インドは、これまでロシアと有効な関係を保っていて、ロシアを数十年前から主な武器輸入国に位置付けていた。ところで、インドで生産された砲弾が1年以上前から欧州諸国を経由してウクライナに供給されていることは、インドと欧州の情報筋、および税関の統計データの解析で明確になったという。
ロシア側は、インドの砲弾がウクライナに供給されていることについては7月の両国の外相会議で問題視してインド側に対して強い非難を行っている。...
全部読む
インドは、これまでロシアと有効な関係を保っていて、ロシアを数十年前から主な武器輸入国に位置付けていた。ところで、インドで生産された砲弾が1年以上前から欧州諸国を経由してウクライナに供給されていることは、インドと欧州の情報筋、および税関の統計データの解析で明確になったという。
ロシア側は、インドの砲弾がウクライナに供給されていることについては7月の両国の外相会議で問題視してインド側に対して強い非難を行っている。
一般的には、インドはウクライナへの砲弾の輸出量に制限を設ける必要が生じる。さもないと、将来のロシアからインドへの武器輸入契約がキャンセルされるリスクを伴うことになる。
なお、今年1月のインドの外務省報道官の記者会見での説明では、「ウクライナは砲弾不足に喘いでいるが、インドはウクライナへ砲弾を輸送したり、売ったりはしていない。」と断言していた。さらに、インド政府の2か所の情報筋と2か所のインド防衛省の2か所の情報筋からのインド側の情報を総合すると、ロシアからの侵攻が開始された2022年2月から現在までにウクライナに直接送られたインド製砲弾の割合は、1%に満たないと推定されている。
一方、インド製の砲弾を買い取った欧州の国々としては、イタリア、チェコ、スペインおよびスロバニアの欧州4か国が挙げられる。これらの欧州諸国はウクライナに送る砲弾を、インドなどの欧州以外の国から調達することでウクライナの砲弾不足を補うキャンペーンを今年の3月から実施している。
ちなみに2022年2月~2024年7月の間でのインドから欧州4か国への砲弾を含む武器の輸出総額は、1.35億ドル(=約203億円)で、ロシアのウクライナ侵攻前2年間の欧州4か国への輸出額(=約4.2億円)に比べて大巾に増加している。
閉じる