新型肺炎感染拡大防止のために、フランスで取られた6週間の全土ロックダウン措置。フランス南西部にあるトゥールーズ市の大学病院は、1ヵ月前から、ロックダウンの子供への影響について調査を開始したところ、一部の子供達にとって、ロックダウン下での生活が精神的ストレスとなり、トラウマにつながっていることが判明した。
『フランス24』によると、新型肺炎のためにトゥールーズ大学病院で入院している患者は現在20人未満となっている。しかし、医療スタッフたちは現在も新型肺炎との戦いが続いているという。新型肺炎感染拡大による呼吸器または神経学的な後遺症を残した患者だけでなく、特に精神的なダメージを受けた人達が予想以上に多いためだという。
同病院では、8歳から15歳までの子供たちへのロックダウンの影響を調べるために、1ヵ月ほど前から、子供達とその両親からの証言を集め始めた。...
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『フランス24』によると、新型肺炎のためにトゥールーズ大学病院で入院している患者は現在20人未満となっている。しかし、医療スタッフたちは現在も新型肺炎との戦いが続いているという。新型肺炎感染拡大による呼吸器または神経学的な後遺症を残した患者だけでなく、特に精神的なダメージを受けた人達が予想以上に多いためだという。
同病院では、8歳から15歳までの子供たちへのロックダウンの影響を調べるために、1ヵ月ほど前から、子供達とその両親からの証言を集め始めた。これまでに、324件の証言を収集できたが、その結果、ロックダウン中に新しいことに挑戦して有意義な体験が出来た子供もいれば、逆に2ヵ月間の外出禁止の生活が精神的なトラウマにつながってしまった子供たちも沢山いることが判明した。
トゥールーズ大学病院小児救急センター長であるイザベル・クロード医師は、今回のロックダウン下の生活を「全ての家庭がうまく乗り越えたわけではない。けっこうな割合で、心的外傷後ストレス症状が確認できた。それも気分転換のできる庭付きの家で過ごすなど、恵まれた環境の中でのロックダウン生活をしていた場合でもだ。」と述べている。
学校生活が突然無くなり、家族だけとの外出禁止生活を余儀なくされた子供達。通常、隔離生活が10日間以上続くと心的外傷後ストレスを受けるリスクが高くなると言われているが、今回は数週間の間、通常の生活にいつ戻ることができるのかが誰も分からない中での生活だった。そうした子供達のストレス症状は、睡眠障害、怒り、新型肺炎を思い出させるものについては一切話さないこと、外出恐怖症などが挙げられるという。
小児精神科医のセルジュ・ヘフェス医師は、子供を心配する親からの問い合わせが日に日に増えているという。同医師は『BFMTV』の取材で「感染リスクに対する恐怖症を持ってしまった子供たちは、1日18回くらい手を洗っている」と述べている。
臨床心理学者であり心理療法士のイマネ・アディミさんは、外出恐怖症となった小学生の子供が、ゴミ出しや買い物でも怖くて外に出たがらなくなってしまった事例を紹介している。
アディミさんは、不安になりやすい子供たちは、テレビでの感染予防のメッセージ、危機的状況や重症患者に関するニュースを繰り返し見たことで、精神的ショックを受けてしまい、大人たちのようには一歩離れて受け止めることができなかったと述べている。
「子供たちはスポンジみたいで、両親が心配をするなら、それが子供達に伝わり、子供自身の不安を引き出してしまう」と説明している。
なお、現在彼女が診察を受け持つ子供たちの95%は、ロックダウン解除後も学校に戻ることが出来ておらず、このままでは、「ただ座ったままでいる世代を育てることになる。」と警告している。
5月に小学校と保育所の80%以上が再開されているが、児童の22%しか学校に戻ってきていない。また、中学校では28%の生徒しか教室に戻ることができていないという。
現在フランス国立科学研究センター(CNRS)は、研究対象を広げ、6歳未満に対するロックダウンの影響と、8ヵ月から36ヵ月の幼児達の言語習得に対する影響について調査を進めている。
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フランスでは、新型肺炎の流行が急速に減速し始めている中、政府が開始した接触通知アプリ「StopCovid(ストップコビッド)」が導入された。感染者と1メートル以内の距離で15分以上いた場合、自動的に通知を受け取る仕組みでブルートゥースという機能が使われている。しかし、アプリに対する国民の関心は低く、利用者数が低迷している。
『フランス アンフォ』によると、新型肺炎の感染者を追跡し、濃厚接触者に通知するために政府によって開発された、接触通知アプリ「StopCovid」は、今月4日から利用可能となったが、利用者数に伸び悩んでいる。利用開始から1週間で150万人のフランス人が携帯にダウンロードしたが、これは人口のわずか2%にしか過ぎない。
政府側は、アプリは、第2波が発生した場合の欠かせないツールとして捉えており、現段階での利用者数はあまり重要ではないと捉えている。...
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『フランス アンフォ』によると、新型肺炎の感染者を追跡し、濃厚接触者に通知するために政府によって開発された、接触通知アプリ「StopCovid」は、今月4日から利用可能となったが、利用者数に伸び悩んでいる。利用開始から1週間で150万人のフランス人が携帯にダウンロードしたが、これは人口のわずか2%にしか過ぎない。
政府側は、アプリは、第2波が発生した場合の欠かせないツールとして捉えており、現段階での利用者数はあまり重要ではないと捉えている。
しかし、民間企業の支援を得て無料で設計されたアプリの運用には、月額10万ユーロ(約1200万円)のコストがかかり、ある汚職防止協会は、この額は実際には20万ユーロ(約2400万円)を超えると指摘している。同協会は入札がなかったことを非難し、フランス金融検察局(PNF)に訴えたところだ。これに対し政府はアプリ立ち上げ時の緊急性を強調しており、アプリにかかったコストについて透明性を約束している。
『BFMTV』によると、接触通知アプリは、リリース後1週間で150万回ダウンロードされたが、接触通知は「ほんの一握り」にとどまっているという。
このアプリの有効性は、それを使用する人の数に依存してくるが、デジタル専門家達は、アプリを絶えず使用しているユーザーの数は、ダウンロードした人の数よりもはるかに少ない可能性があると推測している。誰がブルートゥースをオンにしているかは把握できないシステムとなっている。
『フランス24』によると、デジタル担当副大臣のセドリック・オ氏はユーザー数に関する特定の目標は設定していないと述べており、「公共交通機関や、カフェやレストランを利用する」都市部に住む人々にとってアプリが「特に有用」であると指摘している。
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