。...
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米
『エポックタイムズ』 によると、この報告書は、昨年9月以降に委員会が実施した、少なくとも100人の専門家へのヒアリングに基づいている。ロシアの影響力の問題も取り上げられているものの、最大の関心事は中国共産党(CCP)の活動となっている。
報告書は、中国が影響力を及ぼす方法の1つとして、エリートの取り込みだと指摘している。フランスのジャン=ピエール・ラファラン元首相が「フランスでの中国の利益促進に積極的に関与していた」ことや、チェコのステファン・フューレ元欧州委員が「中国華信能源のために働いていた」ことなどが挙げられている。中国華信能源(CEFC China Energy)は、ロシア、東欧、アフリカの一部で数十億ドル規模の石油コングロマリットを展開しており、中国の石油王、葉簡明氏が設立した。昨年、米国上院の報告書でも、バイデン大統領の息子であるハンター・バイデン氏と、葉簡明氏を含む中国人との間で「疑わしい取引」があったことが報告されている。
報告書は、中国が影響力を及ぼす別の方法として、国家プロパガンダを挙げている。中国共産党政府が主管する記事が報道機関を通して世界に拡散されていることを指摘している。2020年5月、ブリュッセルに本拠を置く国際ジャーナリスト連盟は、パンデミックが広がる中、「中国が、偽情報を含むますます独創的な戦術」に対して警告する報告書を発表していた。連盟は、イタリアの国営通信社「ANSA」が、2019年に新華社と覚書を交わした後、中国の国営メディアのコンテンツを報じていることを指摘していた。なお、ロンドンのシンクタンク、欧州外交問題評議会が最近発表した報告書では、ボスニア、ブルガリア、北マケドニア、セルビアといった南東ヨーロッパの国々で、中国メディアの存在感が高まっていることが指摘されていた。
欧州議会の報告書は、中国共産党が資金提供している約200の孔子学院がヨーロッパに存在していることも警告している。「孔子学院は、中国の経済的利益のためのロビー活動や、中国の諜報機関やスパイの勧誘のためのプラットフォームとして機能している」と報告書は述べている。
香港の『サウスチャイナモーニング』 によると、報告書は、昨年、フランスのナント市にある博物館で開催された、13世紀のモンゴル帝国の皇帝、チンギスハンに関する展示会が延期されたことについて触れている。報告書はこの展覧会の主催者が、中国共産党が展覧会の内容を検閲しようとしたと主張していることを指摘している。
しかし、『サウスチャイナモーニング』 は、EUの中国の干渉活動に対する姿勢は、弱腰になる面があると指摘している。昨年の報告書では、中国が報復として医薬品の供給を停止することを恐れて、中国の国家的な情報操作に関する報告書の一部を修正した。この報告書の草案では、中国は新型コロナウイルスの発生に対する責任を回避するために、「公然かつ隠密な戦術」を用いて「世界的な偽情報キャンペーン」を行っていると記述されていた。この部分は、中国政府が介入し、中国に駐在するEUの外交官に不特定多数の影響を与えると警告したため、削除された。
先月、EUと台湾の関係拡大に関する画期的な投票が行われる前に、中国の駐EU大使が欧州議会議長に手紙を送り、投票を左右するために議長の役割を「活用」するよう求めた。ハンガリーの欧州議会議員であるKatalin Cseh氏は、この手紙について「中国が民主主義や民主的プロセスをあからさまに無視していることは懸念すべきことであると改めて認識させられた」と述べた。同月、ドイツの大学にある孔子学院で、習近平国家主席に関する書籍の宣伝を目的とした2つのイベントが、中国当局の圧力により中止されたと地元メディアが報じている。
ニュースサイト『EUオブザーバー』 は、草案はEUの外交機関である欧州対外行動庁(EEAS)が、中国語を話せる人材を採用し、中国による情報操作に対処するための十分な能力を「緊急に」確立することを求めていると報じている。
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