ロシア産石油からの離脱に苦慮する欧州
EU27カ国はロシアのウクライナ侵攻をめぐり、年内にロシア産石油の輸入を禁止することで原則合意しているが、ハンガリーの拒否権に直面している。欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、ハンガリーのオルバン首相を説得するためにブダペストに赴いた。
仏
『レゼコー』によると、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、9日の午後、ブダペストを緊急訪問し、ウクライナ戦争によるロシアの石油禁輸の提案に対する拒否権を撤回するよう、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相を説得しようとした。
EU27カ国は先週末、6ヶ月以内の原油の禁輸と年末までの精製品の禁輸に合意できなかった。欧州委員会が4日の夜に提案した対ロシア制裁第6弾の内容は、欧州経済に大きな影響を及ぼすため、全会一致で承認されなければならず、ハンガリーはロシアの石油に大量に依存しているため、これを阻止している。...
全部読む
仏
『レゼコー』によると、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、9日の午後、ブダペストを緊急訪問し、ウクライナ戦争によるロシアの石油禁輸の提案に対する拒否権を撤回するよう、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相を説得しようとした。
EU27カ国は先週末、6ヶ月以内の原油の禁輸と年末までの精製品の禁輸に合意できなかった。欧州委員会が4日の夜に提案した対ロシア制裁第6弾の内容は、欧州経済に大きな影響を及ぼすため、全会一致で承認されなければならず、ハンガリーはロシアの石油に大量に依存しているため、これを阻止している。
米『ブルームバーグ』によると、ロシア産の石油輸入について、ハンガリーのオルバン首相と欧州委員長の間で協議が行われた結果、「ある程度の進展」があったとハンガリー外相が明らかにした。ただし、ハンガリーのエネルギー安全保障上の懸念を解消するにはさらなる交渉が必要であるという。
仏紙『ウエストフランス』によると、オルバン首相は、欧州は「エネルギーミックスに関する各国の主権的権利」を布告しており、ハンガリーは65%をロシアの石油に依存していると主張している。同首相は、禁輸措置は「ハンガリー経済に核爆弾を落とすようなものだ」と述べ、欧州委員会は、2023年末までの猶予を与えたものの、ハンガリーの輸送とエネルギー供給システムの「全面的な変革」には「5年」を要し、その実行には非常にコストがかかるとしている。
仏『ユーロニュース』によると、関係者の中には、交渉を成功させることは可能であり、オルバン首相は、制裁措置の採用を促進するために、資金を含め、欧州委員会からできるだけ多くを得るために「厳しい発言をしている」のだと指摘する声も上がっている。
閉じる
ゼロ・コロナ政策とウクライナ戦争で、欧州企業にとって中国の魅力が低下
中国の「ゼロ・コロナ」政策とウクライナ戦争が、欧州企業にとって中国市場の魅力を低下させている。在中国EU商工会議所が5日に発表した調査結果では、4分の1近くの企業が、投資の一部を他のアジア諸国に移転することを検討していると回答した。
仏ラジオ局
『RFI』によると、中国のGDPのほぼ4割が、中国の数十の大都市の完全又は部分的ロックダウンの影響を受けているという。中国共産党政府の厳格な「ゼロ・コロナ」戦略は、中国市場に進出する外国企業にも影響を与えている。在中国EU商工会議所が4月20日から26日にかけて行った世論調査によると、参加した370社以上の欧州企業のうち、60%が今年の収益の減少を見込んでおり、77%が中国の魅力が低下していると考え、23%が現在または計画中の投資の一部を、南アジアや東南アジアに移転することを考えていると回答した。...
全部読む
仏ラジオ局
『RFI』によると、中国のGDPのほぼ4割が、中国の数十の大都市の完全又は部分的ロックダウンの影響を受けているという。中国共産党政府の厳格な「ゼロ・コロナ」戦略は、中国市場に進出する外国企業にも影響を与えている。在中国EU商工会議所が4月20日から26日にかけて行った世論調査によると、参加した370社以上の欧州企業のうち、60%が今年の収益の減少を見込んでおり、77%が中国の魅力が低下していると考え、23%が現在または計画中の投資の一部を、南アジアや東南アジアに移転することを考えていると回答した。
将来への不安は、採用活動にも影響を及ぼしているという。学校の休校や移動の規制などで、家族連れで人材を呼び込むことが難しい状況になっている。また、教師の離職率は2021年度が始まる時点で25%、昨年全体では40%だった。2022年はインターナショナルスクールの教師の50%が入れ替わると推測されており、教師のビザの手続きには平均6カ月を要する中、採用が困難となっている。
在中国EU商工会議所は、「中国一の都市と言われた上海が1カ月も封鎖され、終わりが見えない。たとえ1年後でも、中国がいつ経済を再開するのかを知る必要がある」と主張しており、「ビジネスを阻害するのは、不確実性と見通しのなさだ」と指摘している。
こうした中、ウクライナ戦争によって不確実性がさらに高まっている。中国とヨーロッパを結ぶシルクロードを走る列車が利用出来なくなり、ロシアとウクライナの領空も迂回しなければならず、物流はさらに混乱し、輸送費が上がっている。
仏『レゼコー』によると、特に上海を拠点としている企業にとって、交通問題が大きな課題になっているという。85%の企業が生産のための原材料や部品の入手が困難であり、ほぼ同数の企業が完成品を中国やその他の地域に納品することも難しい状況にあると回答した。中国当局は、ドライバーがウイルスを拡散するのではないかと恐れて、トラックが他の都市へ移動することを厳しく制限している。また、ドライバーがトラックから降りないように、ドアや窓にシールを貼り、48時間以内のPCR検査を定期的に要求しているという。
米『フォックスニュース』によると、現在、中国国民の4人に1人がロックダウンで外出できない状況にあり、中国の100大都市のうち87都市が何らかの移動制限を課しているため、サプライチェーンは停止してしまっているという。一部の専門家達は、中国は今年、ゼロ成長または経済収縮に陥る可能性があり、すでに10年来の成長鈍化、生産性低下、債務急増の傾向に拍車がかかると見ている。
EU商工会議所のヨルグ・ブトケ会頭は、「調査では23%が、現在または計画中の中国への投資を他の市場へ移すことを検討し始めていると回答した。これは、わずか2カ月前の2倍の数字だ」と、企業が地理的な展開を多様化する必要に迫られていることを指摘。最近、在上海日本国総領も、一部の企業が生産移転を始めていると報告している。
閉じる
その他の最新記事