EU27カ国、ロシアの石油禁輸にようやく合意(2022/05/31)
EUは30 日の夜遅く、ロシアの石油輸入を停止することを決定した。禁輸は2段階に分けて行われる。まず、年内に海上輸送の禁輸を行い、パイプラインで運ばれる石油については、後日協議して決定する。第6次制裁措置のその他の措置もまもなく発効される予定となっている。
仏
『レゼコー』紙は、長い時間がかかったものの、EU27カ国の臨時首脳会議は、ロシア産石油について協議した後、対ロシア制裁の第6弾についてようやく合意に至ったと報じている。ハンガリーの拒否権を回避するために、EUの輸入の3分の2にあたる海上輸送されるロシア産石油の6カ月以内の禁止と、ハンガリーやスロバキアなどの内陸国にとって重要なパイプラインによる石油を区別することにした。ドイツとポーランドが年内にロシアのパイプライン経由の原油の購入を停止すると約束したため、EUは2022年末までにロシアの石油供給を90%削減することになる。...
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仏
『レゼコー』紙は、長い時間がかかったものの、EU27カ国の臨時首脳会議は、ロシア産石油について協議した後、対ロシア制裁の第6弾についてようやく合意に至ったと報じている。ハンガリーの拒否権を回避するために、EUの輸入の3分の2にあたる海上輸送されるロシア産石油の6カ月以内の禁止と、ハンガリーやスロバキアなどの内陸国にとって重要なパイプラインによる石油を区別することにした。ドイツとポーランドが年内にロシアのパイプライン経由の原油の購入を停止すると約束したため、EUは2022年末までにロシアの石油供給を90%削減することになる。
今週水曜日に再度会合が開かれ、欧州委員会が5月初めに提案した制裁措置の第6弾の残りの制裁内容も検証される。すなわち、新たにロシアの3つの銀行をスイフトネットワークから排除し、特に市場の37%を占める国内最大手銀行ズベルバンクの排除、ロシアの放送局3社のEUにおける放送禁止、制裁対象人物リストの拡大、ロシア企業に対するコンサルティングや会計サービスの禁止である。
その後、パイプラインによる石油の輸入をいつ、どのように止めるかを決定する。ハンガリーは、自国のエネルギー供給に不可欠なパイプライン経由の輸入が不可能になった場合の代替供給の保証を要求している。また、現在ロシア産の原油しか処理できない製油所を、いずれはクロアチアからアドリアパイプラインで送られてくる原油で稼働できるようにするための資金援助も要求している。他の加盟国は、ブルガリアやクロアチアを筆頭に、免除条項を要求している。特定の条項に限定した免除は、受益国に競争上の優位性を与える可能性があり、その点を考慮することが必要となる。なお、ウクライナ戦争の最新の状況から、今後はガス禁輸についてもEUが検討する可能性も考えられる。特にバルト海沿岸の国々がそのことを強く望んでいる。
『AFP通信』は、ウクライナ政府は、ロシアの戦争資金を枯渇させるであろうEUの石油禁輸をめぐる戦いに勝利した、と伝えている。また、制裁にうまく耐えているかのような印象のあるロシア経済だが、混乱の兆しが見え始めているとも指摘している。ロシアでは、インフレ率は4月に年率18%近くに達し、過去20年間で最も高い水準にある。外車の補修部品は30%以上跳ね上がった。マクドナルドやスターバックスなどの小売業や自動車メーカーのルノーが撤退している。航空会社のウラル航空から、国内有数の自動車メーカーであるアフトヴァースの工場まで、スペアパーツ不足で立ち往生しており、現在、何万人もの人々が短時間労働や強制休暇を強いられている。
ロシア政府の声明によると、プーチン大統領は30日、トルコのエルドアン大統領との電話会談で、「ウクライナの港からの穀物の輸出」を含む黒海での商品の自由な移動についてトルコと協力する用意があると述べた。ウクライナと西側諸国は、ロシアがウクライナの黒海の港を封鎖していると非難しているが、ロシア当局はこれを否定している。
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バイデン大統領の台湾防衛への発言、欧米メディアの報道(2022/05/24)
訪日中のバイデン米大統領は23日、岸田首相との共同記者会見で、台湾有事の際に台湾防衛のために軍事的に関与すると述べた。欧米メディアは、この発言は米国がこれまでの台湾に対する「戦略的曖昧さ」から転換を図ろうとしていることを示唆している可能性があると伝えている。
米誌
『タイム』は、1979年以来、米国は一つの中国政府しか承認しておらず、台湾とは正式な外交関係を結んでいないことを指摘している。ただし、米国は事実上の大使館を含む非公式な関係を維持し、島に軍隊を駐留させ、議会法によって台湾に自衛のために必要な武器を定期的に提供することを義務付けられている。そして米国は、紛争が起こった場合、2300万人の住民を守るために軍隊を派遣するかどうかは、「戦略的曖昧さ」によって明確にしてこなかった。...
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米誌
『タイム』は、1979年以来、米国は一つの中国政府しか承認しておらず、台湾とは正式な外交関係を結んでいないことを指摘している。ただし、米国は事実上の大使館を含む非公式な関係を維持し、島に軍隊を駐留させ、議会法によって台湾に自衛のために必要な武器を定期的に提供することを義務付けられている。そして米国は、紛争が起こった場合、2300万人の住民を守るために軍隊を派遣するかどうかは、「戦略的曖昧さ」によって明確にしてこなかった。
『タイム』は、バイデンの東京での予定外の発言は、「戦略的明確化」に向けたシフトのように見えると伝えている。
一方ホワイトハウスは、バイデン大統領が昨年の8月と10月に同様の発言をしたときと同様に、今回も、アメリカの政策に変わりはないと釈明した。国家安全保障顧問のジェイク・サリバンは、戦略的な曖昧さが最も安全な選択肢であると繰り返し述べている。しかし、このような失言が頻繁に起こるということは、あからさまな政策変更を避けつつ、抑止力を高めるための戦略的な作戦であるとの見方も成り立つという。
また、バイデンの発言は、ウクライナへの軍派遣を拒否した大統領によって米国への信頼が揺らいでいる台湾の士気を高めるものでもあるという。最近の台湾の世論調査では、島民の半数が、中国が攻めてきたときにアメリカが助けに来てくれるとは思っていないことが明らかになった。さらに、バイデン政権が提唱するIPEFの立ち上げメンバーから外されるとの報道を受け、島は見捨てられたと感じているという。
『タイム』はまた、バイデンはこの問題で、インド、日本、オーストラリアの首脳とのクアッドサミットを前に、妥協を許さない姿勢を示したと伝えている。オーストラリアでは労働党の新政権が誕生したばかりで、中国政策がまだ練られているところである。一方、自信を深めている日本は、より大きな地域防衛の役割を果たすことを目指しているが、インド太平洋の安全保障にさらに関与してもらうためには、まだ後ろ盾を必要としているという。
仏紙『レゼコー』は、バイデンはすでに昨年10月、台湾への攻撃に対する米国の軍事介入の可能性を示唆していたが、これほど直接的かつ具体的な回答はしていなかったと報じている。特に今回は、台湾からわずか2千キロ離れたアジアでの発言であり、ロシアによるウクライナ侵攻の数カ月後であるため、特に象徴的な重要性を持つと報じている。ただし、バイデンの発言に対して日本側は困った様子だったとも伝えている。台湾への攻撃に対する日本の反応について聞かれた岸田首相は、困惑した様子で、答えることを避けたという。日本には23の米軍基地があるため、台湾を攻撃すれば、ほぼ自動的に地域紛争に巻き込まれることになる。しかし安倍元首相を含む複数の保守系権力者は過去に、同盟国であるアメリカに対し、立場を明確にし、「戦略的曖昧さ」という概念を正式に放棄するよう求めてきたという。
一方、米『フォックスニュース』は、戦略的な曖昧さには2つの目的があったと伝えている。第一に、アメリカの「介入するか、しないか」という曖昧なスタンスは、中国の戦争計画をより困難にするものだった。また、もし中国が台湾を侵略しようとする際、この地域の米軍を攻撃することがなければ、アメリカは台湾の攻撃を食い止めるのにより効果的に動くことができる。第二に、台湾への支持を明確に表明するならば、台湾が中国からの正式な独立宣言を目指すようになり、中国を戦争に巻き込むことが懸念された。
しかし『フォックスニュース』は、状況は変わっているため、戦略的曖昧さは通用しない可能性がある事を指摘している。中国は1979年当時よりはるかに強力になっている。アメリカの信頼性は、昨年のアフガニスタンでの大混乱を招いた撤退とウクライナでの抑止力の失敗をきっかけに、どん底に落ちている。中国共産党は、党の規律、巨大な経済、国民をコントロールする能力など、ロシアや西側に対して明らかに優位に立っていると考えている。こうした中、中国による台湾の侵略は、太平洋地域におけるアメリカの地位にとって致命的であり、21世紀のアメリカにとって世界で最も重要な地域であることから、アメリカは台湾を守るために全力を尽くさなければならないと同メディアは伝えている。
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